3時間目の休み時間。
渡り廊下で、マルチを見掛けた。
「犬さん、犬さん、こんにちは!」
「わんっ」
「猫さん、猫さん、こんにちは!」
「にゃんっ」
「牛さん、牛さん、こんにちは!」
「もーっ」
「象さん、象さん、こんにちは!」
「ぱお〜んっ」
って、ここは学校のはずなのに…。
3時間目の休み時間。
渡り廊下で、マルチを見掛けた。
「犬さん、犬さん、こんにちは!」
「わんっ」
「今日もいい天気ですね」
「わんっ」
「ひなたぼっこはお好きですか?」
「わんっ」
「そうですかぁ」
「わん、わんっ」
「うーん、ご一緒したいのはやまやまですが、わたし
は掃除があるからダメなんです」
「わんっ」
それほどまでに掃除が好きなのか…。
でも、機械で出来たマルチにすりゃ、人間もイヌも、
自分とは違う『生き物』なんだし、明確な差のような
ものはないのかもしれねーな。
「もうすぐ、臨終ですね」
「わんっ」
「意識は遠のきましたか?」
「わんっ」
「そうですかぁ。うらやましいです。わたしはロボット
なので、死ぬこともないんですよー」
「わん、わんっ」
「死ぬって、どんな気分ですか?」
「わんっ」
「知りたいですー」
「わんっ」
まさに冥途(メイド)ロボ(笑)
「もうすぐ、お昼ですね」
「わんっ」
「お腹は空きましたか?」
「わんっ」
「そうですかぁ。うらやましいです。わたしはご飯が
食べれないので、お腹も空かないんですよー」
「ご飯を食べないと、お腹がすくじゃないですか…」
「って、あなたは誰ですか?」
「通りすがりのアンドロイドです。ふっふっふっ!
ちなみに私は良くできているので、お腹も空きます。
それからご飯も炊けます」
なぜここに、R・田中○郎が(笑)
「もうすぐ、お昼ですね」
「わんっ」
「お腹は空きましたか?」
「わんっ」
「そうですかぁ。うらやましいです。わたしはご飯が
食べれないので、お腹も空かないんですよー」
「わん、わんっ」
「お腹が空くって、どんな気分ですか?」
「わんっ」
「知りたいですー」
「わんっ」
「あっ、そうだ。今朝バスの中で席をかわってあげた
おばさんにきのこをもらったんですよー。わたしは
食べれないので、犬さんにあげます。どうぞ!」
「わんっ」
がつがつ。
「おいしいですか? …あれ? どうしたんですか?
泡吹いて…」
そのおばさんって、もしかして柏木千○なんじゃ…。