ポートランド日記                                     スズキメディア

10月11日(木)──72日目


 今日は、9月11日の同時多発テロから一か月。テレビで各地の追悼のイベントを放映していた。
 マリナーズ対インデアンズのプレーオフ第二戦は、マリナーズが勝って一勝一敗。イチローが得点、ササキもセーブはつかなかったが九回を押さえた。
 今日は、昨日の試合が順延になったためか、テレビ放送がなかった。インターネットでは、読売新聞のページから、、試合状況がスコアボードのような形で見ることができる(スポーツイラストレイテッドが提供している)。これで何とか臨場感はないが試合経過をリアルタイムで追いかけることができた。20ドル払って登録すると、インターネットで生のラジオ放送も聞けるが、これは高いし、英語の野球の生中継を聞いてもよくわからないので止めにした。
 日本はたぶん早朝に同時中継しているだろうと思うが、もっと近いポートランドで何で見られないのかなと思う。

 今日は一日部屋にこもって仕事。三日前に、イタリア風のスープをたっぷり作ったが、今日で飲み終えた。自分で言うのも何だが、今まで作ったうちで一番おいしかった。
 材料は、赤と黄色のペッパー(ピーマン)、マッシュルーム、タマネギ、ブロッコリー、トマト。鶏肉。要するに、実際は、冷蔵庫の余り物で作るというものだ。
 鶏肉の骨(肉だけ使ったときに、残りを冷凍してあった。こっちでは鶏肉はほとんど骨付きで売っている。日本のように骨を外して切り分けた物は二倍以上する)でスープをとったあと(こまめにアクをとる)、野菜を入れる。これだけでは、スープが物足りないので、鶏肉のブイヨンを追加した。
 それに、切り分けた鶏肉をたっぷり。火が通ったら、コショウ、塩などで味を調える。日本なら、いろんなハーブを入れるが、ここでは、こちらのスーパーで買った鶏肉用の特性調味料も使った(いろんなハーブが入っている。ちなみに、herbは英語での発音はhが落ちて「アーブ」という感じになるらしい。辞書を見ると、hを発音する場合もあるようだが、実際には「ハーブ」というと通じなくて困った)

 このスープをうまく作るのは、あまり煮すぎず、短時間でさっと仕上げること。煮すぎると、野菜が溶けすぎでしまうし、スープがにごった感じになる。そのため、野菜は柔らかくしたい順に入れる。つまり、タマネギやトマトが先になる。
 今回とてもうまくできたのは、アメリカで作ったのが大きいような気がする。まず、アメリカの野菜は香りが強く歯ごたえがある。日本はピーマンもトマトも臭いがなくなったというけれど、あれは、化学肥料なんかで自然になったのではなくて、子どもが嫌うから、品種改良して臭いの少ないのを作っているんじゃないだろうか。そう思うくらい、こちらの野菜は臭いが強い。
 トマトも、こちらには、甘いサラダ用のまん丸のトマトではなく、長細い料理用のイタリアのトマトがあるので、それを使った。鶏肉も、歯ごたえ香りとも日本よりいいように思う。それで安いのだから、驚きだ。

 おいしいスープができると、何日飲んでも飽きないし、幸せな気分になる。日本の味噌汁や吸い物は、五分くらいの短い時間でさっと仕上げるので、細かい神経を使わないといけないから大変だが(しかも、味噌汁の場合は、おいしい味噌がないと絶対においしい味噌汁にならない。今は、少し甘い味噌しかないので、どうも気に入った味噌汁ができない)、イタリアンスープはもう少し気楽に作れるし、味の調節も可能なので(味噌汁はほとんど一発勝負だから、難しい)、簡単だ。


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