ランタントレック&ギャンジン・リ登頂 (1)

 去年の「ずぶぬれトレッキング」の雪辱に燃えて、今年もネパール家族旅行を執行う事となった。今回は、ティルマンが「世界で最も美しい谷」と称賛したランタン谷トレッキングに家族会議の末決定した。トレックだけでは少し物足りなかったので、できればギャンジン・コンパの先にあるツェルコ・リ(4984m)に登りたかったのだが、日程がどうしても一日少なく、(途中かなり無理した計画だが、それでも1日足りない)泣々、少し低いギャンジン・リ(4773m)ハイキングを目標にした。さぁ、一年に一回の御楽しみの始まり始まりである。

10/8

 なぜか関空の近くなのに温泉がある関空温泉ガーデンパレスを後に、空港へと向かう。全ての手続きを終えたのだが、いつまでたっても「関空〜カトマンズ」のアナウスメントがされない、これは、もしかするとロイヤルネパールの必殺技十八番「遅延」を食らったかと不安になる。カウンターに問い合わせに行くと、やはり的中、約5時間の遅れだ!香港の時は5時間が、やがて9時間に、9時間が1日に、そして1日が2日間に延びた。もし、1日延びてしまうと、今回の計画のギャンジン・ゴンパより上の計画が、この時点で終わりとなる。むむむむぅ〜。遅れてもよいから5時間で収まってほしいものだ。飛行機が遅れる事を経験した事のない妻は、横で「アンビリーバブル」を連発している。「日程に限りがある社会人の行く国ではない」などと発している。「日程に限りがない社会人」としては肩身が狭い。。。いいかげん時間潰しに飽きたころ、なんと5時間半遅れで、ボーディングが始まるとのこと!素晴らしい!、「時間通りだ」と喜ぶ私だが、横からの冷ややかな視線が気になる。。さあ旅が始まった、ところで5時間遅れると、明日の予定はどうなるのだろう?計算上では、日本時間の夜中1時頃到着の予定になるが?不安を胸に機上の人となる

関空発17:30〜カトマンズ01:30

10/9

 う〜ん、遅い遅いヒザ発行、ホテルにやっとの思いで辿り着いたのは日本時間の4時であった。実は、これは、この日の地獄の始まりでしかなかったのであるが、そんな事とは露とも知らず、バススタート7時半に向けて仮眠に入る二人であった。

