ニールセダカ in 川口 その3

 まずはニールセダカのヒット曲のメドレー。バックコーラスの女性がボーカルをとっている。まだニールはステージにはいない。

 そして程なくニールセダカ本人が登場!。
ニールセダカは既に還暦を迎えている。1950〜60年代は押しも押されぬトップアイドルであったと思うが、現在はお世辞にもその面影は無い。ヒロミ郷のようにはいかない。まあ、正直にいえば、ちょっと小太りのオジチャンという感じである。しかしながら、さすがにスターだけあって気品があり、それなりの風格がある。
 ニールはピアノの椅子に座って、おもむろにオールディーズポップ調のイントロを弾きだし、代表曲「オーキャロル」が始まる。
コンサートの本格的な幕開けである。
明るいメロディがオープニングにはふさわしい感じ。改めていい曲だなと、感じさせる。

 「オーキャロル」が終わると、ニールセダカの挨拶。
日本語はほとんどできないらしい。そんな中にもたどたどしい感じで
「カワグチノ、ミナサン、コニチワ!、ニールセダカデス!」と「カワグチ」にオリジナリティを込めて日本語の挨拶をしてくれる。
そして、すかさず2曲目の「すてきな16才」。
この曲もアップテンポで、客もまずまず御機嫌の乗り。ただオールドファンが多いせいか、手拍子が民謡の手拍子のように表打ちになることは否めない。
続いて「可愛いあの娘」と、初期の代表曲が続く。

 そして次の曲はニールがピアノを離れてスタンディングで歌う。
 彼の第二期黄金時代1970年代の代表曲「BAD BLOOD」。
原曲は、エルトンジョンとのデュエットになっている。
オールドファンには馴染みが薄いのか、最初の3曲に比べると、ちょっと客の反応が薄い。
しかしサウンドは、やはり十分近代的で、1960年代の歌とはちょっと一線を画する、ニールの才能を感じさせる曲。

 続いても1970年代の名曲、再びピアノの前に座りしみじみと歌いあげる「ソリテア」。
本人から、「カレンカーペンターとの偉大な仕事」というようなコメントが入る。
ピアノの静かなイントロから、メインのメロディが聞こえると会場からも拍手。
カーペンターズのバージョンは日本でもヒットしたので、結構会場でも人気があるようである。
僕は個人的に、このようなニールの1970年代の歌が生で聞けて、「来てヨカッタ」とシミジミと感じる。

 続いても1970年代の名曲「ニューヨークシティブルース」。
ニールの生まれ故郷「ニューヨークのことを歌った歌」だとのコメント。
それにしても、ニューヨーク生まれなんて、なんて絵になる故郷なんだと思う。
こういう時、こういう大都会の生まれの人は、つくづくうらやましく思う。我が故郷はというと、港町、どっちかってえと演歌調の街である。
この曲もスローな名曲であるが、ニールが故郷への思いをこめて切々と歌い上げる。
僕の隣のいろいろ文句を言っていた御婦人も、さすがに「ソリテア」、そしてこの曲と続いてきて、いつしかニールの曲に聞き入っているようである。 
 曲が終わって、ここでバックボーカルの女性の紹介が入る。
メンバー紹介はまとめてしないで、このようにそれぞれの見せ場があった曲の後に個々にしていた。

 1970年代の曲がひとしきり続い後、ニール本人が「1950〜60年代のニールセダカサウンド」と称する、これまた彼の代表曲「カマ、カマ、ダンドゥビ、ドゥダンダアン」のフレーズが印象的な「悲しき慕情」。
ニール初の全米No.1ソング。ちなみに補足だが、この曲もカーペンターズがカバーして、日本でもヒットしている。

 お次はニールがピアノ(アコースティック)から、電子ピアノに移り変えて演奏する、「きみこそすべて」。
ポールアンカの「君は我が運命」にソックリな歌だが、オールドファンからはまた歓声があがる。
曲が終わるとニールが立ち上がり、会場を見回して、噛み締めるように丁寧な挨拶をする。そして再びアコースティックピアノに戻る。

