山ある記

磐梯山   (1,819m) − 福島県                 2000.05.05 (金)

 
天候:晴れ
標高差
:1,129m

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沼の平から磐梯山頂(27KB)

  前日は雨で嫌われた格好となったが、一夜明けて猪苗代にも晴れが戻ってきた。
  早朝に安達太良山を登頂して、余勢を駆って磐梯山に戻ってきた。安達太良からは国道115号を土湯トンネル経由で前日に一度訪れていた猪苗代スキー場の登山口に向った。途中、給油をしたりしたが、11時前には駐車場に着き、百名山のハシゴの準備。一日でハシゴするなんて言ったら、深田久弥氏に怒られそうだが。安達太良山頂から見えた磐梯山を覆う雲海も、スキー場に着く頃にはすっかり晴れ上がり、ゲレンデからは磐梯山頂が爽やかにそびえて見えた。登山口から見る磐梯山は右半分を112年前の噴火で吹っ飛ばされて、右側だけが切り立ったシェイプ。
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山頂から桧原湖(20KB)
10:55 表登山口(690m)を出発。ここからしばらくゲレンデ内の砂利の林道を歩く。気温は随分上がって日向では25度。
11:20 レストラン”赤べこ”のある辺り(約900m)。登山道はどこかよくわからなかったが、とにかくゲレンデのきつい斜面を歩く。と、目の前の斜面に視線を感じる。カモシカがこちらをじっと見ているではないか。餌でも探しに来たのか。あちこちにフキノトウが芽を出し、人間が食べるには育ち過ぎのようだが、カモシカは食べるかどうか。じっと相手を伺ったまま、しばらくお互い身動きしなかった。ヒュッと口笛を吹くと、ゆっくりと相手は歩き出し、ゲレンデ脇の草むらへ身を隠した。
12:00 天の庭(一合目、約1,190m)。雪の残るスキー場の急斜面をジグザグに登り切るとここ。振り返ると猪苗代湖が一望できる。青い湖面が眩しい。先に登っていた2、3のグループが湖を眺めながら休憩中。ここからは磐梯山頂を左手に見ながら、赤埴山に向う尾根を歩くことになる。残雪も多くなる。気温17.8度。 
 

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山頂から猪苗代湖(13KB)
12:55 沼の平(1,380m)。赤埴山(1,430m)には登らず、その左手を巻くように沼の平に出る。沼には広く雪が残り、どこからが沼かもよく分からない。ほぼ磐梯山の裏側を見るような位置で、その山容は表側から見るのとは異なり、切り立った絶壁といった風。山頂に小さくグループの姿が見える。ここでハプニング。調子良く登ってきたかに見えたが、平らな雪面を歩いているときに、僅かに足を滑らせて、体勢を立て直そうと踏ん張った瞬間、右脚大腿部が肉離れ一歩手前に。手で脚を揉み解しながら、だましだまし歩みを進める。午前中の貯金がなくなってしまった。山頂はまだ先だ。気温15.7度。
13:50 黄金清水(約1,540m)。脚に疲れが出て歩くペースが落ちると、時折強く吹く風が汗を吸った上着を冷やす。次第に体温が奪われていく。急に気力が萎えていくから不思議だ。幸いにも黄金清水あたりは磐梯山の裏側にボウル状になっていて、身を低くしていれば風も強く吹き付けることはなかった。日差しを受けてじっとしているうちに体も温まってきた。とりあえず行けるところまで行こうと再び歩き出すことにした。
14:05 弘法清水小屋(1,630m)。小屋は営業中。休憩する人の姿もある。ここから山頂までは間近に見えるが、深い雪に覆われた急斜面は手強く写る。体力が落ちてきたせいか、呼吸すると風邪をひいたときのように喉の奥が苦しい。磐梯山の東のすぐそばに櫛ヶ峰があるが、まだ噴火してから間がないくらい、赤く生々しい岩肌を見せている。
 
 <日帰り温泉>
幸陽の杜:17:00以降\400。内湯1、サウナ1。シャンプーなし。休憩広間あり。浴場は3階にあり、ここからの猪苗代湖の眺めも良い。

 

<参考地図>
どこでもアウトドア 「日本百名山を登る(上巻)」(昭文社)

14:40 山頂。陽気のせいで緩んだ雪面に足を取られながらもなんとか登り切る。山頂はたくさんのツバメがせわしく飛び交い、私を迎えてくれた。こんな所で何してるのか?不思議な光景。山頂からの眺めはそれまでの疲れをふっ飛ばすほどの360度の絶景。何度も挫けそうになったが、だましだましでも来た甲斐があった。安達太良から見たよりも飯豊山は大きく見えたし、北に広がる桧原湖も、南の猪苗代湖も文句なし。景色をしばし楽しんだのち下山。気温18.8度。
15:05 弘法清水。山頂からの下りは楽チン。なぜなら雪面を滑ってくればいいから。融けて柔らかくなった雪面だが、うまく靴底を滑らせて一気に下りた。
15:10 黄金清水。雪解け水が引いて有り、ここで喉を潤す。水は冷たく硬い味がした。気温14.1度。
16:25 天の庭。山頂を何度も振り返りながら、だらだらとした沼の平を、そして赤埴山の脇を歩く。まだ日は高く、なんとか明るいうちに下山出来そうだ。天の庭からのスキー場の斜面にも雪が残り、ここもうまく滑り降りれば楽に下れそう。気温21.7度。
17:05 登山口に着。またしても靴擦れを起こしてしまい、斜面より平地での歩きのほうが辛い。さすがに疲労が激しい。すぐに登山口にある町営の日帰り温泉にお世話になることにした。
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