その4

 しばらくすると、なんとこの日二度目のラッキーが起こった!。
 なんと先に入って待っていた、かの父親が、のぼせたのか何かしらぬが、「じゃ、あとヨロシクネー」という感じで、自分だけ先にサッサと出ていってしまったのである。

 私は本当に先程クソオヤジ呼ばわりしたことを恥じた。
 女性陣をこちらへ呼んでくれたのみならず、自分が出ていくことで、自分の水入らずは顧みず、なんと、こんなどこの馬の骨ともわからぬ私と、貴方の家族の女性陣との水入らずの入浴という、夢のような素晴らしい状況を作ってくれるなんて!・・・
 申し訳なかった、まことに申し訳なかった・・・
 貴方はきっと神なのだ・・・これは神の仕業としか思えない。
きっときっと貴方様は「神」なのでありませう(興奮でネジがはずれかけてるね・・・)。

 父親がいなくなり、風呂A はついに私と、この女性親子3人だけとなってしまった。
 何か妙な空気が流れる。
 女性陣達は時折ポツリポツリと会話を交わしている。おそらく湯の感想等を述べあっているのであろう。
 すぐに父親の後を追って出ていく様子も無く、雰囲気から察すると、私の存在を不快に思っているような気配は無さそうだ。
 私は彼女達の正面にいるので、視界には入っているはずだが、その時私の話題をしていたかどうかは定かで無い。
 風呂に入るまでは3人とも恥ずかしそうな様子を見せていたが、入ってからは心なしか堂々とつかっているようにも見える。
 しばらく平和な至福の時が流れる。


 私はさすがにずっとつかっていたので、続けて湯につかりつづけるのは、きつい状況になっていた。
 先程トコトン露天風呂にいる決心をしたので、出ていく気はサラサラないが、時々湯からは体を出さなければならない。
 そうすると、当然こちらのヌードが女性陣に見られてしまうことになる。
 しかしそんなことを一々考えてもいられなくなり、とにかく湯から体を出し、岩場に腰掛けることにした。
 幸か不幸かライトがちょうど私を照らすような感じで当たっているので、女性陣からは私の裸は丸見えになってしまう。もちろん女性陣は私を見て見ぬ振りをしているようであるが、先程も述べたように正面に私がいるので自然と視界に入ってしまうはずである。普通ならちょっと抵抗があるだろう。

 でも良く考えてみると、彼女達も先程ちょっとだったけど自分達の「◯アー」を見せてくれたことでもあるし、これはお互いギヴアンドテイクだよな(何がじゃ!)、と一種開き直りにも似た考えが浮かび上がってきた。

 幸い今ここは私と彼女達だけの空間である。とにかく熱いので裸で岩場に座っていてもあまり違和感は無いし、それが自然な感じでもある。
 それになんか女性に自分の裸を見られているというのが、どういう訳か妙に快感にも思えてきた(オイオイどうしたんだ、このにいさん)。
 こりゃ自分は変態の血があるのだろうか?いや・・・全裸女性3人も前にしていると、こちらも舞い上がるというか、開放的な気分になってきてしまう、きっと人間の本質だ、これは、そうに違いない・・・などという思いも浮かんでは消えていく。
 よく女子高生にコートの前をはだけて自分の一物を見せる変態オヤジの話しを聞くが、そんなオヤジと同じレベルになっちまいますな、これじゃ・・・。


 ここで開放的になりついでに、すご〜く良いように解釈を始めるが、も〜しかしたらこの女性達は私と混浴していることに対して好感を覚えている、かも知れないでは無いか?!(始まったぞ・・・)。

 私は自慢では無いがけっこう年より若く見られることが多い(始まったぞ・・・)。
 例えばこの母親は今回の旅行から帰って近所のおばちゃん達との世間話で「この間新穂高に言った時、若いカッコイイ男の人と混浴しちゃったのよ!」(カッコイイに意義有り!の声)といったような会話をかわしているかもしれないのである、いや、きっとそうにちがいない!
 母親はおそらく私よりは年上であろうが(もしかしたら、そんなに年の差が無いかもしれないけど)、おそらく若い男性と混浴してしまったという事実に、少なからず興奮を覚えているはずだ!、いやきっと、そうに違いない!。

