白村江創作ノート05

2017年2月

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02/01/水
学部長会議があるので大学へ。まず研究室のプリンターで『白村江』の3章までをプリント。昨日が締切の学生の宿題を見る。研究費で購入した書籍がドカッと届く。本棚のどこかをあけないといけない。学部長会議。けっこう長くかかった。プリントしたものは次の日曜の入試待機時の作業なので、残っている4章のプリントをチェック。必要ならメモを書いていく。ゴールは見えているが、なかなか進まない。

02/02/木
イーブックジャパンの担当者と打ち合わせ。近所で軽く飲む。出かける前に間人皇女が出陣前に祝詞を奉ずる場面を書く。この祝詞は天照大~の定番のものに神功皇后の新羅出陣の時のものを加えた。祝詞は意味不明でいいのだが、何やら文語体で語らせておけばいいとはいえ、まったく中身がないと虚しい。何となく出陣の祝詞だとわかるようなものにしたい。けっこう時間がかかった。

02/03/金
本日はマッサージだけ。大学の紀要のために半分まで書いた原稿を急遽仕上げた。昨日の祝詞から先に進む。ここから先はプリントした原稿はほぼ使えないことがわかった。もっと断片的なプロットにしないとゴールにたどりつけない。スピード感が必要だ。

02/04/土
区長選挙の投票に行く。選挙日は明日だが、大学で入試の待機がある。当日だと住んでいる集合住宅の道を挟んだ向かい側で投票すればいいのだが、期日前となると、秋葉原まで行かないといけない。まあ、わずかな距離だが、週末なのですごい雑踏だ。皆何やら楽しげに街を歩いているのに、こちらは選挙だ。選挙をしても楽しいことは何もない。とくに今回はあまり意味のある選挙とも思えない。しかし投票は義務であるから、義務を果たす。団塊の世代は真面目なのだ。帰りに集合住宅に併設されているスーパーによってウイスキーを買う。これで当分大丈夫だ。明日は大学だが、明後日はいよいよスーパーボウルだ。昨日の夜中、NHKでパッカーズ対ファルコンズを再放送していた。ファルコンズが圧勝した試合だ。これを見るとファルコンズの強さがわかる。去年まではレシーバーがフリオ・ジョーンズしかいなかったのに、今年はサヌーがいる。ガブリエルもいる。それにランニングバックが、フリーマンとコールマン、どちらも小さなランナーだが、交代で出てくるのでパワーが衰えない。二人ともパスのキャッチもうまい。QBのライアンは、この試合では自分で走ってタッチダウンをあげた。何だ、走れるじゃないかと思った。この試合と同じようなベストのプレーをすると、ペイトリオッツと互角の展開になるのではと思われる。がんばってほしい。

02/05/日
大学。入試待機。この大学は何回入試をやるのかと毎年思うのだが、ちゃんと考えたこともない。明日も理科系の入試があるのだが、文学部長は休み。よかった。明日はスーパーボウルだ。さて、早朝に起床する入試待機の長い一日が終わって、いよいよ明日というこの時に、自分の気持を書いて置こう。ファルコンズのライアンは昔から知っていたが、凡庸なQBだと思っていた。実は今シーズンのレイダーズのカーも、凡庸なQBが急に変身したように感じられたのだが(カーは負傷してプレーオフには出られずレイダーズも失速してしまった)、ライアンの変身ぶりは想像を絶していた。いまはオフェンス・コーディネーターのシャナハンの功績だと喧伝されているのだが、もとからスーパースターだったワイルドレシーバーのフリオ・ジョーンズだけでなく、サヌーがいて、ガブリエルがいて、名前は忘れたがタイトエンドもちゃんといて、しかもRBのフリーマンとコールマンもパスキャッチができるという、万全のチームができていたのだ。これに対して、ディフェンスは弱いとされていたのだが、パッカーズに勝った試合は、ディフェンスが完全に機能していた。問題はこのディフェンスが、ペイトリオッツに通じるかということだ。何となく前半はペイトリオッツのペースになるのではないかと思う。後半、オフェンスの調子が出た時に、ディフェンスがどこまで踏ん張れるかということがポイントになるような気がする。ただ希望を言えば、前半からファルコンズが圧勝するような試合を見たい。ただファルコンズには伝統がない。何年か前の、カージナルスがスティーラーズに惜敗した試合を想い出す。最後にカージナルスが逆転したと思われた直後に、スティーラーズが再逆転した。あの時はスティーラーズを応援していたのに、途中からカージナルスのファンになってしまった。今回のファルコンズもそんな感じになるのではないかと懸念されるのだが、とにかく、ファルコンズ頑張れ、と叫んで、仮眠をとることにしよう。

