ポートランド日記                                     スズキメディア

9月18日(火)──49日目


 昼食は、ミートローフ(ひき肉・卵・野菜などを混ぜて食パンの形にして蒸し焼きした料理)。付け合わせは、マッシュポテトとコーン。
 午後から、PCCに何度か電話したが、留守電のままでつながらない。

 夕食はI先生も呼んで稲庭うどん。日本から持ってきたもの。それとサーモンを焼く。土曜日に買ったコショウベースの香辛料で焼いたがおいしかった。もちろん、オードリーさんとギルさんが釣ったサーモンが新鮮でおいしいからだ(真空パックして冷凍してあった)。日本では、こんな厚切りのサーモンにはまずお目にかからない。
 「秋田の稲庭うどんは、ほとんどソーメンか冷や麦のような感じだけど、なんでうどんなんだろう」という話を、高知出身で、うどんは讃岐というI先生とする。

 夕食の時に出たもうひとつの話題が「不感蒸泄《ふかんじょうせつ》」。日本のような湿度の高いところでは起きにくいが、アメリカのような湿度の低いところでは、汗以外に、皮膚から直接水分が蒸発していく。汗だと、水分と塩分が一緒に出ていくが、この場合は水分だけ出ていって、体液がどんどん濃くなっていくから、身体のためにはよくない。
 日本人は乾燥した環境に慣れていないから、簡単に脱水症になってしまうことがあるそうだ。だから、湿度の低いところにいるときは(つまりアメリカでは)、日本にいるとき以上に、気をつけて水分を取らないといけない。日本と同じ感覚で水分を取っているのでは足りない。
 アメリカで少し具合が悪くなると、旅の疲れか食事や水が合わないのかと思うが、実際には、脱水症を起こしているのかもしれない。僕は、普段から水分はたっぷりとるほうなのであまり心配はないが、Cなんかは気をつけないといけない。

 夕食の最中に、PCCから電話がかかってきて、明日9時からテストを受けに行くことになる。明日が秋学期のための最終テストだそうだ。間に合ってよかった。

 PCCにテストを受けに行くために、インターネットでTRI-METバスでの行き方を調べた。知らない土地でのバスの乗り方は難しいものだが、ポートランドでは、TRI-METのホームページ(http://go.tri-met.org/cgi-bin/plantrip.cgi)で検索すると、簡単に目的地までのバスのルートと乗り換え場所を調べることができる。
 出発地の住所と、行き先の住所と、出発時間または到着時間を入れて、ボタンを押すだけ。データベースのなかには、時刻表も全部入っているから、どのバス停から何時発のバスに乗って、どこで乗り換えて、何時に着くかがパッと表示される。
 これがあれば、バスでどこへ行くのも自由自在だ。ダウンタンの営業所にも、同じ検索ができるパソコンが誰でも使えるようになっているが、インターネットでどこからでもできるのは本当に便利だ。

 調べてみると、ポートランドはたいていの場所に、バスで行けることがわかってきた。しかも、バスはどんな遠いところでも、最高1.55ドルで行ける。ダウンタウンの中での乗り降りは、車の乗り入れを少なくしようということもあって、無料だ。
 無料というのは、最初の頃は乗ったときに、何となく落ち着かない感じがするが、だんだん慣れてくる。

 いろいろ考えて、5か月半という短い期間だし、外国人の自動車保険は高いので、車の購入は断念したけれど、ダウンタウン周辺に行くなら、バスのほうが便利。ストリートカーやMAX(電車)という便利なものもある。
 ストリートカーは新式の路面電車で、PSUとダウンタウンとノブヒルというレストランやショップが集まった地域を結んでいる。ポートランドでも以前は路面電車があって、廃止されたらしいが、それを新たに復活させたのだ。これも、ダウンタウンへ入ってくる車を減らして、渋滞をなくし、空気もきれいにしようという政策。
 ポートランドには、地下鉄はない。日本でも、路面電車を復活させるようなところが出てくると面白いのだけれど。


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