 プルパ(我がエージェントの親分)との再会、そして祝福もそこそこに、バス乗り場へと急ぐ、ところが、ダサイン(ネパールの大規模なお祭り)が終わった直後とあって、田舎からカトマンズへ出てきた村人が、帰省するため、山手線も吃驚の大混雑だ、バスの中も、ぎゅうぎゅう詰めである。もう子供も赤ちゃんも、おばさんも、関係ない、これで走ったら、みんな気持ち悪くなってしまうのではないだろうか?屋根の上も込み合っている。落ちないものだろうか?(屋根の上でもバス料金はかかります)やがて、にぎやかなクラクションを高々と鳴らしバスは走りだした。。とたん、もうシェーク・シェーク・シェーク、カクテルシェーカーの氷となる。辛い、なんだか腰が、もやもやとした感覚になってきている。もしや持病の腰痛が再発するのでは?案の定1時間も経たない内に、腰痛が始まった。脂汗をだらだら垂らしながらのバス旅行となってしまった。途中2ヶ所のチェックポスト経由して、この日の御昼休み所であるトリスリ・バザールに到着したころには、僕の腰は完全に破壊されていた。腰を押さえながら、バスから転げるようにはい出て、食堂でダルバートを流し込む。もうバスに乗りたくない気分だが、我慢してバスに再び乗り込む、隣にいた西欧人は、もう限界とばかりに、屋根に登って場所を確保している。午後の幕開けだったのだが、バザールから走り出して1時間位の所で、いきなりバスが前のめりに傾き、ブレーキ音を発しながら止まる、何事かと外に出てタイヤを見ると、完全なバースト状態だぁ〜! こんなバースト状態は、教習所のビデオで見て以来だ。これが これから向かう谷沿いの山道だったらと思うと、ぞぉ〜冷や汗がタラリ、すれ違いができない所なので、前に後ろにもバスが約10台位並ぶが、だれも騒ず怒らず、のんびりとタイヤ交換を見学している。きっとパンクは珍しい事ではないのだろう、焦っていたの我々だけか、しかし、この日のメインは、このパンクではなかったのだ。約30分で、ようやくタイヤ交換も終わりバスは再び山波めざして、旅人をシェークしながら走り出す。山に入るにしたがって、どんよりと雲がたれこめだす。なにやら胸騒ぎ、さらに1時間走った地点で、ついに激しい夕立となり、みるみる道路がズルズルになって川となる。またバスが止まる、今度は何事かと外を見ると、なんと我々乗っているバスの前に約5台のバスが立ち往生している。さらに、我々の後ろにも、続々と後続のバスがストップしていく、、、先頭のバスはどうしたのだろうと降りてみると、坂をスリップして登る事ができず、道を遮断しているのだ。何度かバックしては、勢いをつけてトライするのだが、やはりズルズルと滑り落ちてしまう。元気な西欧人達は、早々諦めて、荷物を背負い歩く準備をしている。ガイド兼ポーターのラクパに、ここから何時間だと聞いたら、かる〜く3時間と言われてしまい、元気のない日本人は、躊躇し少し状況を見ることにした。これだけ客がいるのだから、みんなで一台ずつ押せば、全てのバスをクリアされられそうなものだが、このあたりの感覚が日本とは違うようだ。しばらく、見ていたが、我々も諦めて歩き出す、どうやら最後になってしまた。ガネッシュの山々には、夕暮れがせまり、しかたなくヘッドランプを点し、ボロボロと歩く。予期せぬ歩きは心の準備ができておらず、辛いものだ。裏から、四駆のトヨタと三菱が、悪路をものともせず我々を追い抜いていく、無理とは解っていても手を挙げてみるが、虚しく通り過ぎている。ところが、ようやく1時間歩いた頃、「捨てる神あれば拾う神あり!」なんとポーターと知り合いの車が偶然通りかかり拾われる!!やった!!助かった!!、この感覚、何処か遠い昔、感じた事のある感覚だ!そう、なんの事はない遭難したとき救われる感覚と同じではないか、と言う事は我々は、ネパール生活道路ですでに精神的遭難状態あったのか、むむむ〜、そんなこんなで、ようやく車も目的のドゥンチェに到着、こうして怒濤の長い1日に幕が降りた。

ホテルターメル起床5:30 バス出発7:30〜トリスリ・バザール11:30 12:00〜ドゥンチェ20:00

10/10

さあ、いよいよトレッキング初日だ。ところが、この2日間の疲れか、少し頭が痛い。ホテルからはヒマラヤが、目の前に望める素晴らしい展望だと言うのに気分がはれない。無理やり朝飯&ミルクティを詰め込み、我々2人&ポーター兼ガイド2人、総4人で歩き始めるが、歩き出してすぐに腰が痛くなる。もう歩くの止めようかと思った程痛かったのだが、今日は短い行程なので、今日頑張ってみて判断しようと思いシャブルまでは行くことにする。嫁さんは、昨年と別人のように元気で、ぶっとばして歩いている、「高所で、そんなに急ぐと、高度障害になるから、今からゆっくり歩く癖をつけた方が良い」などと言ってゆっくり歩かせたが、なんの事はない、私の調子が実は最悪なだけだ。ドゥンチェ〜シャブル間は、木々の茂った緑深い道を、鳥や猿などを見ながらのんびりと歩ける場所である。また花なども美しく、腰の痛みをまぎらわす事ができ、途中大休憩を挟み、なんとか午後にシャブルに到着した。シャブルには近代的なロッジが何軒もある。また村の上のゴンパからは朝夕にガネッシュが美しい。ネパールはどこでもそうだが、この村の子供達も元気だ。少し遊んであげると、いつまでも、飽きることなく遊んでくれと寄ってくるので、こちらも少しネパール語の練習をさせてもらう。今夜のネグラは、ランタンビューロッジ、ディナーのフライドライスは最高で、ようやく元気がでてきた。さあ、明日は、いくらか元気になるだろう

ドゥンチェ8:10〜バラバル12:05ランチ1:00〜シャブル2:00到着

戻る   進む