[ 0017 ]

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去年からだよ

 神社に来たが、葵ちゃんの姿はない。
 どうしたんだろう。
 あっ、そうか。
 忘れてた。
 月曜と水曜は、クラブはない日だった。
 何回間違えりゃ気が済むんだ、オレは!

 自分の馬鹿さに呆れつつ、ぼけーーーーっと、空を
眺めていたときだった。

 チリチリチリチリ!
 うぉっ!? これは毒電波!?

「晴れた日はよく届くから」
 月島さんはいきなりそう言うと、子供のように無邪
気に微笑んで、すっ、と空を見上げた。

 って、いつからそこに?


シンジ「ふきふきといえば楓ちゃんで決まりか」

「そんな、悪いです、センパイにそんなコト…」
「なに言ってんだよ。オレもこのクラブの一員なんだ
しさ、それぐらい当たり前だろ?」
「センパイ…」
「ほら、ほうき、一本貸しな」
「あ、はいっ」
 そして、ふたりは掃除を始めた。

 さっさっさっさ…。
 さっさっさっさ…。
 ふきふきふきふき…。
 ふきふきふきふき…。

「じ、自分で拭きます……」
「いいから、じっとしてて……」
「あっ!」

 こうして、青い空の下、ふたりは『痕ごっこ』をし
た。


これも一つの練習です

「そんな、悪いです、センパイにそんなコト…」
「なに言ってんだよ。オレもこのクラブの一員なんだ
しさ、それぐらい当たり前だろ?」
「センパイ…」
「ほら、ほうき、一本貸しな」
「あ、はいっ」
 そして、ふたりは掃除を始めた。

 さっさっさっさ…。
 さっさっさっさ…。
 ふきふきふきふき…。
 ふきふきふきふき…。
 青い空の下、ふたりは境内をほうきで掃き、なにか
といろいろお世話になっている社にかわず掛けをかけ
た。

「こっ、これがジャイアント馬場の得意技なのか!!」
「そうです!! これさえマスターすれば全日に入れ
ます!」
「こっ、これでいいのか?」
「はい、センパイ! その調子です!!」






「ふーっ、取りあえずはキレイに技を掛けれるように
なりましたね」
 葵ちゃんが額の汗を拭いながら言う。


自然の法則

 そのとき。
「あっ、きゃっ!」
 いきなり、何の前触れもなく葵ちゃんがつまずき、
転び掛けた。
「葵ちゃん!」
 はしっ。
 それを間髪受け止めるオレ。
「大丈夫か、葵ちゃん?」
 おしりの辺りを支えながら、オレが言った。
 キラン。
 太陽に輝き、前歯が光った。
「せんぱい…」
 葵ちゃんの黒目が大きくなって潤んだ。

「す、すみません、センパイ。私ったら、トシで…」

 まさか……、ダブリ!? それとも中学浪人!!?


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