いちばん身近な分光シート?

対象年齢:小学校低学年以上。
       原理がわかるのは高校生以上ですが,現象は直感的にわかります。
 


 明るい光に向けて透かして見ると,虹色の光の「にじみ」が見える「分光シート」。
 科学館などのおみやげや,おもちゃとしても売られているものですが,これを自作することもできます。

パソコンで「虹シート」をつくろう

 この原理は,光の「回折」を利用したものです。
 ものすごく簡単に説明すると,光が狭いスリットを通るときに,少しだけ光が曲がりますが,それが光の波長によって,曲がる角度が違うので,光が虹色に分散するのです。


 あるとき,商店街に立てられている「のぼり」をすかして見ると,むこうの光が虹色に見えることに気がつきました。



 こんな,どこにでもあるヤツ。




 さっそく,カメラを出して,虹を撮影してみました。



 左の写真の灯りを,「のぼり」の布地を通して見たのが,右の写真。
 この手の布は,合成繊維の糸を平織りにした,安い布です。
 タテヨコに織られた布の織り目を通して,光が回折していたのです。


 これは面白そう!

 もうちょっと,いろいろな光を観察してみました。




 これは車のヘッドライト。
 けっこう赤の成分を多く含んだ,連続スペクトルになっているのがわかります。
 電球の光を,プリズムを通して見たときの様子に似ています。




 これは白色LEDのイルミネーション。
 赤,緑,青の,それぞれの色が独立していることがわかるでしょうか?
 車のライトのときに見えていた,黄色や青緑,紫などの色が見えていません。
 これは連続して波長が出ているのではなく,3つの単独の波長の組み合わせで,白い色を合成していることがわかります。

 これで水銀灯を見れば,青緑色の明るい線が現われ,水銀灯の光は「連続スペクトル」ではなく「輝線スペクトル」を持っていることがわかります。


 この手の安い布は,布地や手芸用品を扱っている店に行けば,比較的簡単に手に入ります。実験に使うなら,「ハギレ」サイズでじゅうぶんです。なるべく色の濃い目の布を買って,実験してみましょう。



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