02/06/月 スーパーボウルが終わった。史上初めてオーバータイムにもつ試合で、これは勝ち負けを超越したすごい試合だった。が、オーバータイムになると、コイントスで攻撃権をとったチームが有利だ。ファルコンズはコイントスで負けたといってもいい。一時は20点以上のリードがあり、それを追いつかれたのだから、負けパターンの試合だったから、まあ、仕方がない。モメンタムがコイントスにも働いたのだろう。とにかく楽しくゲームを見ることができた。ブレイディーは新人のころから見ていた。当時ペイトリオッツには、ブレッドソーという強肩のQBがいた。それが怪我をして急遽、新人のブレイディーが出たら、そこから連戦連勝になった。そういう勝ち運をもったプレイヤーだ。今回も勝ち運が炸裂した。今シーズンを振り返って、カウボーイズの新人コンビが大活躍した。そのカウボーイズに2回勝ったジャイアンツも頑張った。そのジャイアンツに勝ったパッカーズに勝ったファルコンズも強かった。ナショナル・カンファレンスはおもしろかった。アメリカンの方はペイトリオッツの独走だった。来シーズンはスティーラーズのロスリスバーガーも引退かといわれている。ファルコンズのオフェンスを造り上げたシャナハンが49ナーズの監督になるという噂もある。どういうことになるのか。来シーズンもすごい新人が現れるかもしれない。とにかく9月のシーズンスタートまでは、日本の野球を見るしかない。陽岱鋼にがんばってほしい。白村江と並行して「梶井基次郎の文章術」という本を書いてきた。プリントに赤字を入れた段階だったが、担当編集者からメールが来たので、急いで赤字を入力してメールで送った。もう一度プリントして読みたかったのだが、大幅の直しはないと思う。とりあえず全体のボリュームが伝わると思う。仕事をしたので夜中に反省のために再放送を見た。ペイトリオッツの大逆転は奇蹟としかいいようがない。ポイントは3つほどあった。まず16点差の時に、自陣でライアンがサックされてファンブルした場面。ここはサードダウンなのでランで攻めるべきだったが、ベリチックはパスを読んでいてサックを狙ったのだ。ここでパスを投げるのは、まだリードが大きいという油断があったのだろう。次に8点返されてのファルコンズの攻撃。敵陣20ヤードまで来たので、そこでフィールドゴールを入れれば11点差となり、試合は決まっていた。ここでも油断があってパスを投げようとしてサックされ、フィールドゴールレンジから後退してしまった。さらに、ペイトリオッツの攻撃で、ディフェンスの足の上に落ちたボールをそのままキャッチされてしまった。これは偶然としか言いようがないのだが、これがなければペイトリオッツの勝利はなかった。まさに奇蹟の勝利だ。しかし、勝ち運に恵まれた人はこんな感じだ。2年前のシーホークス戦でも、ペイトリオッツが奇蹟の勝利を挙げた。あの時も考えられないような奇蹟が起こった。とにかく、ペイトリオッツが勝ってしまった。「愛国者」が奇蹟の勝利というのは、トランプとトランプ支持者を勇気づける結果になったのではないか。そう思うと、これはまことに由々しき奇蹟だと思う。

02/07/火
いまは学生たちの文集を作っている。わたし一人ですべてを編集している。今年は卒業小説を4篇載せるので、3年、2年の作品はあまり載せられない。そう思っていたら、あまりいい作品が出てこなかった。すでに昨年の段階でいくつか選んであったので、ちょうどいいくらいの厚みになるだろう。で、初校のゲラが出たと印刷屋が連絡してきたので、大学に出向き、いくつか作業をする。それからゲラをもって、羽田プロジェクトの編集会議。今年は羽田闘争から50年だ。亡くなった山崎くんの追悼文集を出すというのがコンセプトだが、この50年の平和運動、反体制運動の総括みたいなものになるのか、追悼ということに比重を置くのか、といった話もしたが、まだ原稿を集めているだけなので、焦点が見えてこない。こちらは学生の文集で頭がいっぱいだ。一人で全部校正しないといけない。

