三国一のバイク馬鹿
華麗なる1/2ひねり

ご注意
ひねりの効いたギャグとか、そういうの期待しないこと。

これはまあ、バイクに乗っている人なら実感できることだと思うのだが、
ある夜、なんの前置きもなく、過去の事故の夢を見る。
それも、とんでもなく生々しい奴。
俺、寝てても起きてても、楽しい夢しか見ない人なので、
これには正直、困る。
身体中が、嫌な汗でびっしょり濡れているんだもん。
それでも、かれこれ10年くらい、事故&転倒せずにすんでいただけに、
そういう夢を見ることも今ではほとんどなくなっていた。

何の脈絡もなく、今回はライディングスクールの話だ。
TEC-R交通教育センターレインボー(埼玉 ) というライディングスクールがある。
走る、曲がる、止まる。というバイクの基本テクニックを学べるところ。
俺が行ったのは2輪の中級コースだが、 オフやトライアルもあるし、4輪もある。
費用は1万3000円(2輪)。午前10時開始で午後4時30頃終了。昼飯付き。
バイクは練習用車両がいろいろある。すべてホンダ製だが。
結論から言うと、これ、いいっすよ。オススメ
実は、このスクールはGON(Monster Magazine主宰)のお誘いで参加したのだが、
正直、俺、ナメてた。
はっきり言って、大型2輪取得のための練習会(これにも参加した過去がある)に毛が生えたような物 。 そう思ってた。
すみません。あやまります。
俺が甘かった。とんでもなく過酷だ。
ほぼ常連と化して参加している人もいるわりに、その話題がでないのが疑問なんだが、
ほとんどジムカーナ
あくまでスクールだから、タイム計測しないし、競技としてのコース設定じゃないだけ。
(やっぱり、これとは別物なんだろうか?)
でも、やはり過去に参加した初心者向けジムカーナ練習会よりも、コース設定はハードだった。
とにかく、走りっぱなしだから、汗びっしょりだし、疲労度は日帰りツーリングの比ではない。
(もちろん、休憩時間はあるけどさ)
実際、やることはパイロンスラロームとか、S字、クランク等、言葉だけなら教習所のコースと同じ。
が、全然違う。
パイロンの幅が狭いとか、そもそもコース設定が厳しいとか、いろいろあって、
いきなり中級から行ったのは、ちょっとヤバいかも。そう思った。
だいたい、普通に走ったら曲がりきれないコースばかりなんだもの。
でも、みなさんスパスパ走り抜けていくわけ。
絶望的な気分。味わったことがありますか?
俺はあります
で、当然ながら、それができる人とできない人には「差」があるわけで、
それを教えてくれるのだ。スクールだから。
スパスパなみなさんは、難度も通っているわけだ。
で、それを簡単に説明すると、「セルフステア」
バイクを左右に傾けると、ハンドルが自然に切れるというアレ。
それで、「曲がれ」という。
そんなのやってるんだが、曲がりきれねえんだよ。
さらには、バイクをなるべくバンクさせない方が安全にアクセルを開けられる。
結果、速いので、そうするように。とのたまう。
つまり、バイクをバンクさせている時間を可能な限り短くし、コースを直線的に走れということ。
