三田誠広の新刊案内2007

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2011 2010 2009 2008 2007 2002〜2006 1998〜2001


新刊案内2011

「平安朝の悪女たち」(PHP研究所)発売中

「哲学で解くニッポンの難問」(講談社)発売中

「道鏡ー悪業は仏道の精華なり」(河出書房新社)発売中

「実存と構造」(集英社新書)発売中!

「男が泣ける昭和の歌とメロディー」(平凡社)入稿済

「新釈悪霊 悪霊たちの青春」(作品社)執筆中


「平安朝の悪女たち」(PHP研究所)

ここでは意図的にあるいは意図せざるやむなき事情で政治に関わってしまい、歴史を動かしてしまった女性を「悪女」ととらえ、奈良朝の光明皇后から鎌倉初期の北条政子までの女性たちの列伝を描くことで、それぞれのヒロインの数奇な運命を楽しんでもらうとともに、歴史というもののもっている構造的なものを読み取っていただきたいというのがコンセプト。そのとおりの作品になっているので、読者は目からウロコという気分になることであろう。


「哲学で解くニッポンの難問」(講談社)

創作ノートでは「老後の難問」というタイトルで考えていた。中身もそのまま。高齢者にとって切実な難問について、わたしが一刀両断にやや独善的に言いたい放題のことを言うというもの。かなり乱暴なところもあるが、論理が飛躍するところや、急に真面目になるところを楽しんでもらいたい。


「道鏡ー悪業は仏道の精華なり」(河出書房新社)

日本史上最も評判の悪い人物である道鏡を、「義の人」として描いた作品。これまでの歴史観をひっくり返すような人物像だが、こちらの方が史実に近いのではないかという確信がある。根拠はない。しかし既存の道鏡のイメージも後代の藤原一族によって捏造された風評というしかなく、道鏡の実像は永遠の闇の中に隠されている。一介の僧侶が最高権力者に昇っていく過程を小説として楽しんでいただければと思う。


「実存と構造」(集英社新書)

一種の文学論であるが、「実存」と「構造」という20世紀に一世を風靡した思考モデルによって文学を読み解き、そのことで読者にとって人生論として読めるようなものを考えている。思考モデルで何かが解き明かされることの面白さを読者に伝えたい。実存主義文学と構造的な枠組をもった作品を紹介したあとで、大江健三郎と中上健次を論じる。


「男が泣ける昭和の歌とメロディー」(平凡社)

書き下ろし随筆。さまざまな唄について言及しながら人生を語る随想集。言及する唄はまったくわたしの個人的な趣味によって選んだ。ひとりよがりといってもいいような本だが、味わい深い随想になったと自負している。楽譜付。


「新釈悪霊」(作品社)

小説によるドストエフスキー論の第3弾。原典は奥深い思想をはらんだドストエフスキーの思想的なピークをなす作品だが、作品としては思わせぶりなところがあるだけで、その背後の物語については充分に描かれていない。それだけに謎めいていて魅力的な作品になっているのだが、その謎を解くのが今回の試みである。隠されたままになっている過去を説き明かし「前史」を書くことによって、ドストエフスキーの構想の全容を読者の眼前に展開する。4作からなるシリーズのうちでも最高峰となる作品となるはずである。


新刊案内2010

「仏教って何?」(講談社+α新書)発売中

「阿修羅の西行」(河出書房新社)発売中

「青い目の王子」(講談社)発売中

「なりひらの恋」(PHP研究所)発売中

「新釈白痴 書かれざる物語」(作品社)発売中


「仏教って何」(講談社+α新書)

これ一冊で仏教のすべてがわかる、というような本をこのサイズで書くのは至難の業だが、文学作品としての「大乗仏典」というポイントに焦点をあてることで、仏教の全体像を読者に伝える。読みやすくわかりやすいということをこころがけた入門書。付録として般若心経のコンパクトな解説もつけた。


「阿修羅の西行」(河出書房新社)

一昨年に出した「西行月に恋する」の続篇だが、前篇が恋愛をテーマとした青春小説であるのに対し、こちらは西行の後半生を描いた作品。源平盛衰記の世界を西行が目撃するさまをスペクタクル的に描くことで、小説としての面白さを保持しつつ、西行の無常観の本質に迫る。前篇とはまったく異なる趣向の作品なので、独立した小説として読んでいただきたい。


「青い目の王子」(講談社)

