(→「博物館で遊ぼう!」の先頭へ)
(→前のページへ)
(→次のページへ)
(→Home)

 Chapter 7 ワクワクの春,ワクワクの里山(未定稿)

7−1 春は里山から


 冬の間,冬眠状態だった観察会。鳥の博物館主催の観察会は無かったが,以前より,鳥の博物館では,この時期の手賀沼での冬鳥の観察会に協力をしているので,完全な冬眠で
もなかったのだが……。
 私も1月,2月は忙しくて,なかなか博物館にも顔を出せない。しかし,陽だまりにオオイヌノフグリやホトケノザが咲いているのを見つけると,あれこれとやりたくなってくる。ほんと,春の花は元気をくれるなぁ……。

 さて,2003年度の年度末を締めくくるべく,しっかり観察会作りをしますよ!

 当初の計画通り,3月の岡発戸で,里山の早春の姿を楽しもうと言う企画。あ,日程が決まっていなかった……。例によって,学校休日土曜日を狙って,3月第2土曜日で決定。


 前にも書いたが,岡発戸・都部のあたりは,標高が5〜20mぐらいしかない。なのに,そこには小高い雑木林を割って流れる川があり,川沿いには田んぼが開け,その風景は「里山」そのものである。標高を聞いてしまうと,「山」とは言いづらいものがあるが,この環境も,ここに住む生き物たちの種類も生きざまも,間違いなく「里山」なのだ。ここからそう遠くない,北総台地にも,多摩丘陵の里山などに比べれば,ずっと標高は低いけれど,ここと似たような里山が,まだ点在している。


 私は何故か,植物の観察に関しては,春の花,特に早春の花が得意。夏や秋になると,種類も多いし,名前を覚えきれていない。もっとも,植物の名前をすべて丸暗記しよう,などとは思っていないのも事実なのだが。日本産植物はだけで約1万種もある。それに外来種,園芸種も加わると,とてつもない数であることがお分かり頂けると思う。その土地の環境を代表する植物,その季節を代表する植物を,ひととおり知っていれば,とりあえず,自然解説は出来る。特に早春は,冬枯れの中から少しずつ,花を咲かせ,少しずつ,花の種類が増えてゆく,この季節感とワクワク感が好きで,つい,この時期の花ばかり,よく観察してしまう。

#それに,夏場は昆虫観察も忙しいし……。

 そんな,大好きで得意な,春の里山の自然観察が,今回のメインテーマ。
 タイトルもズバリ,「谷津田の春をさがそう」。

7−2 里山らしさを考えた演出


 さて,岡発戸,都部の里山は,いろいろな観察ネタがあり,いろいろな演出が考えられる。
 しかし,「あびこ自然観察隊」としては,春の里山観察会は初参戦だ。
 そこで,なるべくオーソドックスな観察会をセットアップして,観察中の小ネタで演出力を稼ぐことを考える。案内役のパーソナリティや興味の範囲が色濃く反映されるセッティングだ。そして,担当者どうして,お互いに質問し合ったり,突っ込みを入れたりしながら,いろいろな自然観察の楽しみ方,里山の遊び方を提案してみよう,と言うもの。経験豊かで個性ある担当者が揃っていないと,こう言う演出は難しい。そう言う意味では,かなり上級テクニックであるとも言える。

 ただ,観察会のコンセプトがあまり散乱しないよう,最初に「いちばん春らしいなと思ったものを,後で聞くから,探しておいてね。」と参加者にお願いして,最後の「まとめ」で,各自の見つけた,いろいろな「春」を紹介してもらおうと言うことにした。

 担当スタッフも充実している。「友の会」からのお手伝いも増えた。鳥はもちろん,植物観察の名手もいるし,今回はチョウに詳しい池田さんも手伝いに来てくださった。
 秋にも同じ場所で観察会をやったので,下見も楽だ。事実上,パンフレットに掲載する写真撮影に行ったようなもの。観察記録と経験が積み重なれば,観察会の計画は,どんどん楽になる。

7−3 「春」は見つかった?

 3月12日。好天。これで観察会の成功は約束されたようなものだ。基本的には秋に同じ場所で開催しているので,段取りはわかっている。例によって(?)予約は満員。定員30人なのだが,担当者の人数と,観察場所の道の狭さから考えても,これ以上の人数の受け入れは難しい。
 参加受付と,出発前のトイレの案内(現地にはトイレが無いので…)をしつつ,あれこれ応対しているうちに,あっという間に出発時刻。
 基本的なコースや時間配分は,秋の観察会と同じだ。でも,見られるものが全然違う。早春を彩る花もいろいろ。コブシの花もちょうど満開。芽吹き前の梢も美しい。クズの葉っぱが落ちた跡(葉痕)は,パンダの顔みたい。……そして,ニホンアカガエルの卵とオタマジャクシ。これを紹介したくて,この時期に観察会を企画したようなものだ。

 まだ春浅い時期。陽だまりにいる時間を長めに取って,暖かい,明るい場所で,ゆっくり観察できるようにペースを調整する。参加者の気づかないところで,こうした調整をして,気持ち良く観察を楽しんでもらえるようにしているのだ。

7−4 いろいろサプライズ


 さて,お昼近くなって,お腹もすいてきた。ぼちぼち「まとめ」にしよう。
 朝,あいさつをした谷津田の入り口の広場に戻って,観察したもののおさらいをする。最初に約束したとおり,「今日,いちばん春らしいな,と思ったもの」を上げてもらおう。こう言うときは子どもたちが主役だ。観察会の最初のほうから,かなりノリが良かったので,ちょっと期待。最初,2,3人に指名して聞いてみたら,「オオイヌノフグリ!」「カエルの卵!」など,じっくり見たものが返ってきた。簡単な解説を加えて,「他には?」と聞き始めたら,どんどん手が上がる。楽しく観察できた証拠だ。子ども達に上げてもらったものだけで,今日観察したものが,大部分出てきた。良く見ているなー。

 さて,最後にちょっとサプライズ。

 池田さんが岡発戸で捕まえたチョウの標本を,見せてもらう。ちゃんと,この季節に見られるチョウを用意している。「ここにはこんなチョウがいるんだよ〜」……子どもたちが,ワーッと集まって見ている。

 さらにもうひとつサプライズ。

 ペットボトル工作で作ったおもちゃ。ボトルの胴の部分を長さ数cmの円筒形に切り出して,片側の口にビニールテープのおもりを貼っただけのものだが,回転をつけて投げると,びっくりするほど遠くまで飛んでゆく。科学的な原理も面白いのだが,面倒な理屈抜きで,とにかく,よく飛ぶだけで面白い。こう言う広場で遊ぶのにもちょうど良い。子どもたちの人数分ぐらいの数を用意していたのだが,「子ども優先」と説明していたのに,どうしても欲しいと言う女性が食い下がる。「孫にやるから」……って,あくまでも観察会に参加してくれた子ども達向けのプレゼントなんだけどなぁ……(それに,大人だったら5分で作れる程度の工作だし)。結局,「いらない」と言ってくれた子がいたので,何とかなったのだが,ちょっと冷や汗ものだった。あまり余裕を考えて用意しなかった私も悪いのだが,何でも欲しがるのも,ちょっと,ね……。

 なぜ,「科学工作」のおみやげを用意したのか?……それには,ちょっと伏線がある。

(→「博物館で遊ぼう!」の先頭へ)
(→前のページへ)
(→次のページへ)
(→Home)