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初音ちゃん、もしかして…わざと?(笑)

「…ふふ、目は覚めた?」
 初音ちゃんが立ち上がって微笑んだ。
「あ、うん」
 俺も微笑み返す。
「お兄ちゃん、寝癖になってるよ」
「えっ、どこ?」
「ここ、ここ」
「…」
 あ、あのぉ、初音ちゃん。それは…、寝癖じゃない
んだよぉぉぉ(涙) 悲しい男の性なんだよぉ(涙)


耕一の寝癖・初音の純情

 どのくらい眠っただろうか。
 耳元でくすくすと可愛い笑い声が聞こえる。
「…お兄ちゃん、すっ、素っ裸で寝てちゃ…かっ、風
邪ひくよ」

 俺はゆっくりと瞼を開けた。
 目の前に、ぼんやりと人影が見える。
 焦点が定まると、それが初音ちゃんだということに
気付く。
「お兄ちゃん、おはよ」
 膝を折って座った初音ちゃんが顔を背けて言った。
「…やあ、おかえり」
 俺は○○○○を擦りながらそう言った。
「…」
 彼女は顔を真っ赤にして俯いた。


これも一種のペアルック?

 初音ちゃんは腰の辺りで両手を組んで、一歩後ろに
下がると、
「お兄ちゃん。約束、覚えてるよね」
 伏し目がちに俺の目を見つめた。
「え? 約束?」
「うん。帰ったら、遊んでくれるって…」
「ああ、うん、覚えてるよ。なにして遊ぼうか?」
「…ふふ、とにかく先にその寝癖なおしてからだよ」
「…そうだな」
 俺は頭の寝癖を押さえて、放した。
 自分では見えないが、ぴょんと立ったはずだ。

 わーい、これで初音ちゃんとお揃いだぁ!
 俺は心の中でそう叫んだ。

 初音ちゃんは、なんだか複雑な顔をした。


家という安心感は人をリラックスさせる

「ただいまー」
 玄関を開けて中に入った途端、香ばしいいい匂いが
漂ってくる。
 俺がパンツを脱いでいると、廊下をちょっと小走り
気味に、初音ちゃんがやってきた。
「おかえりなさーい、耕一お兄ちゃ……、キャー!!」
 甲高い悲鳴の出迎えに、俺の気持ちが高ぶる。
「な、な、な、なんで玄関で服を脱いでるの!?」
 初音ちゃんは手で顔を覆いながら、そう、訊いてき
た。

 って、変なことやらすなぁ!!(笑)


拒否権なきクイズ

「もうすぐ、夕ご飯ができるよ。今、千鶴お姉ちゃん
が作ってるところだから。では問題です。今日のご飯
はなんでしょう?」
 初音ちゃんはいきなりそんなクイズを出してきた。
「うーむ、これはしょう油の匂いだろ」
「そう、そう」
「そうだな…」

 1、野菜いため、に似た物体だ!
 2、肉じゃが、に似た物体だ!
 3、焼きめし、に似た物体だ!

 …どれも選びたくないな。


「アナグラム(語句転綴)」は「穴ぐら」とは違う…

 俺が何気なくそう言って、ふと目をやると、そこに
は涙でじわりと目を潤ませた初音ちゃんがいた。
「は、初音ちゃん…」
「ううっ…、耕一お兄ちゃん。…肉じゃが、おっぱい
いかわりしてね」
「え?」
「あっ、間違えた…」

 どうやら、初音ちゃんは『いっぱい、おかわりして
ね』と言いたかったらしい…。


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