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さーちほー 千鶴

 俺は居間へと行ってみた。
「千鶴さん、いる?」
 だが居間には人影もなく、コッチ、コッチと時計の
音が聞こえるだけだった。
 テーブルの上も綺麗に片付けられ、人がいたような
気配はない。
「千鶴さん?」
 もう一度呼んでみたが、やはり返事はなかった。
 俺は他の場所を捜すことにした。

 俺はトイレへ行ってみた。
「千鶴さん、いる?」
 コンコンとドアを何度かノックしたが、なんの返事
もない。
「千鶴さん?」
 そっとドアを開けて中を覗いて見た。

「きゃああああぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

「いっ!」
 耳をつんざくような甲高い悲鳴。
 それは千鶴さんの悲鳴だった。

「こういちさんの………えっちいいいぃぃぃぃぃぃぃ
ぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーッ!」

 す、す、す、す、すいませ〜ん!!!

 ああ、ほんの冗談のつもりだったのに……(涙)。


エスパー☆千鶴 その弐

 それからしばらくして、千鶴さんの仕事先から迎え
の車が到着し、それにあわせて俺も一緒に屋敷を出る
ことにした。
「鍵は持ってます?」
 俺が腰を下ろして靴の紐を結んでいると、千鶴さん
が訊いてきた。
「ちゃんと、持ってますよ。…うん、ある」
 俺はポケットの上から中の物を撫で、鍵の形を確認
した。

「どれどれ……」
 そういうと、千鶴さんはドサクサ紛れにズボンの上
から俺の物を撫で、形を確認した。

「……って、そ、そんなこと、私、しません!!!」
 千鶴さんが真っ赤になって、そう叫んだ。

 千鶴さ〜ん、妄想の世界ぐらい自由にさせてくれぇ…。


ついつい本音が…(笑)

 疑問点だって?
 親父の死に?
「…ところで、そちらの方は?」
 男が千鶴さんの肩越しに俺のほうを見て訊いた。
「揃って朝にお出掛けとは…、お友達ですか?」
 その言葉には、下世話な意味が含まれていた。
「私の下僕です」
 千鶴さんはきっぱりと言った。

 が〜〜〜〜〜〜ん!!!


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