1996年12月

北の狩人(大沢在昌) 雪蛍(大沢在昌)
奪取(真保裕一) 名探偵の掟(東野圭吾)
海は涸いていた(白川道)
<<前の月へ次の月へ>>

北の狩人

著者大沢在昌
出版(判型)幻冬舎
出版年月1996.12
ISBN(価格)4-87728-142-8(\1751)【amazon】【bk1
評価★★★

大沢さんの書く主人公って、やくざだったり、警官だったりするのですが、皆かっこいいんですよね。今回は、ちょっと異色な主人公です。(もちろんかっこいいんですが)東北出身で、初めて東京に来た青年。東北弁を話し、標準語をしゃべっていると思っている田舎者。私自身、一時期茨城弁が話せたときがあって、そのとき思ったんですけど、なまっているのって自分ではわからないものなんですよね。彼の気持ちがよくわかります。きっと、標準語しか話さない人には不思議なことにしか思えないんでしょうけど。今回の主人公は、いい人っていう感じです。最近の弁当箱サイズより、結構薄い感じですが、十分楽しませてくれました。


■入手情報:幻冬舎文庫(1999.8)/ Gentosha Novels(1998.5)

先頭へ

雪蛍

著者大沢在昌
出版(判型)講談社
出版年月1996.3
ISBN(価格)4-06-207998-4(\1600)【amazon】【bk1
評価★★★

佐久間公の久々の登場です。探偵をやめて麻薬中毒者の更生施設を運営する佐久間に、昔の仲間から人探しの依頼がくるのが始まり。更生施設のやっかいもの、ホタルを気にしながら、行方不明の金持ちの女の子を探すお話。なぜ雪蛍なのかは読んでのお楽しみですが、私としてはお話がちょっと分散的な感じで更生施設の話と、人探しのお話のどちらかを重点的にしてほしかったなという気がします。


■入手情報:講談社文庫(1999.3)/ 講談社ノベルス(1998.3)

先頭へ

奪取

著者真保裕一
出版(判型)講談社
出版年月1996.8
ISBN(価格)4-06-208282-9(\2000)【amazon】【bk1
評価★★★★

真保さんの小説は、ホワイトアウトの時もそうだったのですが、すごくテンポがいいと思います。次から次へと襲ってくる困難を主人公が乗り越えていくのがハラハラというかドキドキというか、ジェットコースタームービーを見ているようで、どんなに厚くても一気に読んでしまいます。
今回は、偽札づくりです。この本読んでると本当に偽札つくれちゃいそうですね。銀行の方々、慌てて下さい。
全然関係ないですけど、1万円札のこと、慶応の人は「先生」って言うんですよ。慶応では、「先生」はただ一人福澤諭吉先生だけなんですよね。他の人はたとえ、塾長でも「○○君」なんです。もちろん、休講掲示も「○○君休講」。だから、1万円札は、「先生」。財布から1万円が消えると「先生、さようなら」とか言ったりして(笑)。そういう点でこの小説は、私にとってはちょっと複雑なのです。


■入手情報:講談社文庫(1999.5)

先頭へ

名探偵の掟

著者東野圭吾
出版(判型)講談社
出版年月1996.2
ISBN(価格)4-06-207400-1(\1600)【amazon】【bk1
評価★★★★

これは、ミステリというよりギャグ小説です。笑わせてもらいました。特に、「花の湯けむりOL殺人事件」論とか、アリバイ宣言とか。2時間ドラマって結構暇つぶしになったりするので、見てしまうんですけど本当にこういう感じですよね。でも、きっと水戸黄門の印篭と同じでこのワンパターンさがおもしろいんですよ、そう思いましょう。2時間ドラマの配役は、私ももっと考えた方がいいと思うんですけどね。だって、最初のメインキャストの紹介で一番最後に出てきた人が犯人なんですよ、いつも。あと、有名な人が絶対犯人なんですよね。連続でやってた某ドラマなんて、主人公の少年とその連れ、刑事役を除いて、「あっこの人知ってる」って人が犯人なんです。テレビ業界って派手に見えるけれど、きっとどこも財政難なんでしょうね。


■入手情報:講談社文庫(1999.7)/ 講談社ノベルス(1998.4)

先頭へ

海は涸いていた

著者白川道
出版(判型)新潮社
出版年月1996.1
ISBN(価格)4-10-602743-7(\1700)【amazon】【bk1
評価★★★★

白川さんの本を買うのは初めてだったのですが、新潮社のミステリー倶楽部は当たりはずれがない(と勝手に思っている)ので、買いました。やっぱりミステリー倶楽部は信用できます。一気に読んでしまいました。すごい重い感じの世界を書く人なんですね。最後も泣ける最後で、しかも寂しい終わりでした。ハッピーエンドでないところが、かなり残念ですが。


■入手情報:新潮文庫(1998.4)

先頭へ