02/08/水
今日は休み。だが学生の文集の校正を朝から夜中までやって、まだ全部読めなかった。とりあえず卒業小説4篇は読んだ。みんなうまい。描写が充実している。「孤独という言葉を用いずに孤独な人間を描くのが文学である」というのがわたしの基本的なコンセプトで、いま書いている白村江の天智天皇も孤独な人間だ。でも暗い話は誰も読まないので、忍者なども出して話を面白くしている。暗いエンターテインメント、といったものを目指している。そこにいくと学生たちは、ストレートに純文学を書く。ああ、いいな、真似ができないな、と思いながら校正している。田舎の村の事務員の悲哀とか、ポールダンスをやっている女の子の悲しみとか、これが文学だな、という作品に圧倒されている。

02/09/木
判定会議というものがあって、早朝に自宅を出る。会議そのものはすぐに終わる。担任をしている学生が来て、復学届に判子を押す。大学には病気の学生が何%かいて、その対応が必要だ。それから別の委員会に出る。その前に購買部から本が届く。研究費が出るのであてもなく本を買う。吾妻鏡の口語訳とか、何に使うのかなと思うが、承久の変とか、そういうのも書きたいかなと思っている。印刷屋が来て、残りの初校ゲラをもらう。最後に入稿したのは目次のページだが、仮にページの数字も入れておいた。結果としてはその数字を直す必要がなかった。ということは、わたしのページ計算がパーフェクトだったということだ。昔、4年間ほど、広告とか業界誌とかの仕事をしていた。広い意味でのエディターで、レイアウトの割付もやっていた。わたしは頭の回転が理科系なので、数字には強い。小説の構想というのも、実は理科系の頭が必要だと思っている。純文学の作家の多くはそういう頭がないので、何ともかったるい作品が多いのだが、そういうものを純文学だと思っている頭の悪い人々が文壇を構成しているようで、何となく住みにくいと思い、そろそろと逃げ出してきた。エンターテインメントの人は、みんな頭がいい。ちゃんと計算ができる。ただ反射神経だけで書いているような人も中にはいる。そっちの方が多いかもしれない。そういう作家はすぐに消える。持続的に作家業が出来る人は、計算能力のある人だ。さて、研究室で校正をすべて終えたので、これでしばらくは手が離れる。再校は確認するだけで終わる。これで大学の仕事はほぼ終わりかな。今日の夜中からは白村江に集中できる。まずはプリントに赤字を入れる作業だ。どこまでやったか忘れてしまった。このプリントは4章の半ばまでしか出来ていない。そこからエンディングまでは直接入力していくことになる。来週の水曜日にまた入試の待機がある。学部長数人が一室に集まって、ただ待機している。パソコンで作業をする先生もいるのだが、わたしはノートにメモをとるか、プリントを読むかにあてる。プリントがあった方が集中できるので、プリントを読む作業は残しておいてもいいが、梶井論のプリントがあるので、そっちをやってもいい。

02/10/金
今日と明日は休み。まず近所の医者に行って、定期検診。ついでに肺炎球菌のワクチンを打ってもらう。すげえ痛い。子どもの頃の日本脳炎の注射を思い出した。あとはひたすらパソコンに向かっていた。4章の半ば。ここから先はエピローグの文体になる。短い断章をひたすらつらねていく。読者にも、そろそろ終わりだ、という感じを伝えたい。まだしばらく入力してある文章があるのだが、もはや描写などは要らないので、どんどん削除していく。自分が書いた文章を削除するのは身を切られるようなものだが、この作業をやらないと、きりっとひきしまったエンディングにならない。

02/11/土
ひたすらパソコンに向かう。昨日の夜は少し行き詰まった感じがしていたのだが、寝る前にアイデアが閃いた。それで本日は朝から元気よく作業に入れた。夕方、妻と湯島天神まで散歩。ほどよく咲いていたが、人間が多いのでうんざりする。