「アルティメット・ストレート・ドライブ!?」
(わかった人だけ、わかればよい)
どうやら、バイクをなめらかにバンクさせスムーズに走り抜けるスタイル。
(これ、俺の理想的な走行スタイルだった。地味だけど速い、みたいな感じ)
これって、遅いんだって。
で、「セルフステア」に戻るんだけど、これを利用すれば、一気に車体に向きが変わるので、
最短でコーナーをクリアできるという。
この理論自体は、根本健(「向き変え」ですな)も、つじ・つかさも言っていることなので、反論はない。
実物はすげえよ。
俺から見ると、ハンドルを力づくでフルロックに持っていき、まさに前輪のグリップだけで曲がるように見える。
「これって、ハンドルこじるって奴なのでは?」
と、どうも貴重な教えも半信半疑。最初のうちは思う存分バンクさせて走ってた。
でも、遅い。なおかつ、
「もっと腕の力を抜いて」
などと言われてしまう。いや、抜いているつもりなんですけど。
で、ヤケクソになって、「ハンドルをこじった」 。
「曲がる」!!
面白いくらいよく曲がる!!
でも、ハンドルこじるのとはちょっと違うみたい。
いろいろ考えていくと、どうも「意識的にハンドルを曲げてやる」くらいの方が、
ハンドルに余計な力が入らなくなるようだ。
例えば、右に旋回する場合、円を描くように左手が身体から離れる 。
普通に腕の力を抜いているだけで、こっちは問題が出ない。
問題は身体に近づく右手の方。つい腕をつっぱってハンドルが自然に切れる動きを邪魔していたようだ。
だから、意識的に右手を引いてやるくらいの方が、ハンドルが自然に切れるというわけ。
決して、ムリにハンドルをこじっているわけではないのだった。
「セルフステア」奥深し
ただ、これをやると、本当に「曲がる」。
練習用の車両は、俺はかつての愛機赤の2号と同じVTR1000Fを選んだのだが、
こんなに曲がるバイクだとは思わなかった。
さらに、一気にバンクする。倒れるんじゃないかと思うくらい。
だから、よけいにハンドルが必要以上に切れないように腕で支えてしまうのだけれど。
で、まあ、この「セルフステア」のタイミングが微妙で、ブレーキング終了時に一気にやるといいみたい。
申し訳ないが、このへんは言葉での説明がとても難しい。
タイミングがずれてしまうと、「ハンドルをこじる」になるだけで曲がらない。
きっかけは、ブレーキング終了時の、リリースの瞬間なわけだが、
「ブレーキは引きずったままコーナーをクリアするのが正解」だったりして、もう大変。
リリースはするんだけど、ちょっとブレーキを残しておくと、縮んだフロントサスが戻りにくくなるので、 車体としては曲がりやすい(キャスターの立った状態)をキープできるという理屈。
これぞ、まさしく「前輪乗り」
ドゥカ乗りの基本というと、「後輪乗り」だったりするので、このへん、ちょっと違和感ある。
国産のレーサーレプリカなどは、これを前提にした設計らしいので、有効だとは思う。
で、まあ、他にもいろいろあったんだが、 収穫はかなり多く、予想外に充実したスクールだった。

