発行日:’91年9月29日(日)
発行:守山リス研事務局

リス研通信 No.60


森林公園でのくるみ植え

'91.9.28 午前中に森林公園 M課長に電話して下記を連絡しようとしたが、不在で関係の方に言づけして実施準備をお願いした。

【依頼事項】
  1. '91.10.6(日曜日) 朝10:30 〜11:00 ぐらいに森林公園に調査に行く事( 朝6:00〜9:00まで東谷山で調査した後、移動)
  2. その時、クルミの実を、植えつけたい。植えつけ場所は、森林公園の苗畑。方法は、リス研でできるだけ準備した植木鉢に、土を入れ、クルミの実を植えて、植木鉢毎、地面に埋める。( これは移植する際、根を傷めないようにするため)
    9 〜10月が、クルミの植えつけ時期で、これを逃すと困難。鉢の上には、落ち葉を一杯かぶせ、乾燥を防ぐ。
  3. 手入れは、基本的にリス研が月一回程度のみ。水やりをする。
  4. 来年、40〜50cm程に成長した実生を、一部、森林公園の指導の下に、適切な場所に移植する。

以上を連絡し、よろしくご配慮とM課長にご連絡をお願いした。

10月6日
持ち物
軍手、スコップ、出来るだけ沢山の植木鉢(15-20cmφ)
朝6:00〜9:00
東谷山調査
集合
東谷山第一駐車場(クルミ供給)
(移動します)
朝9:30〜10:30
森林公園調査
10:30から
クルミの植えつけ

募集−リスの給餌台(案)

リス研通信No.58 でも報告しましたように、森林公園に給餌台を幾つか(2〜3台)設置を許されました。場所は、最適な所を公園側と相談して選定する予定です。その給餌台を作成する必要がありますが、現在東谷山に設置している給餌台は、巣箱を改良したもので、最適ではありません。ついては、給餌台のイメージ図やスケッチを募集します。

【募集内容】
  1. 給餌台のスケッチ、イメージ図
  2. 給餌台をつくる材木、板のご提供
  3. 給餌台をつくるための時間のご提供
千葉県野田市や鎌倉での調査からの給餌台イメージを参考にしてゆきたいと考えます。

巣箱の作成計画(援助情報をNさんにご連絡を)

野田市の調査でも、人間の作った巣箱を利用し、繁殖している事が確認されています。東谷山は自然の巣が台風等でかなり落下しており、人工の巣箱で、安定して繁殖させる必要があります。ついてはリス研通信No.53で報告しました、巣箱についても順次作成して、東谷山と森林公園内に設置していく事を検討してゆきます。

作成予定
東谷山3つ
森林公園3つ
作成時期
'91.12〜2 月
(中心担当者: Nさん)

森の文明再生がキー

出典
中日新聞 '91.8.29 夕刊 梅原 猛氏(国際日本文化研究センター所長)に聞く

……「自然破壊は、農耕牧畜文明が始まった1 万年前から既に始まっている。農耕は森を伐って畑にし牧畜も森を伐って牧草地にしたわけで、農耕牧畜文明の普及の背後に森の破壊がある。農耕牧畜文明が都市文明、金属文明と進むと森の伐採もさらに進む。……

メソポタミア、エジプト、インダス、黄河の古代四大文明は、いずれも森が破壊し尽くされて消滅、文明は新しい森を求めて、ギリシャ、ローマへ移行した。更に北ヨーロッパ、そしてアメリカ、日本へ移動している。文明が森を求めて移動していると言ってもいい300 年前科学技術文明が発達し始め、人間の生活を便利で快適にすると同時に自然への破壊力も決定的にした。森の破壊も自分の周辺から、最近の熱帯雨林の破壊のように、世界の森を破壊し尽くしかねない状況になっています。文明は、森を破壊しますが、森によって成り立ってもいるわけだから、森の消滅も意味する。まさに文明は「森の文明」なのです。その森が世界的に消滅するのは文明の危機といえますね。…………これを乗り切る視点として、「世界は循環する、人はもとより、動植物、生きとし生けるものすべて生死を循環するものととらえる。地球さえ生きており、山や海も循環過程をもっている。」( と考える事が大事)