02/12/日
日曜日だが大学へ向かう。講堂で能の公演がある。毎年、狂言の公演は続けているのだが、わたしがこの大学に関係してからは初めてだ。この講堂は最初から能舞台ができるように設定されていて、実際にすばらしい舞台が組み上がっていた。文学部の主催なので最初に学部長の挨拶をする。土岐善麿の新作能の上演なので、土岐善麿の話をする。この人は武蔵野大学が4年制の大学としてスタートした時に日本文学科の学科長をつとめた。当時80歳だった。それから94歳で亡くなる直前まで教壇に立たれたというすごい人だ。啄木と双璧の若手歌人として注目され、啄木の葬式を出し、遺稿集の『悲しき玩具』を編纂したことでも知られている。全国の大学、高校、中学の校歌を267曲も作詞した。読売新聞にいた時に、東京遷都50周年記念の京都三条から上野間の徹夜の駅伝を企画し、その三年後に箱根駅伝が始まったので、駅伝の父といわれる。新作能を20篇ほど作っているというところもすごい。挨拶は10分といわれていたので、その一部しか語れなかった。『鶴』という新作能が上演された。なかなかのものであった。同窓会の人々との挨拶があって、やや疲れた。本日は自分の仕事はお休み。

02/13/月
本日と明日は休み。ひたすらパソコンに向かう。リミットの200ページ(1ページは400字で3枚)まであと10ページ。リミットを越えたくない。ここからはさらにコンパクトに書いていく。もうアラスジだけになってもいい。ここまでで人物のキャラクターは充分に描ききっている。エンディングに向けての疾走感を出したい。

02/14/火
ひたすらパソコン。鎌子が長男の定恵を殺す場面。殺すシーンは描かないことにした。殺戮のシーンは大化改新の蘇我入鹿暗殺の場面でしっかり書いているので、鎖鎌を回しながら迫っていくところでカットする。テンポを出すためで、最後の天智天皇暗殺の場面も同じような感じにしたい。夜、「カルテット」というテレビドラマを見ていたら、主役のカルテットが野外で演奏する場面があった。どこかで見たことがある場所だと思ったら、わたしが住んでいる集合住宅の前だった。そんなロケをやっていたとは知らなかった。昔、「あまちゃん」というドラマで、近くの昌平橋の上で野外演奏をやる場面があった。このあたりは人通りが少ないので、ロケに向いているのかもしれない。

02/15/水
大学。入試の待機。本日は梶井基次郎論のプリントをもってきた。半分ほどしか読めなかったが、ここまではうまくいっている。当時の文学状況を解説した部分は本題からは逸れるので心配したが、ダレない程度にまとまっている。これがないと時代状況がわからないので必要な解説だ。各論に入ってからはいい感じになっている。これは梶井基次郎の作品が優れているからで、こちらはいいところはいいと言っているだけにすぎない。明日からまた休みが続く。パソコンに向かえる時間は白村江、夜中にテレビを見る時はプリント、ということで週末に向けて並行して作業を進めたい。プリントのチェックが終わったら、一気に入力して編集部に送りたい。それでゲラが出るまでの間は手が離せる。白村江はまだ時間がかかる。これも週末くらいにゴールに入りたい気がするが、もう少し時間がかかるかもしれない。月曜日は大学があるが、そこで文集の再校を見てしまえれば手が離せる。来週末までに入力を完了して、月末にプリントして、3月になってからもう一度、じっくりと読みたい。

02/16/木
一日中パソコンに向かっていた。白村江のゴール直前。蒲生野の相聞歌の場面。夜中は梶井論のプリントを読む。終わりまで読めた。この赤字を入力すれば完成となる。

