麻倉怜士はメディアとテクノロジーの新しい動きを果断に追求している。
「思えば叶う」が、私のモットー。それは、すでにさまざまな形で現実化している。
必要なのは、熱き願望。
例えば、同時に複数の情報に接したいと思っていたらダブルウインドウが出た。パソコン映像が大画面で見たいと思ったら、ソニーのパワーワイドが出た。とことん自分の興味の向く方向にしたがって、世界中のデータベースを順番に追跡したいと思っていたら、インターネットが登場した。オペラのLDを見ていて、別の角度からこの歌手の姿を見たい思ったら、DVDにマルチアングル機能がついた……などなど、私の熱きインターラクティブへの願望が、向こうから「どうぞ……!」と、叶えられる時代になってきた。
かつてバブル期に大画面を家庭で楽しむという提案がされたが、その後のバブルの崩壊とともに、そのトレンドも消え去ったように見えた。しかしここにきて、新しいメディアの勃興と共に、新たなホームシアターを提案する時代がやってきた。かつては4×3の土壌の上に大画面文化を花開かせていたが、今やパラダイムがすっかり変ったのだ。
アスペクト比は4×3から16×9に。NTSCはまだまだ主体だが、ハイビジョンというワイドな高画質メディアの勢いがいい。これまでは放送はアナログだったが、CSのNTSCデジタル放送も始まった。その延長上に、プログレッシブ放送も展望される。パッケージメディアもアナログからデジタルに急速に変貌しつつある。 それはDVC、DVDというテープ、ディスクメディアの革新、アナログのドルビー・プロロジックからデジタルのAC3への進化……など、もう、オーディオ&ビジュアルのすべてのアスペクトにて、大変革が進行しつつある。そうであるならば、それらの映像を映す環境と機器も変わらなければならない。その環境がデジタル時代のホームシアターであり、新たなディスプレイが液晶プロジェクター、プラズマディスプレイだ。DVDはマルチメディアとしての発展に期待したい。
今私が注目しているのは、個人に情報力を付与するという意味でデジタル・スチル・カメラ(デジカメ)とデジタル・ムービーである。デジカメについては、連載が日刊工業新聞の雑誌「トリガー」で、'97年1月号から始まる。電脳連載はソフトバンクのホームページ内「インターネット・ガイド」のなかの「麻倉怜士のいけいけデジタル・カメラ」で、すでに始まっている。しかし、ここは編集部のスタッフがHTML作成もしているので、普段、猛烈に忙しく、なかなか私の原稿がアップデートされないのが、悩みである。