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初音ちゃんパニック その六

「ううっ、聞いてよ、初音えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜」
 あたしは泣きながら、初音に全てを説明した。






「え〜〜〜〜!? じゃあ、今ここにいるお兄ちゃん
が梓お姉ちゃんで、梓お姉ちゃんの体に大根入れてる
のが耕一お兄ちゃんなの〜〜〜〜〜!?」
「入れてない! 入れてない!!」


似た者・四姉妹

 なんとも信じ難い事実だけど、初音はすぐにあたし
の言葉を信じてくれた。
 小さい頃からこの子はとっても素直で、むやみに他
人を疑ったりしない奴なのだ。
 で、あたしが、もとに戻りたいから協力して欲しい
と頼むと、初音は快く承諾してくれた。
「うん、いいよ。じゃあ、作戦を考えよ」
 心強い初音の笑顔を見て、あたしはつくづく、持つ
べきものは素直な妹だなぁと思った。
 「梓、それは私も同感です…」
 忽然と現れた千鶴姉が私(梓)の顔をじっと見て
溜息混じりに呟いた。
 わ、悪かったなぁ! 素直じゃなくてぇ!


梓の知恵熱

 作戦といっても、単純なものだ。
 初音がつっかいぼうをしたザルの下にいて、耕一の
気を引き、耕一がザルの下に入った隙にあたしがつっかい
ぼうを思いっきりはずして捕らえるというものだ。
 根拠はないけど、なぜか自信のある作戦だった。
「梓お姉ちゃん、こんな作戦でどうしてそんなに自信
持てるの?」
 初音は涙ぐみながらそう言った。


初音ちゃんパニック その七

 ふと気がつくと、すぐ目の前に、同じように倒れて
いる誰かがいる。
 誰だろう?
 そう思って顔を近づけると、その人はムクリと起き
上がってこう言った。
「…ううっ、いってー、強くぶつけすぎたかな…」
「!?」
 そんな彼女を見て、わたしは言葉を失った。
 …だって。
 だって、だって…、だってなんだもん!
 お願い〜、お願い〜、傷つけないで〜
 わたしの〜ハ〜ト〜は〜…

 あの初音がキレた。元ネタの歌がなんなのか、よく
わからないけど、これにはちょっとびっくりかも。(笑)


初音ちゃん 想像する

 わたしの体に入った梓お姉ちゃんは、叫びながら、
梓お姉ちゃんの体に入った耕一お兄ちゃんを追いかけ
まわす。
「ああんっ、梓お姉ちゃ〜ん、わたしの体返して〜」
 そして、耕一お兄ちゃんになったわたしは、そんな
わたしの体に入った梓お姉ちゃんを追いかけている。
 ううっ…。
 もしも、この先ずっと、耕一お兄ちゃんの体のまま
だったら、どうしよう…。
 さらに、お兄ちゃんになった自分がスクール水着を
着てる姿を想像して青ざめた。
 ああ〜んっ、そんなの絶対にはみでちゃう〜〜〜〜
〜〜〜っ!(笑)


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