 ニールが「グラミーを受賞した云々・・・」というコメントをしたので、
次の曲が「愛ある限り」というのがわかる。
1975年にキャプテン&テニールのカバーで大ヒット。日本でもヒットした。
結局その年度のグラミー賞のレコードオブジイアーを獲得。
当たり前といえば当たり前な話だが、グラミーの最優秀レコードといえば、「明日に架ける橋」(サイモン&ガーファンクル)や「やさしく歌って」(ロバータフラック)「ウイアーザワールド」等、ちょっと挙げただけでも、ポップス史上に燦然と輝く歴史的名曲ばかりで、そんな中の1曲のソングライターとして名を列ねているニールセダカは、やはり偉大なソングライターなのだと、改めて痛感する。
忘れてはいけないのは、メロディもさることながら、ピアノのフレーズ。この曲の印象的なフレーズは割といろんな人に影響を与えたのではないかと思う。
曲の後にギターの紹介が入る。

 次はコニーフランシスがカヴァーした、軽やかな「間抜けなキューピッド」。
それにしてもニールは還暦とは思えない若々しい声である。この人は本当にポップスを歌うためにこの世に生を受けたのだな、と感ずる。
ドラムの紹介が入る。

 次も代表曲「カレンダーガール」.ここが今日のポイントとなった曲である。
 年齢層もあるためか、観客も最初は座って聞いていたのだが、ニールが途中で「Stand Up Please!」と叫ぶ。すると、どうだろう、ここで僕にはちょっと思いがけない事態が発生した。
 なんと、立ち上がった勢いそのままに、オールドファンのおばちゃん連中が、ステージにどっと詰め寄せてきたではないか!。
 お約束なのか、花束を渡すファンもいて、ニールと握手をかわしたりして、一層場が盛り上がる。
年齢は、主役も観客も高いが、これはさながら若いアイドルのコンサートと変わらぬ光景である。
先陣が詰め寄せると、あとは堰を切ったようにオジサンオバサンが我も我もとつめよせ、ステージ前は、一杯になる。中には若いのもいたので、僕も席のロケーションの良さを生かして、つめかけたくなる衝動が沸き起こったが、モバイルパソコンやら手帳やらを持っていたので、ちょっと我慢した。僕より後方の席の人も前に行くので、もう席的には下克上の世界である。

 カレンダーガールで盛り上がったあとは、「恋の日記」をシットリと歌い上げる。

 次は奇麗なピアノのイントロが少し入って、ニールの1970年代の代表曲「雨に微笑みを」が始まる。
これはもう何も言うことない名曲。ニール自身、カナダのコンサートのビデオで、この曲を紹介する時に、この曲のインスピレーションが天から降りてきた(そういう単語では無かったけど、そんなニュアンス)みたいな言い方をしていて、確かにそんな感じを抱かせる曲である。詩もいい。

 次も大盛り上がりの曲、「チューチュートレイン・・・」でお馴染みの「恋の片道切符」。
この曲でも「Stand UP!」の号令がかかり、またファンが前に押し寄せる。
僕のすぐ後ろのオバサンも連れに「さ、次、行くよ!行くからね!」と気合いを入れ出撃準備に入ろうとしている。

 ふと右横に意識を向けると、あれ程ニールのコンサートに乗り気でないようだった例のご婦人も、どうも通路側に出たそうな雰囲気をプンプンと醸し出し始めているようである。どうやら僕が邪魔になっていて出て行けないだけのようだ。僕も出て行けば良かったし、もしくはどいてやれば良かったのであるが、前は混んでいるし、その他いろいろと出陣のため準備するのも面倒だったので、ご婦人には申し訳なかったがそのまま居座ってしまった。ご婦人も僕を押しのけてまで行くような感じでは無く、基本はやはり上品さを保っていたそうな感じだったので、結局その日に婦人がステージ前に出て行くことは無かった。今考えてみるとちょっと婦人が前に出て行く姿がどんなものだったか見てみたかったような気もする。

 ここで一旦ニールが下がって、一応次からがアンコールのような感じだったが、すぐにニールが再登場。

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