翻訳の「星の王子さま」、オリジナルの「海の王子」に続く児童文学の第3弾だが、今回は青い鳥文庫ではなく単行本として刊行する。それだけ編集部の評価が高いのではないかと作者としては自信をもっている。仏教説話のムードをかもしだしているけれども、作者のオリジナル作品で、神秘的な王子を主人公とした、冒険あり、恋愛あり、驚くべき悲劇ありという波瀾万丈の物語。最後まで読むと「何か深いもの」が読者に伝わるはず。これはわたしが小学生の頃、宮澤賢治の作品から受け取ったもので、これを次の世代の読者に伝えることがわたしの作家としての義務だと考えている。その意味では、作家三田誠広にとってエポックとなるような作品である。


「なりひらの恋」(PHP研究所)

在原業平の生涯を描いた恋愛小説。二条后藤原高子、および伊勢斎宮恬子との恋愛が中心の物語ではあるが、歴史的背景としてどろどろとした政治的抗争をおりこんでいる。ただの恋愛小説ではなく、ただの歴史小説でもない。太宰治生誕百周年でもあるので、まるで太宰治のような在原業平というコンセプトで書いた軽いユーモア小説でもある。中におりこんだ和歌もすべて軽くアレンジしてある。そこだけでも楽しめる作品になっている。


「新釈白痴 書かれざる物語」(作品社)

小説によるドストエフスキー論の第2弾。前回はべつの主人公を設定して、原典をべつの角度から見るという試みだったが、今回はドストエフスキーの創作ノートの冒頭に書いてある実現しなかったプランを復元する。主人公の白痴は原典ではキリストのようなピュアなキャラクターになっているが、本篇では「罪と罰」のスヴィドリガイロフから「悪霊」のスタヴローギンにつながる悪魔的なエゴイストとして白痴のキャラクターを設定する。もう一人、キリスト的なピュアさをもった白痴に似た人物を脇役として設定し、さらに主人公には原典にも登場する屈折した少年イッポリートを配する。原典とはまったく異なるオリジナルのストーリーが展開するのだが、ドストエフスキーがこの作品でとりあげたキリスト教の問題、死の問題、愛の問題を、へつの角度から掘り下げることによって、ドストエフスキー論であり、ドストエフスキー批判になるような作品を目指している。


新刊案内2009

「海の王子」(講談社青い鳥文庫)発売中

「原子への不思議な旅」(サイエンス・アイ新書)発売中

「堺屋太一の青春と70年万博」(出版文化社)発売中

「マルクスの逆襲」(集英社新書)発売中

「新釈 罪と罰 スヴィドリガイロフの死」(作品社)発売中


「海の王子」(講談社青い鳥文庫)

オリジナル児童文学。神が人であり、人が神であった時代の物語……という書き出しで始まる神話をもとにした物語。『古事記』や『日本書紀』に書かれている山幸彦の話だが、そこにさまざまな神話を折り込んで神々の曼荼羅を作っていく試み。その根底には戦によらず和によって国を治めるという思想がある。これは日本という国の思想であり、わたしの理念でもあるが、この理念を長大な物語群で展開したいと考えている。今回はその第1弾で、きれいにまとまった少年読み物になっていると思う。すでに第2弾も考えているし、長期的な戦略もある。


「原子への不思議な旅」(サイエンス・アイ新書)

多忙の中で時間をとって書いた物理学/化学の歴史の物語。ドルトンの原子論を中心として、ターレスやデモクリトスの古代ギリシャの自然哲学から、最新のクォークまで、ものすごい勢いで歴史を語る。前ページが4色刷りというサイエンス・アイ新書なので、図解や挿絵がカラーになっている。中学生くらいに、科学の面白さを伝えたいと思って書いたものだが、中学で習ったことを忘れた大人にも読んでほしい。同時に三田誠広という作家はこういうことが好きなのだということも知ってもらいたい。三田誠広ファン必読の書。


「堺屋太一の青春と70年万博」(出版文化社)

執筆に長い年月のかかった作品。堺屋太一さんはわたしの小学校の先輩で、実家は番地が十番くらいしか違わない。その縁で堺屋太一伝を書くことになったのだが、空海や西行を書くのとは違って、ご本人がまだ生存されているので、結末を書くわけにはいかず、青春時代に的を絞ることになったのだが、大阪万博、エネルギー問題、それに団塊の世代と、つねに時代の中心テーマと関わり続けた人物の青春とはいかなるものであったか、誰も知らない女性との思いがけない出会いのエピソードなど、不思議なストーリーが展開する作品になった。


「マルクスの逆襲」(集英社新書)

マルクスとは何だったというのがテーマだ。マルクス主義の解説書ではない。「資本論」など一行も読んだことのない若者たちが、なぜマルクスに洗脳され、命がけで闘うことになったのかという、わが青春の回顧録でもあるが、世界恐慌が進んでいるいま、マルクスとは何だったのかということを改めて問う意義は大きい。書き終えた途端に世界恐慌が起こったので、やや長い「あとがき」をつけたのだが、まさにタイムリーな本になったと思われる。


