早く芽を出せ!
対象年齢:小学校高学年以上。
おとなが準備してあげれば,小学生未満でもOK!
ふだんの生活の中で,けっこうタネ(種子)を捨てていませんか?
カボチャやピーマン,リンゴやグレープフルーツ…。
これを土などにまいたら,ちゃんと芽(め)が出るでしょうか?
ふだん,なにげなく捨てているタネを,ちょっとそだててみましょう。
身近な材料を使った,かんたんな発芽(はつが)の実験です。
【用意するもの】
・野菜(やさい)やフルーツのタネ:
よく熟(じゅく)したものがよい。特にフルーツがおすすめ。イチゴやビワ,メロン,スイカ,グレープフルーツ,アボカドなど,何でもためしてみよう!
・野草(やそう)のタネやドングリ,木の実なども…
家の近くで,いろんなタネをさがして,そだててみよう。
・土など:
本格的にやるなら,「育苗(いくびょう)ポット」にバーミキュライトやプランター用の土などを入れて,苗床(なえどこ)を作ります。
もう少しかんたんにやるなら,植木鉢(うえきばち)やイチゴパックなどに土を入れたものでも,いいしょう。
野草のタネをまくときは,土にまじっている,ほかの草のタネと見わけられなくなることがあるので注意。
もっとかんたんにやるなら,イチゴパックなどにペーパータオルや脱脂綿(だっしめん)などをしいて,水でしめらせます。この方法だと,タネから芽が出るようすが観察しやすいけど,すぐに植えかえないと,ちゃんと育ってくれません。また,ホームセンターや園芸ショップで売っている,水栽培用の,カラフルなゼリー状の高分子ポリマーもおすすめ(←紙おむつや携帯用トイレの吸水剤でも,なんとかなります)。
【観察しよう】
まずは,とにかくタネをまきます。
発芽に必要な温度は,種類(しゅるい)によってちがいます。
また,ペーパータオルにまいた場合,暗くしたほうが発芽しやすいタネもあります(発芽したら明るいところに出しましょう)。
……どうすれば発芽しやすいか,タネの種類によってちがうので,研究してみてください。
アボカドやマンゴのような大きいタネは,ちゃんと土にうめたほうがいいでしょう。アボカドやビワ,ライチ(冷凍品はだめ),グレープフルーツなどは,そのまま鉢植えにして育てても,おもしろいですよ。
スイカやメロンは,温度さえあれば,どんどん発芽します。
野草のタネは,意外と発芽させるのがむずかしいことがあります。くわしくは,こちらを読んでください。
ドングリや木の実も,発芽に時間がかかります。
意外とかんたんなのが,小鳥の餌(えさ)。ブンチョウやセキセイインコ,ジュウシマツ用の,アワやヒエなどのまざった餌は,しめらせておくだけで,けっこう芽が出ます。
☆発芽のようすを,ちょっとだけお見せしましょう。
グレープフルーツ
イチゴ
カボチャ
【もう少し観察してみよう】(ちょっとくわしい説明)
私たちの日常生活は,農業でもやっていない限り,どんどん「生命」を意識する場面から遠ざかっています。こうやって,ふだん,食べているものを発芽させて観察していると,「生き物」を育てて食べているんだなぁ,と言う実感がわいてきます。この実験は,そんな,「生命」を意識させるきっかけになってくれたら,と思ってデザインしてみました。
もし,グレープフルーツやアボカドがうまく発芽したら,鉢植えにしてみてください。東京あたりなら,グレープフルーツは,霜に当てないようにして育ててやれば,2,3年後には香りのいい花がつきます(果実はできませんが)。もしかすると,アゲハチョウの仲間が卵を産んで,チョウが育つかも知れません(木は丸坊主になってしまいますが)。身近な場所から,いろいろと興味が広がります。
アボカドも霜に弱いのですが,室内で観葉植物のようにして育てるのも,おもしろいと思います。
マンゴの葉っぱも,きれいですよ。
ライチは,原産地の中国南部では,大きな樹に育ちますが,日本ではどうでしょう?
なお,野菜や果物のタネが育っても,元の野菜や果物のような実ができない場合がほとんどです。いまどきの野菜や果物は,「交配種」と言って,1代限りの雑種になっているので,そのタネを育てても,ほとんどの場合,親と同じ特性が出ることがありません。