「さあ! みんな。節分だし、豆まきでもしよっか!」
俺がそう言い出したとき、四人の視線が一斉に俺に
集まった。
「ええっ」
「ま…豆まき…」
「あっ」
「え…」
四人とも俺を怯えたような視線で見つめている。
一体なにがおこったんだ?
ふと気が付くと、四人は一カ所に寄り集まっていた。
「耕一さん、私はどうなっても構いません。ですが、
妹たちだけは−−」
「ううっ、…お姉ちゃん…」
その時、俺はあることに気付いた。
「あのぉ…、千鶴さん。そう言いつつも、初音ちゃん
を盾にしているように見えるのは、俺の気のせいでし
ょうか?」
そう言うと、千鶴さんはぎこちなく微笑んだ。
やっぱり、偽善者…(笑)
「さあ! みんな。節句だし、ちまきでもつくりまし
ょうか!」
私がそう言い出したとき、耕一さんを含む四人の視
線が一斉に私に集まった。
「ええっ」
「ち…ちまき…」
「あっ」
「え…」
四人とも私を怯えたような視線で見つめている。
「千鶴さん、俺はどうなっても構いません。だけど、
初音ちゃんたちだけは−−」
「ううっ、…お兄ちゃん…」
「…わからないよ、千鶴姉。千鶴姉に作らせるなら、
あたしは死んでも死にきれないよ…」
「千鶴姉さん……」
じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
ううぅ、みんなひどいわ。私がちまきを作ることを、
そんなに嫌がるなんて!
とりあえず、この怒りは一番口の悪かった梓で晴ら
しましょう。
「さあ! みんな。ムラムラするし、種まきでもしよっか!」
俺がそう言い出したとき、四人の視線が一斉に俺に
集まった。
「ええっ」
「た…種まき…って耕一さんの?」
「あっ」
「え…」
四人とも俺を照れたような視線で見つめている。
ふと気が付くと、四人は一カ所に寄り集まっていた。
「耕一さん、私はどうなっても構いません。ですが、
妹たちだけは−−」
「ううっ、…お姉ちゃん! そんなこと言って、耕一
お兄ちゃんを独り占めしようだなんて…」
「…わかったよ、耕一。あんたにやられるなら、あた
しも本望だよ…」
「耕一さん……」
じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
「……」
ううっ、四人とも可愛いからなあ。誰を選ぼうかな。
ん、待てよ! ここで誰かを選ぶと他の三人に恨ま
れるのは確実だ。
そ、それだけは避けなければ!
「な、なーてんてな、びっくりした、みんな?」
俺はなんとか冗談ですまそうとした。
その途端、四人の表情に落胆の色が浮かんだ。
「ふ〜」
と、千鶴さん。
「ちぇッ、片づけでもすっかぁ」
と、梓。
楓ちゃんと初音ちゃんも、ガクッと肩を落とした。