「新釈 罪と罰 スヴィドリガイロフの死」(作品社)

「小説によるドストエフスキー論」の第1弾。わたしはドストエフスキーを読むことで、作家としての人生を始めた。いずれドストエフスキー論を書きたいと思っていたが、気がついたら還暦になっていた。そこで一念発起してドストエフスキー論を書くことにした。ただの評論では面白くない。わたしは小説家だから、小説で勝負したいと思った。小説を書くことで、ドストエフスキーを分析し、解説し、批評する。どうしてそんなことが可能なのかということは、実物を読んでもらうしかない。今回は「罪と罰」。なるべく原典のストーリーをいじらずに、視点だけをかえて、原典を裏返して見るという作業を試みた。同時に、長大なストーリーの面白いところだけを抜粋してつなげたので、本物の「罪と罰」よりも密度の高いスリリングが作品に仕上がったと思う。原典を読んでいない人、読もうとしたけれども長すぎて読めなかった人に、ぜひ読んでもらいたい作品である。


新刊案内2008

「プロを目指す文章術」(PHP研究所)発売中

「西行 月に恋する」(河出書房新社)発売中

「僕って何(新版文庫)」(河出文庫)発売中


「プロを目指す文章術」(PHP研究所)

『文蔵』に2年間にわたって連載したもの。これまでにも「天気の好い日は小説を書こう」(集英社文庫)、「心に効く小説の書き方」(光文社)など、小説の書き方の本は何冊か出してきたのだが、これは決定版であり、上級者篇である。ただし上級者篇に限定してしまうと読者が限られてしまうので、初心者でも楽しめるように配慮したし、雑誌の連載なので、一般の読者でも楽しんでいただけるように、文壇ネタなども入れてある。笑えるところがいっぱいある読み物としても上質のものとなっている。連載は読者が広くなるのでいい意味で緊張して書いているし、限られた枚数の中にコンパクトに収めなければならないので、文章がひきしまっている。そういう意味でも、上級者が読むと、学ぶところの多い本だと思う。また、このホームページの読者は、創作ノートを読んでいるはずなので、三田誠広がいかにして小説を書いているかが見てとれるはずだが、この本を併せて読んでいただけると、創作の秘密といったものがのぞけるのではないかと思う。


「西行 月に恋する」(河出書房新社)

西行の物語である。空海、日蓮と、僧侶のシリーズを書いてきたが、今回は版元が変わっているので、趣向をかえて、恋愛小説としても読めるようにした。恋愛の果てに無常を感じて、悟りに向かう。そういう僧侶がいてもいい。空海や日蓮のような偉大な教祖ではないが、ある地点にまで到達した、聖人といっていい。というような理屈は抜きにして、これは一種の戦国絵巻である。とにかく面白い小説になっている。同時に、ロマンとは何かということの、作者による一つの典型が示されている。ヒロインに出会うまでに、すでに恋してしまっている。言葉による噂というものだけでも、人は恋に落ちるのである。作品全体の半分の少し手前まで、ヒロインの噂だけでストーリーが進行する。それだけでも話が盛り上がるところがこの作品の眼目である。そして、ヒロインと出会ってからは、一気に破局に進んでいく。この作品には、長大なエピローグある。ヒロインが亡くなってから、エピローグとしての保元の乱があるのだが、ここで主人公西行が大活躍する。ヒロインの遺言によって、戦を阻止しなければならない。しかし戦が起こってしまうことは歴史に記されている。どうしても起こってしまう戦を、いかにして止めようとするのか。そしていかにして、戦は起こってしまうのか。そのあたりのスリリングな展開を楽しんでいただきたい。


「僕って何(新版)」(河出書房新社)

いわずとしれて三田誠広の芥川賞受賞作である。デビュー作は高校時代に書いた「Mの世界」だが、本になったのはこれが最初なので、実質的なデビュー作でもある。新版といっても中身が変わっているわけではないが、大崎善生さんの見事な解説文が付いているのでぜひ読んでいただきたい。


新刊案内2007

「謎の空海」(河出書房新社)発売中

「ダ・ヴィンチの謎、ニュートンの奇跡」(祥伝社新書)発売中

「はじめての宗教 キリストと釈迦」(講談社+α文庫)発売中

「般若心経の謎を解く」(PHP文庫)発売中

「自分ってなんだろう/子どもだって哲学A/共著」(佼成出版社)発売中

「団塊−再生世代の底力/共著」(心交社)発売中

「日蓮」(作品社)発売中

「夫婦って何? おふたい様の老後」(講談社+α新書)発売中


「謎の空海」(河出書房新社)

