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残り物には…

 ――しかし、時すでに遅し…。
 おそらくカツサンドが並んでいただろう場所には、
何も置かれていなかった。
 オレたちは買うものも買わず、その場で立ち尽くし
てしまった。
「ちょっと遅かったね…」
「くそ…。カツサンド以外のパンなんて、どのパンも
同じだぜ」
 がっくり肩を落とす、オレ。

「もっとすいてきたら、残り物を買おうよ」
「ああ。残り物にはなんとやら、って言うしな…」
「Oh! それ知ってます。『残り物には悪魔が来た
りて笛を吹く』っていうことわざネ」
 いつのまにやら、オレの横にレミィが居た。

 ってレミィ、そのことわざ、滅茶苦茶パン食う気が
失せるぜ!!

「じゃあ、『残り物には服着せる』ってのはドー?
お下がりって奴ネ」

 ……。

「どっちにしても、残り物は良くないネ。一緒にショ
クドーで学食しまショー」

 …そうだな。


好物

「さーて、なに食うかなぁ?」
「僕はAランチでいいよ」
「ま、妥当な線だな。オレも…っと」
 オレと雅史は、Aランチの食券を買った。
 レミィは――。
「アタシ、これネ」
 と言って押したボタンは『天ぷらうどん』だった。
 ついでに『大盛り券』も買う。

「なんだ、べたべたの日本食じゃねえか。レミィのこ
とだから、ハンバーグランチにでもするのかと思った
のに」
「NoNo! アタシ、ウドーンが大好きだヨ。でも
もっと好きなのは、ハルマゲドーンだよ!」

 …危ない奴。


変!!

 オレたちは適当な席に着き、箸を取った。
「いただきます…と」
 食べようとすると、いきなりレミィがコショウのビ
ンをつかんだので、何をするのかと見ていたら、彼女、
そのままコショウを自分の鼻に振りかけはじめた。
「おいおいレミィ、鼻にコショウかけるもんじゃねえ
だろ?」
「No problem.アタシ、こっちがスキ!」
 とくしゃみしてみたが、レミィの怪しげな行動は、
まだ止まらない。

 今度はソースのビンをつかみ、頭にかけ始めた。
 それには、さすがに雅史も目を丸くしている。
「おいおい、今度は頭にソースかぁ?」
「アタシ、おいしいわヨ」
「そうは見えん…」

 とは言ったものの、うまそうに微笑むレミィを見て
ると、おかしいのはこっちの方かも…とか思ってしまっ
た。

 って、誰が思うかぁぁぁ!!


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