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全国民の選択

「…で、でもね、梓」
「そうだろ、なあ? 耕一」
「お、おう、まあな」
「…もう」
 千鶴さんはちらりと俺のほうを見て、恥ずかしそう
に照れ笑いをした。

 1、千鶴さんは別に太ってないと思うけど。
 2、朝食を抜くのは体に悪いよ。
 3、千鶴さんはもっと太って胸を大きくした方がい
いよ。

 う〜ん、本音は3なんだけどなぁ(笑)


蛇足はやぶへび

 俺はまじめな顔でそう言った。
 別のフォローのつもりで言ったわけじゃない。
 本当に全然太ってないのだ。
「いや、むしろ、やせ過ぎかなと思うけど…」
「そ、そうですか?」
 千鶴さんの表情がぱっと明るくなった。
「そう、特に胸のあたりが……」
「そ、そうですか?」
 千鶴さんの表情がぱっと鬼になった。


暖めると膜ができます

 初音ちゃんはテーブルに小鍋を置くと、俺の横に膝
をついて座った。
 小さな鍋の蓋を開けると湯気が立ち上がる。
 初音ちゃんはお椀に牛乳をよそってくれた。
「はい、耕一お兄ちゃん」
「はいって、あのねぇ……」


本当においしいのは…

 そのとき、幸せそうな顔でじっと俺を見つめていた
初音ちゃんが、
「おいしい?」
 と訊いてきた。

 俺は…

 1、ひとこと「うまい!」と答える。
 2、「う、うん…まぁ…」と答える。
 3、「初音ちゃんの方がおいしそうだ」と答えて襲う。

 う〜ん、本音は3なんだけどなぁ(笑)


将来の展望

「梓お姉ちゃんって、料理の才能あると思うな。将来
は絶対、立派なコックさんになるよね?」
「コックさん? お嫁さんじゃなくて?」
「うん」
「…」
「…」
 初音ちゃんは、本当正直だなぁ。


力加減がポイント高し

「いやしかし、味加減や具のチョイスがポイント高い
と思うな、俺は」
「そ、そう?」
 梓はテーブルを見ながら、俺の頭を叩いた。
 バコッと鈍い音がする。
「……梓お姉ちゃんって、拳法の才能あると思うな。
将来は絶対、立派な武闘家になるよね?」
「そ、そうだな」
 ちらりと見ると、梓は手を赤く染めて俯いたまま、
もじもじとしていた。
 視線に気付くと、上目づかいに俺を見て、エヘヘと
照れ笑いを浮かべた。
 そ、その前に止血してくれ。


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