ランタントレック&ギャンジン・リ登頂 (2)

10/11

今日も、雲ひとつ無く、素晴らしい天気だ。腰の具合も、小康状態を保っている。今日の行程は長いので、早めに出発することにする。シャブルからは、ランタン・コーラまで一気に下る。ランタン・コーラ沿いの道に入った頃、ようやく、この深い谷にも朝陽が輝き始め、対岸の奥鐘のような岸壁が輝きだす。約3時間歩いた所で、バンブーロッジ前に飛び出すのだが、旧いガイドブック等には、「うっそうとした林の中にバンブーロッジが。。。」のくだりがあるが、いまは河原の開けたボルダーの中にロッジが立てられている。何故かとポーターに問うた所、数年前に、土石流のため、このあたりの建物は全て流されてしまったそうだ。確かに、転がっている巨石群を見ると、すべてが苔むしていない、また地図に掲載されている橋も無く、激流に急造の木の橋が架かっているだけだった。(余談だが、このあたりからギャンジン・コンパまでは、ボルダー天国が続く、一生かかっても登り切れないだろう。)ここから、登りがだんだん急になってくる。もう相当に嫌になった頃、やっとランチスペースのラマホテルに着く、ラマホテルは約10軒位のモダンなロッジが集合している村だ。パンなども売っている。ここで、ポーターは、当然のごとく、「どの部屋にするか選んでください」などと言っている。違うって!「我々はここでは、スティしません、さらに奥のゴラタベラまで今日中に行く」と言うと、今まで、そんな日本人はいない、などと言っている。なんだかゴラタベラまで行くのが嫌そうだが、ここでスティしまうと、ギャンジン・リに登れなくなってしまうので、かわいそうだと思ったが、休みがギリギリしかとれない日本人!しかたあるまい。こちらも、疲れていたが、体にむち打ち、昼ご飯も早々に出発する。途中にも何ヶ所かロッジと小奇麗なキャンプサイトがある。そのつど、ポーター達が、「ここまでにしませんか?」と言うが、こっちだって休みがあれば、スティしたいのは、やまやまなのだ。少しずつ夕闇がせまりくる頃、急登を登り終え、やっとゴラタベラに着く、付き合ってくれたポーター諸君御苦労さんでした。ロッジに着くとすぐに水分を補給するのだが、普通ならミルクティかホットレモン、しかし、今日はビールに決まっている、はてました。時間をみると、休憩時間を入れて、9時間の行動でした。(山岳部の夏山縦走みたいだなぁ〜)でも、ゴラタベラは、ロッジの前が草原になっていてとても気持ちの良い所です、そしてなによりも、霧が晴れると、目の前に、ランタン・リルンがその雄姿を現します。この姿を見ると、ここまで歩いてきた苦労が報われます。夜は、おもいっきりロキシーを2杯あおって寝ました。

シャブル7:15〜バンブー10:00 10:30〜ラマホテル12:40 昼 1:30〜ゴラタベラ4:00

10/12

今日も、長い道のりだ。歩き出すと、まもなくヘリポート、そしてアーミーのチェックポストである。ここで、パスポートナンバーや、トレッキングパミッションのナンバーを書き込み、ゲートを開けてもらう。お金持ちツアーの場合、このヘリポートまでヘリをチャーターするようだ。カトマンズから25分で、ここまで来られると言う。確かに、あのバスの苦労を考えると、日数の限られた登山などで、ある程度人数が集まれば、利用方しだいでは、まんざらではないと思う。往復にチャーターすれば5日は短縮できる、その分を登山やトレックにあてられる。たとえばヤラ・ピークの計画だとパミッションがいらないので下記にようになる(天候に左右される点では、バスもヘリも同じような物だと思う)

1日目 カトマンズ〜ヘリポート〜ランタン

2日目 ランタン〜ギャンジン・コンパ

3日目 ギャンジン・コンパ(近くの山で順応)

4日目 ギャンジン・コンパ〜ヤラ・カルカ

5日目 ヤラ・カルカ〜アタック〜ヤラ・カルカ

6日目 ヤラ・カルカ〜ランタン

7日目 ランタン〜ゴラタベラ〜カトマンズ

8日目 予備

9日目 この日の夜帰国

(仮にヘリチャーターを$3000とし6人パーティとすれば一人$500の追加、あまった日数でトレッキングもできる)

さて、話が横にそれたが、ここからは、まじかに迫る山並みを見ながら、気分最高のトレッキングである、右手にはナヤカンガの端も見え始める。ランタン・リルンが刻々と形を変えて行く。目標のギャンジン・リは、何処だ何処だと探すが、流石に標高も低く、このあたりでは見えない。約3時間ほとで、水力で動くマニ車を通り越すとランタン村である。明るくて気持ちが良く、沢山のトレッカーで賑わっている。ところが、ポーター達が、またしても「今日はここでスティしないか?」と言っている。だから「ここで、スティすると山登れなくなってしまうでしょう!」と説明する。どうも不安げだったので、よくよく話を聞くと、かつて日本人のトレッカーがギャンジン・ゴンパで、高度障害で、最悪の状態になり、大雨の中担いでおりたのだそうだ。だから、なるべくなら、ここで順応をかけて欲しいとの事であった。それで、「今回は家族用に酸素も持ってるいるし、僕は6000m位までは、障害でないから大丈夫」と言い聞かせ、チョコレートをあげて安心させる(^^)ちなみに、僕の大好きなイカフライは、不評であった。ここからは素晴らしいメンダン(マニ石を、長く積み重ねてある)の道を、心も軽く歩く、ただ、気温がやはり少しずつ下がって行くのと、ゴンパが近づくにつれて風が強くなっていく。ランタンより上は山の気候にはいり、環境ががらっと変わる。ゴンパに着くと具合が悪くなり体調を崩す人がでるのは、強ち、酸素の影響ばかりでなく風や寒さなどの総合的な影響によるものではないだろうか?3時ごろギャンジン・ゴンパに到着した。正面にはヒマラヒダのギャンチェンボが鎮座し左がランタンリルン右がナヤカンガである。草原やカルカにはヤク、牛、馬、羊などが混じって戯れている。時間に限りがないのなら、何日も何日も、来る日も来る日も、この風景を見ながらぼんやりしていたい場所だ。これならティルマンでなくとも、「天国のようだ」と言うだろう。ティルマンや、シシャパンマがチベット側にある事を発見したハーゲンなどの古人に想いを寄せて今宵もビールを飲む。

ゴラタベラ8:00〜ランタン村10:40昼 12:30〜ギャンジン・ゴンパ 3:00

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