人類が生き残るためには、生き方を転換し、再び森の文明を創造していくしかないという事である。


新しいりすの行動・生態

出展
「ナチュラリスト入門 秋」岩波ブックレット No.152、 P.8-10
著者
今泉 吉晴 氏(守山図書館から借用)

……私たちがもっとも分かりやすいやり方で、丸太を活用するのはリスだろう。リスは地表から1〜2mの高さに杭で持ち上げられたちょうど牧場の柵のような丸太の横木の上を好んで通路にする。林床の上に浮き出ていて、地表の状況を見通せるような高みにある通路が、彼らにはもっとも好ましいものとうつるのだろう。タカなどの空から襲いかかってくる敵よりも、地上の敵を避けることが彼らには大切なことなのだとも言える。

丸太を介して人間とリスが触れる

私は、観察小屋を中心に放射状にのびる丸太の柵を、リスの観察のために作った。リスは木の枝から枝えとジャンプしながらやってきて、この柵の横木に到達すると、その上を軽快に走って小屋へ進んでくる。小屋の窓の前に餌台が据えられてあって、リスはそこでオニグルミの実を手にいれることができる。リスも垂直に立てた丸太を使うが、それはムササビのように滑空のための発進台としてではなく、その先端に座ってじっくりと時間をかけてクルミを割るための食事場として使うのである。考えてみると丸太は森のつくるもっともしっかりしたユニット的構造物の一つである。森にすむ動物たちのそれぞれが、独特の活用方法を身につけていることには意味がある。私達は丸太という素材をほんそ少し整理した形で意図的に配置することによって、森の動物たちの描く世界をみてとることができそうである。さて私達の考えた動物たちのための丸太の活用法のうち、もっとも目立った効果の表れたものの一つが「リスの橋」である。都留市十日市場の天狗山の麓を桂川が流れている。天狗山にすむリスは川の対岸に生える大きなクルミの木に毎年実をとりにやってくるのだが、当然そのためにはどこかで桂川の急流を渡らなければならない。かっては両岸に生える木がたがいに枝を触れ合わせるように伸ばした場所をリスはジャンプして渡っていたのだが、数年前の台風でこの渡し場が壊れてしまった。そこで私達は間伐材のかなり長いものを山から運び出し、両岸の木の幹にその両端を結び付け、リス用の橋を作った。リスたちは、以後毎年この橋を渡って、クルミの木へと急ぐのだが、その姿は横に延びる大木の太い枝の上を走る姿と当然のことながら同一である。リスは丸太の中に、横に延びる太い枝のイメージをみて取るのだろうか。

【この情報から、井の頭文化園でのリスが、こういった横木の上を好んで、何回も通っていたのを思い出しました。我々も、森林公園や東谷山で、給餌台を設置する際には、このような、牧場の柵のような横木を渡した、リスの道を作っていく事をが絶対必要と思われます。給餌台を中心に、3 ヶ所ほど放射状につくり、森と結びつけるものを考えたいと思います。給餌台を設置する際、忘れないようにしよう。】


オスリスの生態

出典
:1988年 5月号 月刊「とも」No.106, P.13

(今年の8月野田市清水公園調査時にIさんより受領したが紛れていて、資料整理の時でてきましたが、重要なので報告します。)

清水公園のリスの森で今年(1988年)も3月24日、四匹のリスの赤ちゃんが確認された。

  1. 特に野田青年会議所と市内の子供たちが手づくりで取り付けた巣箱の中で生まれた事。
  2. 親リスも確認されている。

リスを守る会の手でリスの子育ての様子が観察されオスの親も子育てに参画している事が確認されたという。又「最初生まれた巣箱のまわりは、人の目に触れやすいためか、途中で親リスが子リスを口にくわえて、約200m離れた別の巣に引っ越ししていることもわかった」と面白い報告がされています


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