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イッちゃってるよ、かおりちゃん

「こんにちはーっ! おじゃましてまーすっ!」
 飛び抜けて明るい声が廊下中を走り抜け、梓の後ろ
にいたカールヘアーの女の子が姿を見せた。
 短くシャギーカットされた前髪が、溢れ出る明るさ
によく似合っていた。
 梓と同じ制服を着ている。
「…えっとね、こいつは…」
「初めまして、わたし、日吉(ひよし)といいます」
 梓の言葉を遮って、少女は自己紹介した。
「梓おっぱいの後輩です…って、アハッ、おっぱいの
後輩ってのも、なんだかおかしいですよねー?」
 少女はそう言って、ケラケラと笑った。

 なんだ、こいつは!!(笑)


特に深い意味はあります(笑)

 梓は気まずそうな顔でこっちを見て説明した。
「…あっ、えっと、この子ね、ウチの学校で陸上部の
マネージャーやってる子なんだ。今日はどうしても家
に来るって言ってきかなくてさ、それでつい…」
「そりゃそうですよ!」
 後輩が割って入った。
「見せてくれるって約束したのは今年の始めですよ!
なのに梓先輩ったら、いっつも忙しいとか体の調子が
悪いとか言って逃げるんだもん! だからわたし、今
日を逃したら後がないと思ったんです!」
 随分と単刀直入にものを言う子である。

「かおり。あんた、先に行っといて。奥から二番目の
ヘアがそうだから」
「はーい! エヘヘ、やった! ついに本邦初公開!
梓先輩の秘密の花園が見れるのね〜!」
「…」


三人寄れば…

 遠くの方で、後輩の子が部屋のドアを閉めるパタン
という音がした。
 一呼吸ほど置いて、
「耕一〜っ!」
 懇願するような顔で、梓が俺の腕にすがってきた。
「あんたも一緒に部屋に来て〜」
 梓は情けない顔をして言った。
「はあ? 俺とあの子と三人で、3Pしたいのか…」
 バコッ!
「うぅぅぅ」
 梓の一発必中の蹴りを鳩尾に受け、俺は気を失った。


それは偏見では?(笑)

「…あの子、ズーレだって噂なのよ〜〜〜〜〜〜!」
 蒼い顔でそう言った。

「ずーれ…ってなに?」
 初音ちゃんがキョトンとした顔で訊いた。
「ズーレだよ、ズーレ。レズ。女の子が好きな女の子
のこと!」
 梓がヒソヒソ声で言った。
「ええ〜ッ! あのお姉ちゃん、藍原瑞…モガッ!」
 驚いて大声をあげた初音ちゃんの口を、咄嗟に梓が
押さえた。

「馬鹿ーッ! どうして雫のキャラクターなんだよぉ
ッ!」

 その時俺は、「ソフトレズは優秀なんですぅ」とい
う声を聞いたような気がした。


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