02/17/金
梶井論はプリントの赤字を入力するだけで完了だが、締切は今月末と担当者と約束しているので、本日は白村江のエンディングに向けての入力を続けている。まだいくつか必要なエピソードを書き留めておかなければならない。ここまで、エンディングに到る伏線をかなり張ってきたつもりだが、まだ不足と思われるので、かなり前に遡って書き込みを入れる。すでにプリントのあるところを書き換えるとチェックが難しいが、もう一度、最後に全体をプリントするので、そこでチェックできるだろう。多くは4章に入ってからなので、4章だけのプリントでもチェックできる。夕方、文藝家協会へ。オーファン委員会。すでに実証事業の締切は終わっていて、成果がほぼ出尽くした。3ヵ月だけの実験なので、それほど大きな動きはないのだが、シンポジウムで発表できるだけの成果は得られた。もう少し実証実験を続けた方がいいという意見が出た。その意見もシンポジウムで議論されるだろうが、準備はしておかなければならない。いずれにしろ、この委員会は、最初はただの勉強会だったのが、文化庁のご支援を得て、具体的に実証事業ができるまでになった。まだかなり課題はあるのだが、大きな成果が得られた。夜中は白村江のプリントを読む。まだ2章の半ばだ。このあたりは何度もプリントして読み返したはずなのだが、まだ赤字が入っていく。とにかく可能な限り読み返して、よりよき状態にしたい。

02/18/土
週末は休み。週末が休みというのは、なかなかないことで、久し振りで嬉しい。この2日で、白村江がゴールインできるのではないかと思う。夕方、妻と散歩。自宅からいつも見下ろしている街並に、一本の道路が見えているのだが、神保町や竹橋に向かうにも、神田、日本橋に向かう場合にも、通ることのない道だ。一度、あそこを歩いてみようと言っているうちに、すぐ行くことになった。花粉が舞い始めているので重装備で散歩。自宅から見えている道を実際に歩けて、こういうところかとわかった。上から見るだけではわからない発見がいくつかあった。その道はつきあたりで途切れているので、少し右にずれて、経団連ビルの前に出る。あとは大手町のいろんなビルを散策し、東京駅の構内で駅弁を買って中央線で御茶ノ水まで戻ってきた。いい散歩になった。一日中パソコンに向かっていると、腰も痛くなるし、何よりも膝がガクガクになる。一日に一度は外出して歩かないといけない。

02/19/日
お昼頃に『白村江』の打ち込みがエンディングに到達した。短い断章をつらねていくだけなので、予定のプロットが終わると、作品も終わる。最後の山場とか盛り上がりとか、そういうものはない。それでいいのか。プリントして読み返して、流れの中でどのような印象が残るかを確認したい。とにかくこれで草稿完了ということになる。プリントのチェックの作業も3章半ばに入っている。本日の午後は、すでに完了していた梶井論のプリントの赤字を入力することに費やした。入力完了。こちらはただちに送信した。日曜日だから、担当編集者に届くのは明日ということになる。これで一つの仕事の手が離れた。あとは白村江に集中できる。

02/20/月
久し振りに大学。10時20分からの判定会議。たぶん判定会議というのは10回以上あるのではないかと思う。20分くらいで終わる会議ともいえないものだが、入試課と学部とが確認する作業は必要だ。研究室に戻って午後の教授会までに2時間ある。時間との戦いで、まず学生の創作集の再校。初校で読み込んでチェックしてあるので、その赤字どおりに活字が修正されているかを確認する。2箇所、指示どおりでないところがあった。問題はない。責了ということで、研究室のドアの前の袋の中に入れておく。教授会のあとで確認するとなくなっていたので、印刷屋がとりにきたようだ。それから大学紀要の初校。これはじっくりと読まないといけない。ドストエフスキー論の3回目。来年4回目をやって終わりになる。小説によるドストエフスキー論の裏話みたいなものだが、そういう方法論みたいなものが紀要に残っていると、何かの役に立つかもしれない。紀要なんて誰も読まないだろうが、大学の図書館と国会図書館には残るだろうし、大学でもアーカイブを進めているので、そのうち誰でも読めるようになるはずだ。教授会。研究科委員会。学科会のあと、研修会。それから場所を吉祥寺に移して飲み会。8人の飲み会は、ちょうどいい人数だ。それ以上人数が増えると話が散漫になる。

02/21/火
本日は休み。妻と日本橋まで散歩。メールのやりとりなどで時間をとられる。あとはプリントを読み進む。3章の頭は少しパワーが落ちているかと感じたのだが、鬼が出てきて盛り返した。この作品は鬼が出てくる。いい感じで出てきて効果的だ。