後日、それをドゥカで実践する機会を得た。
っていうか、奥多摩へ走りに行っただけなんだが。
挑戦してみました「セルフステア」。
ドゥカにも効果あり!!
結局、「向き変え」ってこういうことだったんだなあ、と実感。
もともと、VTR1000Fよりも曲がるバイクだったから、すげえ曲がる。
問題は、メリハリつけて、きっちりブレーキ、きっちりアクセルな、乗り方でないと上手くいかないため、
今のところオーバーアクション気味でスムーズさに欠ける。このへんは練習しかないみたい。
とにかく曲がるので、言うことなし。
一気に倒れる感覚も、一度身につけると怖さはなくなる。
(自分のバイクで試すのは勇気がいると思うが)
さらに、この「向き変え」の後で、「後輪乗り」を加えればさらに2次旋回力が得られる。
これらをマスターすれば、無敵だ!!
とかなんとか思って、心の中でガッツポーズ。
走るの夢中になっていて、自分が所属するドゥカオーナーズサークル(「400DUCATI天国」) のメンバーを見落とした。
しかも、その一人は団長だ。団員失格ですか、俺。
いや、それはさておき、その日もかなり充実した一日だった。
でも、汗びっしょり。スポーツライディングは疲れます。

ここまでいいことが続くと、調子に乗るのが、俺の長所。
本日(8/30)行って来ましたよ。TEC-Rへ。
しかも上級コース
あっはっは。調子に乗りすぎ。
まあ、前日どころか、中級でかなり自分の下手さを実感していただけに、
すでに、ある種の予感というか、不安たっぷり
その予感は、スクール開始直後の完熟走行でモロに当たる。
完熟走行というのは、バイクのエンジンやタイヤを温めたり、
なにより、ライダーが慣れるために行うもののはず。
コースの難易度がすでに中級レベルなんですけど。
確かにペースは遅いが。
しかも、自分が思っていたほど前回の 練習が身に付いていなかったみたいで、
まるで、乗れていない。
俺をおいていかないでくれ〜!!
誇張なしで、俺は一番後ろでノロノロやってた。
でもまあ、時間の経過とともに身体も動くようになり、前の感覚が戻ってきた。
おっ、いい感じ、いい感じ。
スラロームも、リズムとかタイミングがつかめてくると、
案外ヒラリヒラリと単車を倒しながら、 駆け抜けていける(つもり)。もちろん誰よりも遅い。
そこで一言「腰が動いているよ」
どうも、セルフステアの瞬間に腰をひねってバイク曲げているようだ。
これが「こじる」という奴です
どうも、無理していたみたい。みんなに追いつきたくて。
でも、乗れてた。
断言しよう。この直後まで、その日の俺は一番速かった。
(誰かより速いでなく、俺が一番速く走れていたという意味)

きっかけはブレーキングの失敗だったと思う。
かなりタイトなUターンを行うところ。ここは事前の直線も長く、アクセルを開けられる。
で、一気にブレーキングして、「セルフステア」でくるっといくわけだ。
ブレーキでリアがわずかにすべったような記憶がある。
リアタイアがすべってもそれほど危険なことはないし(フロントに比べれば)、
なんとかなると思って、そのまま「セルフステア」。
の、つもりで腰をひねってバイクを曲げた(きっとそうだと、今は思う)。
直後、
アスファルトの大地に華麗なダイブを決めていた。
俺も飛んだ。バイクも飛んだ。1mくらいだと思うが。
で、このUターン。左旋回なので、普通なら大地と接触するのは左半身のはず。
右の腰と、右肩が痛いのは何故?
どうやら、回ったらしい。
華麗なる1/2ひねり
確かに、「あっ」と思った瞬間に、世界が回った記憶はある。
これが走馬燈か!! とは思わなかったけど。
映像で確認したかった。いや、今でもしたい。
さぞかし、華麗に回っていたにちがいない。

最近、すっかりやっていないけれども麻雀では、 「いい振り込み」という言葉がある。
つまりは、バカなつっぱりではなく、引いてはいけない局面でのオリない姿勢を評価する言葉だ。
オリるとツキも失うというし。このあたりのニュアンスは俺自身もよくわからないのだが。
悪い振り込みしかしたことないので(これもツキを失う。点棒も)。
で、こういうスクールでの転倒も、「いい転倒」だと思う。
上手くなるために必須の「転倒」ではないかと。
まあ、バイクをこじって乗るのは、とても危険だと身を持って覚えたし。
それに、自分のバイク持ち込みじゃないし。幸い大きなケガもなかったし。
転倒そのものを、恥じてはいませんよ。僕は。
ええ、恥じていませんとも!!
(転倒しないにこしたことはないってことだね)
もうちょっと、本当に意味での「脱力」(特に腕の力)なんかを覚えないとダメかも。
その後、またしばらく「乗れてない」状態が続き、 最後には、開き直って、ゆっくりと走った。
教わったことをきちんと反芻しながら。
しかし、またハマっちゃったみたいだね。バイクに。
やっぱり、上手くなるのって楽しいし、バイクの運転ってやっぱり面白いよ。
またくるぞ「上級」コース!!
いつか!!
しばらくは「中級」コースでみっちり基本を覚えてからだけど。
トータルでは、まあ今日もいい一日かな。

ただ、当面の問題としては。
きっとまた、
いずれ、「転倒」の記憶が甦るんだろうな
下手すれば、今晩!!
ということ。
嫌な汗かいちゃうんだろうな。

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