小人閑居して不善を成す
小人閑居 the BEST
年末ってことで、「〜オブ・ジ・イヤー」とかの季節がきましたな。
俺、順位をつけるのはあまり好きじゃないんだが、
記憶に残った作品は、きちんとまとめておこうかな、と思ったりした。
んでもって、まあ、だらだらと記憶に残った作品を挙げることにする。
ジャンルは、アニメ、映画、マンガ、ゲーム、小説の5つ。
すべて読んだ作品であるのは当然として、
手元に資料を用意していません。
つまり、タイトルや作者名を思い出せない作品は、その時点で落選。
絶対に、「あっ、これも今年だったか」てな、
作品が発掘されるはず。
ちょっとした思いつきなので、まあいいや。
それぞれ、3つの作品を挙げて、
本命、対抗、大穴を決めます。
本命:ずばり正当に一番印象が強いもの
対抗:本命に負けず劣らず、印象が強いもの
大穴:俺的にとても意外で、それゆえ印象が強いもの
と、まあ、こんな感じの選考理由。
あ〜 俺、競馬とかやらないので、
確実に用法間違えているが、
気にするな。
細かい能書きは、各部門でもするので、そろそろ本題にいくかな。
アニメ
今年は、大作系アニメが集中しましたな。
そういうわけで、映画モノが中心になってしまった。
さっそく、取りこぼしの話からするが、『スチーム・ボーイ』は惜しかった。
制作に時間かかりすぎ。
スチームパンクのブーム、終わっちゃいましたよ。
健全な冒険作品のフリして、大友臭いし、面白かったんだが、
もうひとつ、食い足りなかった気がする。
本命:INNOCENCE
これはもう、鉄板です。当分揺るぎません。
見直せば、見直すほど面白いのは当然として、
押井守の次がとても気になる。こういう印象も珍しい。
対抗:SAMURAI7
惜しいというか、なんというか。
まだ全部見ていない。
だから、期待票も込めて・・・、という感じ。
歴史に残る、とか、そういう作品ではないし、原作である巨匠への挑戦てわけでもない。
でも、原作の持ち味をうまくアニメで甦らせた感じ。
リメイクものは基本的に評価低いんだが、
これは今後が楽しみ。
大穴:ハウルの動く城
あ〜。この作品だけは「俺のプライド」にかけて、
印象に残してはいかん作品だ。
が、期待せずに見に行ったせいか、意外に楽しめた。
あいかわらず、「俺のために作ってない 映画だな」とは思ったが、
(だから、金払って見たくないし、語りたくもないわけだ)
それはそれとして、「好きなことやってるなぁ」とも思った。
つい先日、「ラピュタ」をテレビで見たが、こっちの方がいろいろ苦労してる。
偉そうなことを言えば、宮崎監督ほどの人は、好きなモノを好きなように作っていればいいわけで、
それが最近やっとできるようになったんだな、と、余計なお世話だがちょっと嬉しかった。
映画
ぬう・・・。映画見てないな。
で、DVDで見た旧作品も含みます。
映画がつまらなくなったとか、そういうわけではないんだが、
ちょっとアンテナが狭くなっていて、好きな監督の新作とか、話題作くらいしか見てない。
もうちょっと、幅を広げておきたいところ。
それと、『ターミナル』とか『オーシャンズ12』とか、正月映画の話題作を見てない。
来年の候補(やるのか?)になるわけだが、忘れちゃいそうだな。
本命:『ロード・オブ・ザ・リング』(3部作)
まあ、「王の帰還」が今年の春公開だったので、ひとまとめで。
ファンタジーの原点とか、言い出したらキリがないんだが、
よくもまあ、地味な原作に忠実に作ったものだ。
よくやった!!