02/22/水
夕方、日本点字図書館理事会。いつも妻と散歩するので、妻のスマホに入っている万歩計でどれくらい歩いたか確認していたのだが、自分のスマホの万歩計も起動させることにした。スマホにはデフォルトでさまざまなソフトが入っていて、たいていのものは無料で使えるのだが、めんどうなので設定していなかった。高田馬場の点字図書館はJRで行くと歩く距離が少なすぎるので、九段下まで往復歩くことにした。7000歩ほど歩けた。白村江のプリントチェックは3章が終わった。途中、少しだれているところは削った。後半、額田女王が大海人から中大兄、それから鎌子へと譲り渡されるところは盛り上がっている。有間皇子の謀叛のエピソードも大海人と鎌子の微妙な絡みが描かれていて、スリルがある。何を書いたかほとんど忘れているので読み返すと新鮮な驚きがある。ただ中盤を忘れていて、エンディングとの整合性がうまくいっていないところがあるので修正したい。

02/23/木
水道橋まで散歩。あとはひたすらプリントを読む。とにかく読むしかない。

02/24/金
7時10分に起きて、9時20分からの会議。終わってすぐに帰る。自宅で昼食。あとはひたすらプリントを読む。4章の後半、いよいよエンディングの断章に入ってきた。白村江はものすごくコンパクトに収まっている。気になっていたゴタゴタした感じはきれいになくなった。余豊璋のラストシーンもうまくまとまった。かなり赤字は入ったが、よくなった。パソコンの画面では見えないものが、プリントしてみると見えてくる。やはり紙にタテガキの文字が入っているからだろう。明日にはチェックが終わるか。もう一度、最初から読み返して、ルビの付け方をチェックしたい。通常のフリガナは、章のあたまに入れたらあとは入れないのだが、迹見赤檮と調子麿とか、読めない登場人物がいるので、頻繁にルビをつけたい。だが、あまりにつけすぎるとうるさくなる。ちなみにここに挙げた人命はトミノイチイとツキノオミマロ。間人/ハシヒトというのも難しい。

02/25/土
週末は休み。あたりまえのことだがありがたい。妻と青山のホンダビルに行く。車を買い換えたいと思っている。ダウンサイジングしたいので、フリーダを見る。サードシードをはねあげるのに力が要る。前にお台場のトヨタのショールームでシエンタを見た。こちらはサードシートを床下に収納する。パズルのような収納方法だが力は要らなかったし、すっきりと収納された荷室がフラットになる。ただデザインが若者向けで、老人が乗ると窮屈な感じがする。フリーダの方が窓が大きくデザインも落ち着いている。運転するのは妻なので、こちらに選択の決定権があるわけではない。いまの車はもうすぐ車検で、まだしばらくはこのままでもいいのだが、妻が大きい車の運転を負担に感じている。青山一丁目から赤坂まで歩いて、今日も5000歩は超えた。白村江はエンディングに向けての断章の一つ一つについて、これでいいのかと考えている。アラスジだけになってイメージが不足していないか。あせることはない。

02/26/日
日曜日は仕事がなければ10時に起きる。もっとゆっくり寝ようと思ってもニコライ堂の鐘で起こされる。本日は東京マラソン。今年からコースが変わって自宅から見える淡路町をランナーが通ることになった。10時ではトップランナーは通りすぎているのだが、その後もぞろぞろとほとんど歩いているような人々が通り過ぎていくのが見えた。午後に床屋に行ったら混んでいた。昼過ぎまで道路を横断できなかったので、客が午後に殺到したのではないか。プリントチェック完了。赤字を入力して、もう一度プリントして読みたいと思っている。しかしほぼ完成したといっていい。

02/27/月
大学。学科会。けっこう時間がかかった。チリの天文台にいる甥(妻の妹の子息)が来たのでヒモノ屋で食事。プリントチェックが終わって気が緩んだのか、腰が痛くなった。夜中に花粉症。寝られなかった。

02/28/火
本日は有明キャンパスで会議。必要な話し合いは10分で終わった。万歩計のメーターを上げたいので、ユリカモメで豊洲に出てから、いつも乗る有楽町線ではなく、月島まで行って大江戸線に乗ることにした。一駅歩くだけだと思ったが、豊洲から月島に行くには運河を2つ超えなければならず、地下鉄が一直線で行くところを、道路は遠回りしている。8000歩以上歩くことになった。腰が痛いのだが、赤字の入力を始める。長く続けられない。無理をすることはない。


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