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 Chapter 36 学校とのパイプ(未定稿)

36−1 学校と博物館の関係


 2002年に改定された学習指導要領では,総合的な学習の時間が規定され,子ども達が自発的に調べたり,地域とのつながりを重視したカリキュラムが求められている。これはある意味,博物館にとっては,学校との連携を強めるチャンスだと言える。しかし現実には,学校との連携は,あまり進んでいない。

 鳥の博物館と言う,教育委員会直属の施設がありながら,市内の小中学校で,博物館を積極的に学習活動に利用する学校は,それほど多くない。理科教育に熱心な先生のいる学校/学年が利用している,と言う印象だ。市外からの団体利用も,「遠足のついで」に,ちょっと立ち寄って見学する程度のことが多い。
 また,過去には,先生が博物館に,指導内容も含めて,学習指導を「丸投げ」してしまったり,親水広場での野外学習のついでに,アポ無しで博物館に見学しに寄ったり,と言う例もあったらしい。

 やはり学習効果を上げるには,事前にきちんと学校から博物館側に,子ども達に教える内容についての希望を出して,博物館のスタッフと先生方とで良く相談しながら,それに応えられるような学習プログラムを組む,と言う段取りが理想だ。出来れば引率の先生方も,ティーチングアシスタントとして,学習活動を支援することが望ましい。そうすれば,学校では学べない,素晴らしい学習が出来るだろうし,先生方にも勉強になるかも知れない。

 博物館側でも,もう少しスタッフが充実したら,逆にこっちから観察会を学校に「出前」したらどうだろうか,と言う構想も,内々の話としては出ている。我孫子に13校ある小学校の,各学区内の自然観察スポットを選び出し,どの学校でも学区内で観察会が出来るようにしたらどうだろうか?と言う話もしている。

 学校の先生は忙しい。いまどきの学校は,我侭な保護者からのクレーム対応に追われたり,研修などの回数も多く,学年が進めば進路問題に明け暮れる。「子供たちに教えること」以外の仕事が,非常に多くなっている。
 だったら,いっそ,博物館が「総合学習対応プログラム」のモデルを予め何パターンか用意してしまって,利用者である学校は,それを取捨選択し,学習の進展度に合わせて微調整するだけで,博物館での学習活動が実現してしまうような方法も,良いかも知れない。効率よく,効果的に,博物館を「学びの場」として利用できるように,博物館側も,もう少し頑張って整備しておきたいところだ。

 いずれにしても,先生が「博物館を活用する」と言う意識を持っていなければ,実現しにくいことばかりなのだが……。

36−2 息切れ?総合学習


 2003年秋,私は,地元の小学校の「総合学習」で,「手賀沼の自然しらべ」の手伝いをした。野鳥観察,植物観察,昆虫観察と,3回に分けて,学校と手賀沼を往復し,野外での観察を指導した。このときに面倒を見た子が,その後,鳥の博物館の観察会の常連になったりして,地域と学校と博物館の橋渡しにも役立った。
 がしかし,その後,毎年,「保護者ボランティア」公募の際に,「観察指導をします」と学校に話を入れているのだが,野外観察指導の外部講師は,途絶えている。毎年,地域の「自然しらべ」は必ず行われているのだが,この手の野外学習にどのぐらい力を入れるのかは,そのときの担当教諭の判断に委ねられている。2003年は,たまたま,熱心な先生が担当だった,と言うことのようだ。
 総合学習は手間がかかる。先生方も,かなり試行錯誤しているのではないだろうか。市内には鳥の博物館と言う拠点があり,しかも,ほとんどの学校では,学校の周囲に,環境学習のネタはたくさんあると言う恵まれた条件の街なのに,こうした好条件を上手く取り入れて環境学習を実現している学校は,どのぐらいあるだろうか?少なくとも,私の子供が通っている学校では,前述のような状況であり,博物館から眺めてみても,総合学習の時間に博物館を上手に利用している学校は,それほど多くない。

 学校教育に手を貸そうとすると,学校教育現場の現実を目の当たりにしてしまう……そんな印象も強い。

36−3 博物館が自由研究をグレードアップ


 さて,9月の第2週は,「てがたん」を終わらせてから,市民会館で開催されている「小中学校科学作品展」を見に行った。これを見るのも,毎年恒例になりつつある。作品展会場には,各学校で選抜された優秀作品が集まっている。自由研究にもトレンドがある。この作品展をひととおり眺めると,今年はどんなテーマが流行しているのかも,なんとなく見えてくるので,作品の内容とは別の意味で,興味深い。
 今年も,セミの羽化観察が何点か出ていた。そのうち2つは,明らかに,我々の観察会に参加した子の観察記録だ。
 さらに注目したのが,夏休み中に博物館に相談に来ていた子の作品。私がアドバイスした作品が2つとも,金賞を受賞していた。やったー!

 鳥の博物館で調べたり,アドバイスを受けたりすると,良い自由研究が出来る……かも知れない(笑)。自由研究は,あくまでも本人の興味とやる気。最初から「何をやったらいいんでしょう?」と言う状況では,アドバイスする側も困ってしまう。博物館が出来るのは,困ったとき,行き詰ったときのアドバイスとか,調べものの資料提供のようなこと。言い換えれば,子ども達の作品に,「あと一押し!」が必要なときの支援である。
 いずれにしても,博物館は,自由研究の強力なサポーターになるのだ。
 意欲的に自然,生き物,環境関係の自由研究に取り組む子には,必ず,役に立つと思う。

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