この作品に限らないんだが、最近のヒーローは「悪を倒さない」んだよね。
ま、結果的に「世界を救う」わけだが。
その点、ドラクエとかFFでは今でも「世界を救う勇者」をモチーフにしているのが、
古くさくさえ感じる。
ヒーローが内省的なのは、まさに今風なのかもしれないし、
今時、一人の勇者が世界を救うのはナンセンスかもしれない。
原点である 『ロード・オブ・ザ・リング』からして、そうだったわけで、
今後のファンタジーはどういうふうになっていくんだろうか。
対抗:『七人の侍』
ああ、今更出すなって感じだよね。
まあ、今年で50周年らしいので、記念ってことで。
『SAMURAI7』 がらみで見直して、あらためて凄さを知ったのだが、
今は、前半の方が面白かったりした。
俺も年をとったのか。
役者の魅力も、脚本の人物造形にしても、ものすごく造り込まれている。
黄金時代の日本映画は本当に凄いな、と改めて思ったりする。
そして、意外や今は日本映画が元気を取り戻してきているような気がする。
かなり来年が楽しみですな。
大穴『ゴジラファイナルウォーズ』
完全に期待せずに見に行ったわけだが・・・。
あそこまで開き直って作ってもらえると、さすがに楽しめます。
完全にはちゃめちゃな作りで、ただのお祭り映画。
「これがラスト? マジ!?」ってくらい、普通に終わってる。
シリーズをまとめよう、とか、そういう気分はない。
『ゴジラ』は、今や完全に正統派と怪獣映画派の両極端で、
正統派は第1作を超えるのは難しいし、リメイクにしかならない。
となれば、怪獣映画で極めていくしかないのかな、と思った。
ただひとつだけ言えるのは、
「本当にこれで最後にしてくれ」ということ。
『ゴジラ』は前科ありなので。
マンガ
今年も飽きずに、読んだ読んだ。
さすがに読めるマンガが減ってきたし、
面白いマンガも青年誌のものが増えてきた。
そろそろ卒業かもしれない。
が、大人向けマンガは案外面白い方向に進んでいて、
下手すれば、10年後には教科書に載るかいな、とさえ思う。
そういう、文学的なものも増えた。
問題は、そういう方向性はマンガの本筋じゃないとも思うこと。
しかし、エンターテイメントの方向ではどうなるのかが見えない。
「売れる作品がいい作品」であるマンガの未来はよめない。
でも、消費するだけのマンガや映画・アニメとの抱き合わせマンガもつまらない。
余計な心配かもな。
本命:『ゼブラーマン』
映画は見てません。原作知りません。
ひさしぶりに骨のある山田作品であることが第一。
「好きでしている苦労」が多い人で、そのへんの血の通ったメッセージが共感できる話。
カッコわるいヒーローっていうと、最近ありがちな路線なのだが、
ここまでつきつめて、本当の「カッコよさ」を模索している作品は少ない。
ヒーロー不在の現在、現在進行形のヒーローを扱った作品としては唯一かもしれない。
ラストの着地点をどうするかがとても気になる。
ひろがりを持たせて、曖昧に終わらせるのも面白そうだが、
やはり本作は「シロクロつけて」きっぱり終わってほしい。
対抗:『大使閣下の料理人』
料理、医者、金融、政治等々、青年向けマンガの王道ジャンル。
その中で一番面白い。
料理マンガではあるんだけれども、「料理人」マンガであるところがポイントかな。
料理をめぐる、国による文化の違いがはっきりと出るあたりも興味をそそる。
人物造形がしっかりしているのも長く読んでいても飽きない魅力なのかも。
大穴:『まほろまてぃっく』
基本的に、この手のマンガは読みません。
どこが面白いのかもわかりません。
メイド+アンドロイドとか、オタク向けヒット要素を詰め込んだだけなんだが・・・。
けっこう、まじめに読みました。
意外というか、なんというか、ちゃんとした作品はちゃんとしてるんだねぇ、と。
この分野は、マンガもアニメも粗製濫造されているのだが、
隠れた名品はけっこうありそう。
ま、探すのは嫌なんだが。
ゲーム
ここだけは、やったゲーム全部ってことになる。
さすがに、たくさんゲームやるヒマがない。
取りこぼしはやたらと多いだろうし、あからさまに偏っているので参考にならないな。
最近は、ポータブル機の携帯ゲームが人気のようだが、
そっちはどうでもいい。
ニンテンドーDSのペンタッチは面白そうだと思うが。
ゲームからは当分、(いい意味で)距離を置こうと思っているので、態度が冷たいな。
ネットワークゲームで面白そうなものには期待するが、
果たしてどうなることやら。
本命:FFXI
ま、足を洗ってはや半年になるゲームだが、
今までのゲーム人生で最長のプレイ時間・200日
(時間じゃないですよ) に敬意を表す。
ラピュタ見たら、FFXIのかな〜り似たエリアである
「トゥー・○ア」がかなりそっくりであることが改めてわかった。
理想のゲームであるのも事実なんだが、もうちょっとマッタリやればよかったな。
今までのゲームの感覚でやると、ちょっと辛い。
対抗:DQVIII
身もフタもない言い方をすると、
FFXIをオフラインでやると、こうなるのかな。
