ポートランド日記                                     スズキメディア

10月3日(水)──64日目


 PCCのスピーキングのクラスの5回目の授業。今日はリスニング。
 まず、テープを一回流し、何も見ないでそれを聞く。次に、テキストを渡されて、それを見ながらもう一度同じものを聞く。三回目は、テキストを見ないで、聞きながら内容をメモする。内容は、「授業ではなぜメモしないといけないか」、「どのようにメモするか」というもの。「メモするときの省略の仕方」など、具体的な話も出てくる。身近で具体的な話なので難しい用語も出てこなくて、それほど難しくない。
 そのあと、15の質問が書かれた問題用紙を渡されて、T(Truth:正)F(False:誤)を書き込む。あと少しで全問終わりそうなところで、答え合わせが始まったので、あわてた。周りを見ると、みんなすでに終わっているようだ。英語を読むのが遅いのを実感する。解答は15問中12問正解。

 聞き取りだけなら、こんなに理解できないが、三回目に紙に書かれたテキストを見ることができたので、何とか内容がわかった。やはり、リスニングの力は周りの人より劣っている。
 間違えたのは、焦って読んでいて、notを見逃していて、意味を逆にとっていたり、keep from(……を禁ずる)の意味がわからなかったため。話の内容がある程度わかっていても、質問項目に出てくる重要な語がわからないと、正しいかどうか判断できなくなる。
 金曜日は、同じような形式で、教科書のレッスン1のリスニングをするそうだ。

 昼食は、前にも行ったタコ・デル・マー。前回おいしかったので、今日はタコスではなくエンチラーダスを試してみた。エンチラーダスは、付け合わせにキャベツやトマトはあるが、タコスのように野菜は入らず肉だけなのでちょっと物足りない。でも、おいしかった。
 そのあと、いつものエンタープライズでレンタカーを借りる。店の人が、「同じ値段でバンが借りられるけど、そっちにしないか」と言う。今回は、明日の朝、日本に帰るI先生をポートランド国際空港まで送っていくために借りるので、それなら、荷物もたくさん運べるバンのほうがいいかと思いOKする。

 車は、シボレーのアストリアというバンで、最初に見たときはけっこう大きい感じがしたが、幅は、コンパクトカーとそれほど変わらない。しかし、運転席が高いので、視界が広く、運転が非常にしやすい。バンタイプの車はあまり乗ったことがないが、エンタープライズレンタカーで借りているクライスラーのネオンという車は、後ろの視界がかなり悪いので(穴蔵に入って運転している感じ)、特に視界がよく感じるのかもしれない。
 運転席に乗るときによじ登らなければならないし、重くて大きいから燃費も悪いので、バンタイプの車は敬遠してきたが、これだけ運転しやすいなら考え直してもいいかもしれない。普通に走っていても、前が遠くまでよく見えるので、前の前の車の挙動までよくわかる。

 まず、そのバンで、I先生の荷物を出しにPSUと近くの郵便局へ行く。船便で送るが、日本からアメリカに送るのに比べると、アメリカから日本に送るほうがかなり安い印象だ。半額以下かもしれない。今度詳しく調べてみよう。そのあと、ビーバートンのフレッドマイヤーと宇和島屋で買い物。Cがこのあと、大学で用事があるというので、早々とすませた。

 今日の朝のこと。ベッドの中でテレビのニュースを聞いていたら、アナウンサーの話すことが英語として聞こえることに気がついた。これまで2か月間、ニュースキャスターのの早口の英語が全然英語として聞こえなかった。
 いくら集中して耳を澄ましても、ひとつひとつの英単語が聞こえてこない。時々、簡単な単語はわからないことはないが、立て続けに話されると、英語ではなくて、他の知らない国の言葉のようなのだ。
 これまで、英語のニュースの意味をとろうと真剣に聞いたことはなかったので、この事態にはあせった。これでは、いくら英語の勉強をしたってダメではないか。日本語の発音は音域の幅が狭いので、英語の発音では聞こえないところがあるというような話を聞いたことがあるが、そのためだろうか。

 2か月が過ぎて、今日の朝、突然に、英語が英語として耳に入ってきたのだ。もちろん、ボキャブラリーは不足しているから、それだけで、英語が聞き取れるわけではない。これから、地道にボキャブラリーを増やしていかないと、聞き取りができるようにはならない。スピーキングの先生も、そこが一番「ハード」だと言っていた。
 でも、ひとつ、壁が超えられたような気がする。45歳になって、こんなことを言っていては遅いかもしれないけど。


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