イギリスの旅・旅行記

ロンドン London

このイギリスの旅の目的は、近代デザインの父である、ウイリアム・モリス(1834-1896)の史跡を訪ねることです。モリスは、テキスタイル、製本、家具のデザイン等で大きな足跡を残しています。モリスの作品が見られるのは、まず、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館です。次に、ロンドン北部にあるウイリアム・モリス・ギャラリーです。もう1つ、モリスゆかりの地として、ロンドン郊外にレッド・ハウスがあるのですが、ここは非公開なので行けませんでした。

 ロンドンでは、ケンジントン公園近くのバイロンというプチ・ホテルに泊まりました。交通の便のよいところです。ここからケンジントン公園を南に横切って、ヴィクトリア&アルバート美術館に向かいました。公園の南の門を出て、ロイヤル・アルバート・ホールを横に見ながらしばらく行くと、ヴィクトリア&アルバート美術館に着きます。美術館の入り口で聞くと、モリスの作品が展示してある部屋の一覧表をくれました。圧巻は、美術館奥にあるグリーン・ダイニング・ルームです。モリスの緑の壁紙が部屋を覆っていました。

ウイリアム・モリス・ギャラリー(写真)は、モリスがオックスフォード大学に入る前に住んだ家です。ここは、ロンドンの中心部からは離れていて、地下鉄のヴィクトリア線の終点のウォルサムストウ・セントラル駅からバスで行きました。小さな美術館ですが、ケルムスコット・プレスの本をはじめとして、多くのモリスの作品を見ることができます。このあたりは、インド出身の人の多い地区らしくて、帰りに食べたカレーが意外においしかったです。   


バース Bath

 コッツウォルズ観光の出発点として、イングランド南東部の古都、バースを訪ねました。ロンドンのパディントン駅から、1時間ちょっとでバース・スパ駅に着きます。バースでは、インターネットで見つけたラベンダーハウスと言うB&Bに泊まりました。ここは、バース中心部からは歩いて20分くらいで、ちょっと距離はあるのですが、環境の良い住宅地にありました。バース駅の南の丘陵地にあり、坂の途中でバース市の全景を見渡すことができました。宿では、2匹の猫が出迎えてくれました。 

 次の日はバース市街をまわりました。宿を出て坂を下り、エイヴォン川を越えると、商店街に出ました。ここを抜けると、バース観光の中心であるローマ浴場跡(写真)がありました。この浴場跡は、ローマ時代にローマ軍がこの地を占領した時にまでさかのぼります。中にはローマ時代のレリーフが展示してありました。浴場跡の向かいには、イギリスのゴチック様式のバース大聖堂があります。大聖堂の前では、フルートのコンサートが行われていました。

 大聖堂から北に向かって坂道を上り、脇道に入ると、バートレット・ストリートのアンティーク街があります。陶器などの小物のアンティークを見て回りました。ここのそばには、コスチューム博物館があり、中世から現代のデザイナーまでの衣装が展示してありました。ふたたびバース中心部にもどり、こんどは大聖堂から東に向かいました。しばらく行くと、エイヴォン川の川岸の小公園に出ます。ここから、エイヴォン川にかかるパルティニ橋をながめることができます。帰りに、「サリー・ランの家」で、名物のお菓子、サリー・ランズ・バーンをいただきました。


コッツウォルズ Cotzwolds

いよいよ、モリスが愛したコッツウォルズを巡ります。問題は交通の便の悪さで、電車もバスもありません(ロンドンから観光バスは出ているようです)。そこで、バースでレンタカーを借りることにしました。始めに、バースの北東にあるカースル・クームを訪れました。「イギリスの町並みコンテスト」で優勝しているだけあって、美しい「はちみつ色」の家々が並んでいました。ただし、あっという間にひとまわりしてしまうほどの小さな町でした。町はずれの石橋から河原に下りて、スケッチをしていると、観光客が寄ってきました。

カースル・クームから北東に進み、途中道にまよいながら、バイブリーに着きました。モリスが「イギリスで一番美しい村」と讃えた地です。まず見えてきたのは、スワン・ホテルです。そこから、コルン川のせせらぎに沿ってしばらく歩くと、アーリントン・ロウと呼ばれる石造りの家並みがあります。ここは、17世紀の織物職人の小屋でしたが、現在でも保存に協力する人達が住んでいるそうです。家の前には花が咲いていました。

さらに北に進んで、ボートン・オン・ザ・ウォーターでひと休みしました。川にかかる低い石橋が並んでいる景色が有名です。もう少し北に行って、ストウ・オン・ザ・ウォルドに着いたときには、もう夕方になっていました。ストウ・オン・ザ・ウォルドでは、インターネットでさがしたマナー・ハウス(写真)に泊まりました。この町はちょっとした高台にあるので、部屋の窓から遠くまで見通すことができます。薄暗くなると、中庭に野うさぎが出て来ました。

次の日は、コッツウォルズを南下して、モリスが晩年を過ごした村、ケルムスコットをめざします。途中、コッツウォルズ中央部の村、バーフォードでひと休みしました。ここは、坂道にそって伸びる街道の町です。イングリッシュ・ガーデンの本に出ていた「カントリー・マンズ・ガーデン」(写真)を訪ねてみると、あいにく工事中ということでした。しかし、日本から来たよしを告げると、快く受け入れてくれました。工事中とはいえ、十分に庭を楽しむことができました。

再び、ケルムスコットをめざします。道に迷いながら、細い道を通って、ようやくケルムスコットに着きました。モリスの家、ケルムスコット・マナー(写真)は、現在、ウイリアム・モリス協会が管理しており、夏の間だけ、週に1日、公開されています。少し早く着きすぎたので、あたりを散歩していると、テムズ川の川岸に出ました。もどって見ると、すでに多くの人が開館を待っています。館内には、モリスの作品やゆかりの品、ロセッティの絵画等が展示してありました。庭園には色とりどりの花が咲いていました。帰りには、村内の小さな教会にあるモリスの墓におまいりして来ました。

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