ドラクエがFFに似たというのではなく、FFXIが(正統RPGである)ドラクエ に似ていた。
という感じ。
すでに語っているし、現在進行形でもあるので、あまり多くは語れない。
ちなみに、2周目はストーリー把握しているので効率よくプレイできるぶん、
よけいな寄り道がもっと増えてます。
マップ攻略(たんにマップのすみまで歩き回ること)も、一度目でかなりやれていたはずだが、
かなり見落としが多い。
それゆえ、攻略情報見るのがもったいない気もする。
攻略情報なしで、どこまでいけるやら。
大穴:グラディウスV
斜陽のシューティングに光を感じさせてくれた傑作。
いろいろ物足りない部分もあるのだが、次に期待しよう(ぜひ)
今になって思うのは、火山ステージが欲しい!! とかの細かい部分。
オンライン化とかの新しい進化も期待したいところだが、
アーケードと決別したことで得た、何度も挑戦することで見えてくる攻略ルートという、
練り込まれたギミックという魅力をさらに充実させてほしい。
小説
ラスト前にして、息切れがしてきた。
特定の1本を徹底的に書くよりも、こうやって短くても何本も書くほうがきつい。
星新一はやはり偉大だ。
小説も、マンガやアニメ、映画同様にエンターテイメント色が強くなっている気がするが、
ここだけは、独自の位置をキープしてほしいような。
「終戦のローレライ」とか、読んでみたい気もするんだが、映画を先に見たいし、
小説は、極端にいえば映像化不可能あるいは、映像化する意味なし。
そんな方向に進んでほしい。
というわけで、意外や明治・大正の純文学が面白かったり。
美しい文章というのは、永遠の憧れがあります。
あとひとつ、浅田次郎作品が選から漏れているのが心残り。
「王妃の館」とか、安心して楽しめる作品がよい。
「蒼穹の昴」もやっと文庫化されたので、年末年始に読破する予定。
本命:文章読本
谷崎潤一郎著による文章の書き方の本。
初出は昭和9年になるわけで、戦前の本だ。
が、ものすごいことが書いてあります。
単純に文法がどうとか、読みやすい文がどうとか、ではなくて
梶井基次郎の『檸檬』を「れもん」と書くか「レモン」と書くか、
その違いによる印象の違いなどにも触れている。
ページを開いたときに見える、かなと漢字のバランスによって表記を変えるとか、
ものすごいテクニックの数々が記されています。
送りがなひとつとっても、ものすごい検討や考慮のすえに決まっていることがわかります。
この時代の人は(今の時代の人にもいるが)、広辞苑読むのが趣味という人がいたりしたが、
それをすることの意味がわかるような気がします。
書き手としては当たり前のことなんだが、
ものすごく、言葉や文字を大切にしている本であり、人です。
さらに驚かされるのは、活版印刷の時代に、
書体の違いによる印象の違いや、文字詰め、行間の問題にも触れるという先見性がある。
基本的な文章の書き方的なマニュアルも面白いし、役に立つのだが、
この本もとても面白いです。(俺には高度すぎて役に立たないけれども)
対抗:イリュージョン 魔術師第2幕
松岡センセ(なんか、この呼び名が気に入ってるので踏襲する)の新シリーズ。
ネタ的にはけっこう地味なんだが、あいかわらず読ませる。
千里眼シリーズが派手すぎるきらいがあるので、こっちの方が好きだったりする。
題材的には、手品とか催眠術とか、突飛な印象があるのだが、
ストーリーは、身の丈に合っているというか今の社会のかかえる問題を鋭くつくもので、
いろいろ考えさせてくれるのも面白い。
それにしても、出版ペースが尋常じゃない。
売れっ子作家てのは、そういうものかもしれないが、たいしたもんだな、と思う。
大穴:電車男
いや、コレ、最高ですよ。
2ちゃんねるの独身男性スレッドをまとめて出版しただけのものだが、
ほとんど、あのまんま。
結果からいうと奇跡に近いラブストーリーなんだが、
やるべきことをやった結果という、しごく真っ当なストーリー。
ただ、世間で言われる(ほど、実状は悪くないと思うが)、
引きこもりやオタクの巣窟 と思われている2ちゃんねるの住人が、
まさに生まれ変わるがごとく、がんばっている。
これは、一般の多くの人だって真似のできることじゃないと思う。
実話だってことに価値のある話だ。
とはいえ、やっぱり書き込んでいる住人のリアクションが
一番の読みどころ。
にわとりと戯れているところを爆撃されるくだりは、爆笑します。
今はそうでもないけれど、一時かなり話題になっていて、
本屋で立ち読みしている人も多いのだが、ヤバいです。
だいたい、ニヤついているんだもの。
注意しましょう。
俺はわかっていたにも関わらず、電車で読んでニヤついてしまったがな。
こうして、俯瞰してみると、
あからさまに偏ってるな。
そりゃまあ、俺個人の特殊なベストチョイスだから、それも仕方ない。
もうちょい幅広くしたい気もするが、
そんなことしてたら、寝るヒマさえなくなる。
このへんが難しいところではある。
あくまでも小人が閑なときにやらかすネタだということで、
視野の狭さは勘弁してもらうとするか。
さて、来年も面白いものにたくさん出会えるといいなあ。