 かたや娘達からしてみると、この私めは白馬に乗ったカッコイイお兄さん、という設定になる(恐るべき自意識・・・)。
 帰ってからの友人との会話で、姉は「あたし、この前ラッキーしちゃった!新穂高で結構カッコイイお兄さんと混浴しちゃった!」、妹は「この間新穂高行った時露天風呂で、初めて他人の男性の裸みちゃった!それもけっこうカッコイイお兄さん!」というような会話をかわしているかもしれない。いやきっとそうに違いない!(恐るべき自信・・・)。そうそう、もしかしたら、私はこの妹にとって、もしかしたら姉妹にとって「父以外の男性で全裸を見た初めての成人男性」ということになってしまっているかもしれないではないか。これは私的には名誉なこと、というか光栄なことのような気もするのであるが。

 好感の何よりの証拠に、彼女達は不快さも見せず、こうして今、私と全裸の一時を過ごしているでは無いか!(はいはい、幸せそうですね・・・ところで旅の情緒は?・・・)。

 それにしても、先程の風呂Bの老婆達は私に強制勧告してまで、私を排除したのであるが、こちらの女性達は、そんなそぶりは全く無く、私にとってはうれしい限りである。
 私については見て見ぬ振り、という感じが正しい。
 まさか、私に気付いていない、ということは絶対有り得まい。それは無かろう(あったりして)。

 母親はまあいいとして、娘二人はまず間違い無く嫁入り前だと推測されるが、他人の男性に全裸が見られてしまうというのに、別にあまり気にしていないようであり、若いのに結構大胆だなとも思う(実際は結構サバケてたりしてね)。
 老婆の世代の女性の方が貞操観念が、かなり強いのかもしれぬが、この親子達はその点実に開放的である。普通ババアの方があけっぴろげ、というイメージが強いが、ここでは逆である。
 それに全裸が見られてしまうことに対して、老婆達のように徹底的に対策を取るわけでも無く、ごく普通に入浴し、見られたら見られてもいいや、という感じなのである。
 例えば先程述べたように風呂に入る時に彼女達が屈んで黒いものが見えたという話をしたが、あの局面ではちょうど私の位置からは良い具合で黒いものが丸見えになるように、彼女達が身体を傾けてくれていたので、バッチリ拝見することができたのだ。
 つまり私のいる方向に対しては下部の防御が全く無防備の状態なのであった。
 どういうことかというと、あの局面では彼女達は、どうやら「父親のいた方向」に対して防御を向けていたようなのである。
 片や私に対しての防御はというと、そちらは全く甘かったのである。結局目前にいた父親に対しては自分の恥部を隠し、私は全然考慮外だったのである。ま、それがラッキーだったんだけどね・・・。

 女性3人というのが、彼女達を大胆にさせているのか?
 とにかく私より父親にモロ見られるのが嫌だったのか?(これは可能性は高そうであるが)。
 それとも別に他人に自分の裸を見られてしまうことに抵抗が無いのか?
 もともとあまり気にしない性格なのか?

 一般的な女性はこの辺どういう考えなのであろうか?
 露天風呂、それも混浴に来たという時点で、裸は見られてもOKよ、ということなのか?
 そうだよなあ・・・じゃなきゃ、わざわざ混浴には来ねえだろうしなあ・・・?

 そういえば・・・!
 実は最初から彼女達も「私の入っている風呂Aに入りたかった」のではないか!?。
 そうだ!きっとそうに違いない!私にはそう見えた(恐るべし一人よがり・・・)。
 それを、男性である私がいた手前、3人ともつい風呂Bに足を向けてしまって後悔していた。それが証拠に、彼女達は入口でウダウダしていて、すぐ風呂Bには入ろうとしなかった!。
 するとなんと、父親が良いタイミングで彼女達を呼んでくれたので、この時点で彼女達には公然と風呂Aに入る理由ができた。
 で、はい、それじゃあ喜んで、と行くのも体裁が悪いので、多少モジモジする演技を交えつつも、結局風呂Aへと晴れて足を向けられることになった、・・・
 きっとこのようなシナリオが彼女達の間で展開されていたのだ。そうだ、きっとそうに違いない!私にはそう見えた!な〜んだ彼女達も男性と入りたかったんじゃん!・・・・・・

 などと思いは千々に乱れる新穂高の夜なのであった・・・。


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