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これも一つの青春(笑)

 季節はいつも、さりげなく通り過ぎていく。
 一日はこんなにも長く感じるのに、それを綴った季
節はめまぐるしく移り変わってしまう。

 ――気がつけば夏コミ。
 不安と期待を胸にする始まりの季節。
 広がる行列、眩い新刊、さわやかな風に舞う薄桃色
のコスプレの衣装。

 ――気がつけば冬コミ。
 開場を待つのが辛い季節。
 身の締まる冷たい風、新雪に残す足あと、白い息、
吐く息で温める手。

 ――そして、また、夏コミがやってきた。

 それは新しい出逢いの季節。
 この夏、オレはどんな新刊を買うのだろう…?


ぽろっと本音が…

「…わざわざ家まで起こしに来てくれるのは、そりゃ
ありがたい。助かる。けどな…」
「…?」
「でけー声で起きろ起きろ言んじゃねーよ! しかも
名前付きでよ! 恥ずかしいだろーがっ!」
「…ご、ごめん。でも、いくら呼んでもぜんぜん返事
ないし、てっきりまだ寝てるんだと思って――」
「ったく、このオレを近所の笑い者にする気か」
「え? 既に笑い者なんじゃ…」
「なんだとぉ!?」
「…うっ、ごめんなさい」


深夜番組の定番

「…へえ、そうなんだぁ〜、ふ〜ん」
「ちゃんと聞いてんのか」
 別名『歩く天気予報』の異名を持つ志保は、その名
の通り、天気大好きなオンナだ。

「アンタねぇ…」
 志保がジト目でこっちを睨んだ。


志保ちゃんには何でもお見通し

「おい、志保。また、ありもしないことをペラペラと
喋るんじゃねーぞ?」
「ふっふっふ…」
「なんだよ、その笑いは」
「まあ、でも、アンタはともかく、あかりに迷惑かける
わけにはいかないしね。いいわ、黙っといてあげる。
そのかわり、口止め料は豚カツよ!」
 そう言って、志保はパチッとウインクした。
 もう立派な恐喝だろ、これは。
「恐喝じゃなくて、豚カツね」
「…志保、いつから心の中まで読めるようになったんだ!?」


なんですってぇぇぇぇぇ!!(千鶴談)

 見たこともない女生徒だった。
 なんだか、ちょっと大人びた雰囲気がある。
 上級生…か?
「……」
 女生徒は、倒れたまま、きょとんと、なにがあった
のか解らないような顔を向けていた。
「…ごめん、怪我はないか?」
 オレは腰を屈めて訊いた。
「……」
 だが、女生徒はなにも答えず、じぃっとオレの股間
を見つめて動かない。

 おまえは、千鶴さんかぁ!?


いわゆるあかりギャグ

「…あん? くるすがわ?」
「うん。いま話してたでしょ?」
「あ、彼女、来栖川っていうのか?」
「えっ、もしかして、来栖川先輩のこと、知らなかっ
たの?」
「知らん。会ったこともなけりゃ、聞くのも見たのも
初めてだ。…くるすがわ? 変な名前だな」

「はっはっはーっ! 無知は罪なりよ!」
 そんなセリフとともに現れたのは、志保だ。
 そんな志保に対して、あかりは
「え? 『鞭で言いなり』?」
 と突っ込んだ。

 ナイスだ、あかり!


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