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 Chapter 24 迷走する「共催」 その3(未定稿)

24−1 誰が参加者?


 師走。
 寒いし忙しいし,「この時期のイベントならクリスマスでしょ!」と言うような,こんな時期に,観察会を投入して,人が集まるのか?

 ……いや,実際,2003年のクリスマスの数日前,手賀の丘には40名近い参加者が集まっていた。昨年の,「あびこ自然観察隊」の「冬の雑木林で遊ぼう!」である(詳細はChapter 6)。このときは,予約定員を少し超える人数を受け付けて,手賀の丘への送迎バスにスタッフが乗り切れず,車で移動すると言う一幕もあった。
 これが,鳥の博物館と手賀の丘少年自然の家の共催企画で観察会を行う,きっかけにもなった。

 その1年後,である。

 集合場所にいるのは,我々鳥の博物館スタッフ数名と,手賀の丘の施設ボランティアとその家族が10名近く。知っている顔も多い。おまけに,取材の記者さんも入っている。
 純粋な「参加者」は何人だ?
 ……間違いなく1桁。

 夏の「ホタル」に比べ,この差は何なんだ?

24−2 とりあえず,予定通りに


 今回,私は観察会の企画内容に全くタッチしていない。もちろん,時田さんも……。手賀の丘主導の企画だ。取材の都合もあるので,とりあえず,予定通りに進めることに。メインテーマは,ネイチャーゲーム。あちらの施設ボランティアには,ネイチャーゲーム指導員の有資格者がいるらしい。我孫子からの参加者は御年配の方だし,ゲーム遊びに乗りやすい年代の子どもと言えば,施設ボランティアの方のお子さんぐらい。ともかく,サクラでも何でも,やるしかない。

 ゲーム自体は,いろいろと入念に準備されていたようで,丁寧にこなしていた。がしかし,参加メンバーがこのような状況では,やりにくかったことと思う。「指導者」と言っても,それほどキャリアがあるようには見えなかった。情況変化への対応が柔軟ではないのだ。特に気になったのは,「こういうふうに自然を感じてください」的な発言が多かったこと。確かに,ネイチャーゲームは自然への気づきを演出し,自然を感じる心を育てる目的で,非常に良く考えられたプログラムを用意しているのだが,無理に「感じ方」まで指導しなくても良いように思う。これはプログラムの使い方の問題なのだろう。それに,相手が自分よりも自然を良く知って,感じて,研究調査をしてきた学芸員や研究者では,ゲームをやるほうも大変だ。まぁ,こちらも協力的に「お約束」の反応をしたりして,観察会を盛り上げるようにするが,それはネイチャーゲームの本質から,かけ離れている。

24−3 勧誘


 取材は,ローカル新聞のお正月の「酉年」特集関連だった。そう言えば,この観察会では,ゲームの時間と移動時間に大半が取られて,あまり鳥を見なかったな…。鳥の博物館の学芸員がインタビューに答えてフォローする。せっかくなので,私も口出しをして(おいおい…)鳥の博物館の紹介や,博物館サイドでやっている観察会の案内もしておく。相手がメディアであっても,そうでなくても,良くアピールして,好印象を持ってもらうことも,大切だ。今は,野鳥の会も会員数を急速に減らしているし,探鳥会の参加者も減少している時代。探鳥会にとっては,「冬の時代」が訪れようとしている。鳥の博物館の観察会も,いつまで人気が続くか,分からない。おそらく,何も特別な企画やアピールをしなければ,今回の観察会のように,人が集まらず,観察会事業そのものも衰退してゆく危険は,常にある。

 観察会事業を成り立たせるために,営業センスも身につけなくてはいけない時代が来るかも知れない。

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