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Yamaha AC3R 

2012年8月購入



Yamahaの中国製全単板ギターです。

ギター内のラベルにはMade in China と書かれています。
Yamahaの直営工場で作られているとのことで、非常にしっかりと作られたギターです。
表板のスプルース、側板、裏板のローズウッドの材質も良質なものが使われているようです。
ボディーの加工も非常に丁寧に作られています。

残念なのはネックの仕上げです。敢えてグロス仕上げにせずに薄めの塗装にして握りやすくしたと言っていますが、仕上げが安っぽい印象です。
指板インレイなどの装飾も廃止して、ネックに使うマホガニーの板取りなども考えて何枚かの板を張り合わせて作られており、このネック部分でかなりのコストダウンを狙ったのでは思われます。
ネック強度についてはYamahaはかなり研究しているでしょうが、見た目も重要です。

弦高などのセッティングですが、新品のギターは全てナットの高さ、サドルの高さが標準的でビビリなどが生じない安全な設定になっているので、そのままでは弾きにくいです。(量産ギターなので仕方がないですが)
サドルの高さが十分にあるので、サドルを削って弦高調整をして使うのが前提でしょう。

生音の印象は、なかなかいい線いっているのではと思います。サイズの小さなギターは低音不足で軽い音になってしまうのですが、このギターは低音のバランスもしっかりしています。ボディの厚みを見てみるとMartinのOM、Taylorの812などと比べて1cm以上厚いのです。これが低音がしっかり出ていて音のバランスが取れている理由なのでしょうか。
まだ若いギターなので深みのある音にはなりませんが、この値段で単板、ピックアップ付きというのはかなりコストパフォーマンスが高いのではないかと思います。


 

このギターの最大の特徴はSRTシステムと呼ばれるアコースティックな音を目指したピックアップシステムがついていることです。
最近のアコースティックギターの傾向はTaylorに人気が集中していてそれは、
 @ライブなどで使えるピックアップシステム  
 Aピエゾの音ではない、よりアコースティックなピックアップ音源  
 B抱えやすい大きさ  
 Cカッタウェイ、薄いネックなど弾きやすさ重視 
などの傾向にあるように思います。

Yamahaのこの新シリーズのギターはこういった最近のニーズに沿ったギターです。
最近のYamahaのマーケティングはしっかりしていて、こういった最新のニーズを捉えているように思います。。

ターゲットユーザとしては、エレキギターからアコースティックギターを手にするライブ中心の中級者といったところでしょうか。


AC3Rに使われているSRTシステムはSYSTEM63と呼んでいるものです。ピックアップ自体はアンダーサドルのピエゾ素子を仕込んだものですが、各弦独立のピエゾ素子となっているため、より柔軟な音作りができるのだと思われます。
ピックアップのBLENDつまみをPU側にしておくと、ピエゾの音そのものです。
しかし、このつまみをMIC側にすることによりマイクセッテイングで拾った音に変わって行きます。
たぶんピエゾからの音源をDSP処理を行うことにより各弦毎にマイクで拾った音に近くなるような音作りをしているのかと思います。RESONANCEつまみを右に回すことによりギターの箱鳴り感を変化させることができ、さらに望みの音に近づけることができます。
マイクで拾った音に近くするにはBLEBD、RESONANCEつまみとも2時くらいのボリューム位置がいいようです。
この音作りのやり方は、実際にこのギターを録音スタジオで3種類の有名コンデンサマイクで収録した音を元に作ったとのことです。ほぼ完璧に生音に近い音が得られているのではないかと思います。
最新のデジタル技術はここまできたのかと感心してしまいます。
こういった音作りですとライブなどではハウリングには弱くなるはずなので、演奏者の好みでハウリングに強いセッテイングにしたり、生音に近いセッテイングにしたり、音作りの自由度は非常に高いです。
またハウリング対策としてA.F.Rという機能があり、ハウリングの生じるポイントの周波数ゲインを下げることによりハウリングを起こさないようにしています。これも非常に効果があります。
Taylorのピックアップシステムはピエゾの音ではない音を目指していますが、どうしてもマグネチックピックアップの音から抜け出ていないと感じます。それに比べて現時点でのギターピックアップシステムとしては、YamahaのSRTシステムやARTシステムが最強ではないかと思います。

 

このピックアップシステムがついて、全単板ギターがこの価格で実現できたのはやはり中国で生産しているからなのでしょうか。日本の厳しい品質管理ができてこそ実現できたことは間違いないと思います。
しかし残念なのはネックの作りと仕上げです。ギターを弾くときにはネックを見ながら弾くことが多いのでここの高級感がないと、いい音に聞こえなくなってしまうような気がしてなりません。
たぶん国内生産品とはここいらあたりが違うのでしょう。

弾き易さ重視、ライブの音重視、気軽に弾けるギター、低価格という意味での最適な選択肢になるのではないでしょうか。

S.Yairi YO-45 中国製単板ギターへ


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