パソコンで「虹シート」をつくろう!

対象年齢:小学校高学年以上。
       おとなが作るなら,小学生未満からOK。


 虹を見たことがありますか?
 虹は,太陽の光にふくまれている,いろんな色の光が,雨のつぶによって分解して見えたものです。
 ……だったら,光を分解する道具があれば,いつでも虹が作れるんじゃないかな?
 ふつうは,ガラスでできた「プリズム」で,光をわけて,虹を作る実験をしますが,パソコンとプリンタで,光を分解して虹が見える,ふしぎなシートが作れるんです。
 さっそく,作りかたを説明しましょう!

【用意するもの】
・パソコン:この画面をインターネットで見ている人は,大丈夫ですね!
・お絵かきソフト:Windowsのアクセサリについている「ペイント」でも,なんとかなりますが,できれば印刷するときの「解像度」が指定できるやつがいい。
・プリンタ:720dpi以上の解像度は必要です。インクジェットでもレーザーでもできます。
・OHPシート:パソコンショップで売っています。プリンタに合わせて,「インクジェットプリンタ用」「レーザープリンタ用」などが売られていますから,プリンタに合うものを買ってください。


【やってみよう】
・「虹シート」の作りかた

 まず,お絵かきソフトで,こまかい平行線を書きます。
 少なくとも1024×768ドット以上の,大きめの画像サイズを用意して,1ドットおきに白黒のしましまになるように,線をひいてゆきますインクジェットプリンタの場合,横線をひくほうが,できあがったときに,きれいです。最初は何本かていねいに線をひいて,お絵かきソフトのコピー&ペースト機能を使って,どんどん増やしてゆくと,かんたんに,たくさんの平行線が作れます。

 つぎに,いちどビットマップ(bmp:Windowsの場合)か,TIFF(Macの場合)で保存しておきます。色の数を「白黒2値」または「2色」に指定しておけば,ファイルは小さくなります。

 この平行線の絵を,OHPシートに印刷します。
 作った絵の解像度をたしかめて,絵の1ドットがプリンタの1ドットまたは2ドットになるように,印刷する大きさを設定して,印刷します。

 これで完成!


インクジェット用OHPシートにプリントした平行線。ちょっとムラガできてしまったけど(^_^;)。



上のシートのアップ。こんなふうに,こまかい平行線が印刷されている。

☆レーザープリンタのほうが,うまく作れるようです。プリンタの設定や印刷設定をくふうして,きれいな平行線を作ってください。

・「虹シート」を使ってみよう
 「虹シート」の使い方は,電球などの光っているものを,シートを通してのぞくだけ。光源は点か細い線になっているものが見やすい。豆電球や星など,なるべく点に近い光源を使うか,黒い紙にスリットを入れて,光を細い線にしてから「虹シート」を使ったほうが,きれいに見えます。

 まず,電球の光を見てみると……

 まん中が電球の光。その上下に,何回もくりかえし,虹が出てきます。この写真では,上と下に5本ずつ,虹が見えます。こうして見ると,電球は赤い光が多いことがよくわかります。

 蛍光灯はどうでしょう?

 やはり,まん中の線が蛍光灯の光。その上下に,4本ずつ,虹が出ました。よく見ると,電球のように,青から赤まで連続した虹ではなく,青,緑,赤,と3つの色に分離しています。これは「3色発光形」の蛍光灯を使っています。蛍光灯の光には,特に強く光っている色があります(これを輝線……きせん……といいます)「白色形蛍光灯」だと,青緑色の強い光が見えます。「白色形蛍光灯」の下でミカンやリンゴなどを見ると,なんとなくおいしそうに見えないのは,赤い光が足りないからなのです。「3色発光形」の蛍光灯は,蛍光灯に照らされたものがあざやかに見えるように作られていて,青,緑,赤の光がバランスよく出るようになっています。
 電球の光には,輝線が見あたりません。こういうのを「連続スペクトル」といいますが,太陽の光も連続スペクトルなので,きれいな虹が見えます。

 わたしたちの身のまわりには,どんな明かりがあるのか,ちょっと見てみましょう。

 これは,ふつうに撮影した風景。
 これと同じ風景を,「虹シート」をかぶせて見てみましょう。


 いろいろな種類の光があって,いろいろな色を持っていることがわかります。
 いちばん明るく見えるのは水銀灯の光で,緑色の輝線が強く出るのが特長です。
 まん中あたりに見える赤っぽい光は,電球の光です。

【でも,どうして?】(ちょっとくわしい説明)
 平行線をひくだけで,虹が見える。プリズムを用意するよりも手軽で,ちょっと意外性のある実験です。
 これは「回折格子」の原理を利用しています。光が幅の狭いスリットを通り抜けるとき,波長の長さに応じて光が曲がる「回折現象」が起こります。これを利用したのが「回折格子」。この「虹シート」の基本構造は,回折格子と同じものです。等間隔の平行線を重ねることで,たくさんのスリットを作っていたのです。
 スリットが狭いほど,光を分離する能力は高くなります。できれば1mmあたり10本以上の平行線を引くのが理想です。2400dpiのレーザープリンタなら,1ドットの大きさは約1/100mm。2ドットずつ,白/黒の平行線を引けば,1mmあたり約24本の平行線をプリントすることができます。

【もう少し観察してみよう】
 「虹シート」は,虹のできる方向が決まっています。どっちの方向に虹ができるのか,気がつきましたか?
 もし,縦横に平行線をひいて「虹シート」を作ったらどうなるでしょう?
 「虹シート」を2枚かさねて,少しずつシートを回転させると……??

 解像度の高いプリンタが使える人は,平行線ではなく,何重にも丸を書いて,「虹シート」を作ってみましょう。円形の虹が見えますよ。

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