ポートランド日記                                     スズキメディア

10月5日(金)──66日目


 PCCでスピーチの授業。来週から、いよいよ最初のスピーチ(インフォメーションスピーチ)が始まるので、その説明や注意があった。水曜日に提出したアウトラインも返された。
 僕のは、トピックは非常にいいと書かれていて、あとは、スペルの間違いが直されているくらい。サタデーマーケットの話で、うまく5分間にまとめないといけない。
 実際に話すときには長くなるから、練習して読んでみて3分から4分なら、いいそうだ。

 スピーキングのクラスは全部で15人で、日本人は7人と多い。他に、中国人と韓国人が数人ずつ、ロシア人がひとり。大阪から来たという19歳の男の子とちょっと話したが、高校を中退したあと、アメリカンスクールに行って、そのあと、PCCに入ったのだそうだ。いろんな事情があるのだろうし、いろんなことを言う人もいるだろうが、20歳前にアメリカにひとりできて、勉強しているというのはすごいなと思う。

 他にも日本人はキャンパス内でけっこう見かける。日本語を話していなくても、顔つきとファッションと女性なら化粧でだいたいわかる。教室でもそうだけど、日本人が7人いても、一緒に歓談することもなく、みんなバラバラの感じ。僕は歳も離れているし、とっているクラスもリスニングの3時間だけだから、特に距離を感じるが、中国人や韓国人に比べると、日本人はそれぞれ最小限の干渉しかしないで、ひとりひとりでやっている。回りに壁を作っているという感じもある。
 それぞれにいろんなものを抱えて、アメリカまで来て、距離感の取り方が難しいということもあるのだろうか。詳しく話を聞いてみたい気がしてくるが、それはよけいなお世話かもしれない。

 クラスでは、そのあと、教科書のレッスン1のリスニングをやった。テープを1回聞いて、2回目はメモを取る。そのあと、15問のテスト。これは、昨日まで何回も聞いて教科書も読んできたので、満点だった。ちょっとうれしい。
 テープの内容は、スペイン人コルテスのアステカ文明の征服について。これは、日本人には、教科書にちらっと出てきただけで印象が薄いけど、アメリカでは、隣の国メキシコのことだから、印象は違うようだ。この間、こっちのテレビの「ミリオネア」を見ていたら、4つの選択肢のひとつに「モンタズーマの逆襲」というのが出てきた。モンタズーマというのは、コルテスに征服されたアステカ文明の頭領の名前。
 簡単な質問のところで出てきて、笑いをとっていたから、征服された悲劇の「モンタズーマ」というのは、アメリカの人ならたいてい知っていることのようだ。

 ところで、日本では、みのもんたの司会でお馴染みの「ミリオネア」は、本家はこちらで、ABCテレビで毎週月曜日と木曜日に1時間放送している。面白いのは、音楽から、形式まで全く同じなこと。司会の人(有名な人だろうが、名前はわからない)もみのもんたそっくりで(というか、みのもんたがマネしているのだろう。みのもんたをもっと知的に礼儀正しくした感じ)。オーディエンスとフィフティフィフティとテレホンが使えるのも同じ。「ファイナル・アンサー」とたずねるのも同じ。
 ただ、一番違うのは、アメリカは本当にミリオネーアで、最後は、100万ドル(1億2千万円)の賞金がもらえること。日本は1000万円だから(法律だからしかたないだろうけど)、ずいぶん規模が違う。


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