一昨年暮れに発売し、去年8版まで出た「空海」(作品社)の解説書のようなものだが、むしろ小説というものになじみのない読者に、こちらの方を先に読んでもらって、空海とはどんな人物なのかを理解していただき、その上で小説の読者になっていただきたい、というようなコンセプトで書いた本。わたしの小説はあまり売れない。解説書や入門書のようなものを書くと売れる。小説が下手なのだろうと思っているが、解説を読みたいという読者が多いことも事実だろう。わたしは小説家なので小説を読んでほしいのだが。この解説書は明解である。空海という驚異的な人物の謎を一つ一つ解明してあるので、これから四国の巡礼に出ようという人にもぜひ読んでいただきたい。


「ダ・ヴィンチの謎、ニュートンの奇跡」(祥伝社新書)

ダ・ヴィンチからニュートンへの科学の歴史をたどりながら、宗教と科学と密接な関係と対立とをドラマチックに描く。宗教と科学は対立するものと考えられることが多いが、わたしの見るところでは科学は宗教の一部であり宗教そのものであるといってもいい。とくにグノーシス(認識)派と呼ばれる神秘主義者たちにとっては、科学の探求が神の領域に迫る宗教的な境地の探索のための修行でもあった。ダ・ヴィンチもニュートンも秘密結社の総長であったといわれている。映画「ダ・ヴィンチ・コード」に出てきた神秘主義と科学の関係を、より深く、独自の視点で掘り下げた本で、読者の人生観を変えるような新たな世界観を提出できる作品になっている(と思う)。


「はじめての宗教 キリストと釈迦」(講談社+α文庫)

昔、講談社から出した「英雄伝説イエスと釈迦」の文庫化。三田誠広の宗教に関する著作の中で最も初期のものといっていい。それだけにみずみずしい感性で宗教というものについて考察している文体が輝いている。単なる解説といったスタンスではなく、文学的な情熱をからめて宗教の本質に迫っているところが、若書きではあるが新鮮である。


「般若心経の謎を解く」(PHP文庫)

ネスコから出した三部作の文庫化第三弾。これを読むと仏教とは何かがきれいにわかると評判の書。とくに「空」とか「般若」という概念がすっきりわかるようになっている。


「自分ってなんだろう/子どもだって哲学A/共著」(佼成出版社)

五人の共著で、子供向きの哲学シリーズの一冊。わたしの担当は文学なので、中学生が読書によって自我にめざめるといったコンセプトで短い原稿を書いた。


「団塊−再生世代の底力/共著」(心交社)

共著が続く。旧い友人の作家、岳真也との対談をまとめたもの。団塊の世代の生い立ちから青春時代について語った雑談であるが、構成の若月祐二さんと担当編集者の労苦によって、さまざまな情報のつまった面白い本に仕上がっている。


「日蓮」(作品社)

久々の長篇。「空海」に続く歴史思想小説。日蓮はつねに反体制を貫いた人物である。その点では全共闘運動にも似ているが、「法華経」に対する絶対の信頼を核に一歩も引かずに歴史の中を生き抜いた人だ。そのため弟子たちから熱狂的な信頼を受けた。とくに外敵の侵略を予言し、実際に蒙古襲来の危機が迫ったことから、執権北条氏が注目するところとなり、権力の中枢にも近づいていく。そのあたりは激動の権力ドラマと交錯することになる。歴史のうねりと永遠の思想とがクロスオーバーする瞬間のダイナミズムを描いたつもりだ。


「夫婦って何? おふたり様の老後」(講談社+α新書)

数年前に講談社から出した「夫婦の掟/妻に嫌われない方法」の熟年版だが、「団塊老人」で書いたことも混ぜて、まったく新たに書き下ろしたもの。団塊の世代のサラリーマンがすべて定年になって在宅となると、そのままでは多くの主婦が亭主在宅症候群になってダウンする。夫も自宅でごろごろしているとメタボリック症候群になる。団塊の世代という巨大なかたまりの高齢者がドッと入院すると、病院がパンクするし、医療制度も介護制度も崩壊し、この国が滅びる。それを防ぐには、高齢の夫婦が仲良く元気に暮らせるような、良好な夫婦関係を築くしかない。夫婦が仲良く暮らすというのはささやかなことのようだが、実はこの国の根幹を支えることになる。その意味で、これは世の中に警鐘を発する書であるとともに、夫婦円満の具体的なノウハウが書かれたバイブルのような書である。


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