三国一のバイク馬鹿
さよなら 赤の4号
え〜、前回ですでに時速150km/hとか、1万1000まで回したとか、
反社会的なことを堂々とさらしてますが、
本人のバカ懺悔です。
多分、もうしません。
もう、どうしたらいいのかわからない。
というのが正直な気持ちです。
3月20日夜10時過ぎ
場所は、外環の和光北で高速に入ってすぐ。
破滅の音とは・・・、
エンジン焼き付いた音なわけだが、
「ガッ」というか、「ザッ」、「ジャッ」、この手の 擦音を想像してくれるといい。
「湾岸ミッドナイト」のエンジンブローの場面を思い出したくらいだから、
あのマンガ、かなりリアルです。
俺、過去にもやっているので慣れているんだが、
エンジンが焼き付くと、リアタイヤがロックします。
時速150km/hでリアタイヤがロックすると、蛇行します。
破滅の音が聞こえたら、クラッチ切りましょう。
少なくとも、リアタイヤのロックは解消できるし、エンジンへのダメージ拡大も防げます。
俺ですか? 多分100mくらい、そのまま蛇行。
蛇行を続けながら、路肩を目指すのが精一杯。
車線を越えるときに、「あっ、これはコケるな」というほどに車体が横を向き、
「俺は死にたくないんだ」
と、実感しました。
(どうして回避できたのか、記憶がない)
やっとクラッチ切るのを思い出したのは、路肩についてからでした。
その時、俺が考えていたことは・・・、
「もう捨てよう」
(今回は完全に俺のミスなんだが、)やってられません。
250ccクラスの新車1台買える金がかかっています。
路肩で動かなくなった労働1号を押しながら、
ひたすら恨み言。
労働1号手に入れてから、
ひどい目にあってばかりじゃないか!
悪魔のZか!?
荒川って、長いな〜
とか、えんえん考えながら、全身から湯気を出しながらバイクを押す。
次の出口、戸田西で降りました。
時間が時間だから、バイク屋呼び出すわけにもいかず、
ま、普通に歩道に労働1号を放置。
歩いて帰ります。
幸いなことに、近くに埼京線の駅があり、なんとか終電で家には戻れたが、
おそろしいほどのへこみ方。
いかにも、いじめられそうなガキが教室の自分の席でいじけてる様子。
まさにそのままです。
考えていたのは、
ナンバープレート外しておけばよかったな〜
ということ。
そのまま放置することさえ、考えていた。
しかし、さすがにそれは人としての道を外れるので、
引き取りと廃車処分だけはせねばなるまい。
正直、労働1号を恨んでいました。
ここまで手を掛けて、あっさり裏切られた。
せっかく全塗装して、1日で廃車かよ。
お披露目どうすんだよ。
ネタ的にはこっちの方が面白いのか?
とか、ふとどきなことも考えていたが、とにかく、
家についたらさっさと酒飲んで寝た。
3月21日
一晩寝ると、それなりに元気になるもので。
さすがに、そのまま放置は良くないと思い、バイク屋に連絡。
引き上げを頼みます。
そのバイク屋に出向いて、場所の説明をカギを預けた後、
現場へ向かいます。
カメラを持って。
はい。ネタにする気満点です。
現場を目指すと、まず戸田西のゲートに着く。
後はUターンして、反対車線に行くだけなのだが、
和光北まで言っちゃいました。
荒川渡ったら、和光北なんだもの・・・。
ものすごく短いな。
実際、エンジン焼き付いてから、蛇行していた時間なんて10秒以下かも。
少なくとも、30秒以上だったように感じていたが。
脳ミソフル回転してたんだろうな〜、とか思った。
で、Uターンして、現場に到着。
やっとお披露目です。
磨きが足りないので、あまり艶は出ていないが、まあいい感じではないかと。
あくまでも不動なんだが、外観にその影響はほとんどない。
これほどわかりにくい「死に様」もないだろう。
ま、そんなはずもないので、昨日の痕跡を探す。
発見。
タイヤのミゾがなくなっています。
おそらく100m蛇行とか、150km/hでエンジン焼き付きとか、
信じられる気がしませんか?
たぶん、上の外環では、ものすごいブラックマークが残っているんだろうな。
気になる人は見てくると、いいかも。
俺は見に行く気になりません。
で、実際、多少は元気になったのと、
なにせ、身体はまるで無事なので、
ちょっと考え方が変わった。
「なんで、俺、生きてんの?」
これが20代前半までなら、(俺はこの世で何かする使命を持った人間だ!!)とか、
(選ばれた人間なのだ!!)とか、勘違いしそう。
というか、これは、「守ってもらった」ねえ。
労働1号に・・・。
それなりに手を掛けてたぶん、応えてくれたのかな。
とすれば、全部、俺が悪いのか。
(そりゃ、そうだ)
1か月乗ってないバイクで、いきなり最高速チャレンジはないよな。
運がいいとか、そういうの別問題にして、
本当にバカでした。
3月22日
この日、仕事から帰宅すると、バイク屋から電話が入る。
バイク屋:「えーっと、エンジンがデトネーションを起こしてます」
俺:「(デトネーションって、「湾岸ミッドナイト」でしか見たことない言葉だが)」
バイク屋:「異常燃焼です。おそらく、コンロッドもダメだとは思うのですが、
ピストンが溶解してシリンダーにくっついてしまって、すぐにはバラせません」
予想通りの状況なのだが、言葉で説明されると生々しいね。
俺、相づちはうってたんだが、記憶が甦っていて言葉が出ない。
バイク屋:「何キロくらい出てました? 回転は?」
正しく、答えました。
バイク屋:「(数秒絶句)。転倒・・・してませんよね?」
俺:「はい。見た目は不思議なくらい無事でしたね(笑)」
笑い事じゃねえ!!
バイク屋:「ええ、店に戻ってから、タイヤ見てびっくりしましたよ。
よく死ななかったですね 」
俺:「私もそう思っています」
と、笑えるんだか、笑えないんだか、よくわかわん会話の後、本題へ。
バイク屋:「で、どうします?」
俺:「ひとまず、引き上げ代とかは先に精算したいので、一緒に修理の見積もり出してもらえませんか?
多分、バラすのも手間がかかると思うので、きちんと見積もり費用ものせてください」
と、まあ、大人の対応。
つうか、最低でもこれだけやらないと、労働1号に申し訳ない。
俺:「その後のことは・・・。見積もりが出てから考えます」
バイク屋:「わかりました。では、また連絡しますね」
俺:「お願いします。ご面倒かけてすみません」
てな感じ。
ここで重要なのは、「廃車」って言葉が出なかったことだ。
2日前は、絶対捨てる気でいたんだけどな。
正直、今すぐ決断できません。
もちろん、廃車にすれば、せっかくの全塗装が水の泡。
それもよくわかった上で、決断できない。
蛇行が長かったから、ミッションまでダメージを受けていることも考えると、
エンジン載せかえた方が早い、なんてことにもなると思うし、
金額含め、ちと真面目に考えて、判断します。
本当に「さよなら」なのか?
どうなる 労働1号!?