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どこを見てるんですか?

 断るのは簡単だけど…。
 う〜む、この訴えるような目を見ると、冷たくあし
らうのも可哀想な気がしてきた。
 ここは、どう答えたものか…。

  A、見物くらいなら…。

「見物くらいなら…」
「来てくれるんですか!?」
 まあ、少しは赤ブルマに興味もあるしな。
 見物するくらいならセクハラにならないだろ。
 どうせ暇だし。
「いいよ」
 オレはうなずいて答えた。

「……やっぱり、いいです」
 葵ちゃんは嫌そうな顔で言った。

 ……見透かされたかな?


ホットってことさ

 学校の裏手には古い神社がある。
 なにを祭ってあるのかもわからない、小さくて寂れ
た神社だ。
 滅多に誰も寄りつかず、今はただの空き地と化して
しまっている。
 例の格闘好き少女葵ちゃんは、放課後、毎日ここで
ラブラブな練習をしているらしい。

 なんだ、ラブラブな練習って……。


お約束な発想

 …というわけで、やって来てはみたものの、あたり
を見渡しても、葵ちゃんの姿はどこにもない。
 むぅ、おかしい。
 もしや、葵ちゃんは透明人間!?
 だとしたら……、今は裸!?(爆)


海の男

 …というわけで、やって来てはみたものの、あたり
を見渡しても、葵ちゃんの姿はどこにもない。
 むぅ、おかしい。
 もしや、先に来ちまったのか。
 しょうがない。
 もうちょっと待ってみて、それでも来ないのなら帰
るとしよう。
 オレはお堂の階段に錨を下ろし、そこで葵ちゃんを
待つことにした。

 ふう、今日の海は荒れるなぁ(オイオイ)


このやりきれない怒り

 ずばぁーんっ!!

 これは…!?
 誘われるようにして、音の発生源とおぼしき方向へ
歩いて行くと、そこには…。

「…あっ、葵ちゃん」

 ずばぁーんっ!!

 そこには、ハンドバックを相手に蹴りの練習をする
葵ちゃんの姿があった。
 音は、彼女の蹴りがハンドバックに叩き込まれる音
だったのだ。

 どうやら葵ちゃんは、偽物のハンドバックを掴まさ
れて、相当怒っているようだった。

 なんか違うな。


煩悩気!!

「あの、葵ちゃん?」
 気を散らさないように、抑えた声で呼び掛ける。

 ずばぁーんっ!!

 だが、彼女は気付かない。
 すごーく集中してるみたいだ。
 もう一度、呼んでみる。
「葵ちゃ…」

 ずばぁーんっ!!

 だが、声は激しい蹴りの音にかき消され、彼女の耳
には届かない。

 う〜む、これだけ集中していると、あ〜んなことや
こ〜んなことをしても、気付かないかもしれないな。
 へっへっへ……。
 そんなことを想像していると、

「先輩……」

 いつ気付いたのか、葵ちゃんが困ったような表情で
こっちを見ていた。
 どうやら、オレの発する煩悩を察知したようだ。
 さすが格闘家!


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