三田誠広の新刊案内1998〜2001

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2001 2000 1999 1998



新刊案内2001

「三田誠広の法華経入門」(佼成出版)発売中

「ウェスカの結婚式」(河出書房新社)発売中

「天神/菅原道真」(学研M文庫)発売中


「三田誠広の法華経入門」

「妙法蓮華経」の入門書であるが、ただの入門書ではない。一般的な仏典の入門書は、偉い僧侶か仏教学者が書いたもので、仏典は価値の高い奥深いものであるという前提で語り始める。そうでないと僧侶も仏教学者も存在の意義がなくなってしまうからだ。わたしは小説家であるから、仏典をとくに価値の高いものだとは考えていない。「新約聖書」もすごいし西洋哲学や文学もすごいと思っている。しかしそのような、グローバルな作品群の中においても、「法華経」が提出する世界観は圧倒的なものだと考えている。一言でいえば、人間としてこの世に生まれて、「法華経」に触れずに死んでいく人は、虫ケラとして生まれて虫ケラとして死んでいくのに等しい。それでも幸福だというのも一つの世界観ではある。仏教の中にもそういう世界観がある。しかし、知的な生命としてこの世に生まれたのも宿命なのだから、その知性を駆使して、世界をとらえようとするので、生命としての誠実な生き方ではないだろうか。
この作品は、知性と好奇心をもった誠実な読者に対して、「法華経」の壮大なスペクタクルを、この本一冊読むだけで楽しんでいただけるように、原典のダルい部分は圧縮し、面白いところだけをとりだし、難解なところは適宜に解説して、とにかくこの本を読むだけで「法華経」が全部わかるという画期的な本である。わたしもこんな本があれば読みたかった。こんな本がなかったのでずいぶん時間を無駄にして「法華経」をこつこつと読んで、ようやくこの本を書くことができた。従って、この本に出会える読者は幸運である。仏教にもとから興味のある読者はもちろんこの本を読めば、仏教の奥深さがわかることは間違いないが、むしろ西洋哲学に興味のある人や、宗教や哲学にはまったく興味がないという人にも、この本を読んでもらいたい。この世界に、「法華経」というすごいものがあるということを知っているだけでも、その人の人生は、その以前よりはるかに豊かになる。また「法華経」の中には、「法華経という経典は難信難解である」と書いてある。作者が自分でいうくらいだから、この経典は難解であって、ただ原典を読むだけではわからない。この本は、この本を通読するだけで、「法華経」の奥深い世界観や哲学までが、きれいにわかってしまうように書かれている。何ともすごい本である。


「ウェスカの結婚式」

長男の結婚式の模様を私小説ふうに書いたものだが、文学ということは意識せずに、軽い読み物であることを目指した。旅行記であり、旅行のガイドブックふうなディテイルもある。「パパは塾長さん」や「吾輩はハスキーである」などの、わたしのユーモアエッセーに続くものだし、同じ登場人物が出てくる。名作(?)「いちご同盟」のモデルでもある長男の結婚式の様子を見てほしい。詳しくは創作ノート参照。


「天神/菅原道真」

文庫書き下ろしなのでエンターテインメントを目指し、オカルト的な要素も入れたが、史実をふまえた歴史小説にもなっている。天神さまとして親しまれている天満宮に祀られている菅原道真の一生を、藤原摂関家と闘った一文官の悲劇のドラマとしてとらえているが、巨大な官僚機構に挑戦して負けた人、というだけでは面白くないので、一発逆転のカタルシスが得られるようになっている。菅原道真は詩人でもあり歌人でもあるので、文学的な香りも取り込んだ。そのため在原業平や素性法師などの歌人を脇役として登場させた。読み物として面白く読め、人生と文学についても深く考えるという、深くしておいして小説である。


新刊案内2000

「碧玉の女帝/推古天皇」(廣済堂出版)発売中

「書物の王国15/奇跡」共著(国書刊行会)発売中

「天気の好い日は小説を書こう」(集英社文庫)発売中

「深くておいしい小説の書き方」(集英社文庫)発売中

「書く前に読もう超明解文学史」(集英社文庫)発売中

「中年って何?」(光文社)発売中

「星の王子さまの恋愛論」(日経新聞社)発売中

「清盛」(集英社)発売中


「碧玉の女帝/推古天皇」

女帝三部作の第三弾。推古天皇と聖徳太子の物語。
この作品の主人公は明らかに聖徳太子厩戸皇子だが、推古天皇炊屋媛の視点を中心に据えることでこの時代を立体的に描くことを試みた。
仏教伝来による蕃神としての仏と、日本古来の神道の対立に、物部、蘇我などの豪族が絡み、哲学と政治が絡まった複雑な世界を基盤としている。
ただし小説はあくまでもテンポよくこの時代を語らなければならない。必要上ファンタジーふうの展開になっているけれども、ここぞというところでは哲学的な深さを折り込んでいる。
聖徳太子は日本の歴史上の人物の中で最大のスーパースターだ。以前から書きたいと思っていたキャラクターで、この作品は三田誠広の全作品の中でも最上のものであると確信する。
物語の前半では、少女の炊屋媛と、のちに厩戸皇子の母となる泥部媛の対立を描いている。
ここに出てくる泥部媛は、意地悪な少女という、作者好みのキャラクターで、魅力的に描いたつもりだ。
少女向けの軽いロマンとして読んでもらえればありがたいのだが、最終章で聖徳太子が推古天皇に法華経を講じるところなどは、かなり理屈っぽくなっている。
小説を軽く読みたい読者にも、理屈っぽく掘り下げたい読者にも、楽しく読んでもらえるように心がけた。
なおこの作品の創作ノートが掲示されているので読んでいただきたい。


「書物の王国15/奇跡」

奇跡をテーマにしたアンソロジーです。
収録されている作品は『鹿の王』の中に入っている短篇「鹿の園」です。
『鹿の王』は釈迦の前生譚をボルヘス的に羅列した短篇集ですが、後ろから二番目に釈迦の悟りの瞬間を置き、さらに最後の作品は、「語る」ことについて語った自己言及的な短篇で、仕掛けとしては構造的な作品を超えたまったく新しい作品を創作したつもりです。
そのうちの、釈迦の悟りの部分だけが、このアンソロジーに収録されているわけですが、ここではさまざまな奇跡がボルヘス的に羅列されています。
同じ短篇が、羅列されるパッケージが異なるとまったく別の作品に見えるという点で、なかなかに面白い試みだと思います。一読してください。
それにしても、トルストイ、タゴール、ワイルド、玄奘三蔵、芥川龍之介、室生犀星、宮沢賢治、といった名前の中に三田誠広が並んでいると、ドキッとします。まるで文豪になったような気分ですし、少なくとも物故作家になったような感じです。編者に感謝します。


「天気の好い日は小説を書こう」

早稲田大学文学部の「小説創作」演習の講義録です。単行本は朝日ソノラマから出ました。
今回の文庫化にあたって、中身はそのままですが、語り下ろしのインタビューが付いています。
文学に関して基礎的な教養のない若者を相手に、楽しい授業をする、というコンセプトで展開された講義を、そのままテープ録音した本なので、臨場感があります。
難しい話は何もありません。この本を読むだけで、小説がスラスラ書けるようになります。ただし、多少の才能は必要ですが。
ただしこの一冊だけでは、初心者が素人っぽい作品を一つ二つ書くだけで終わってしまいます。一つでも自分の作品を書くということは貴重な体験ですし、世に二つとない作品が出来るわけですから、意義のあることなのですが、より上級の作家を目指す人は、次の「深くておいしい小説の書き方」に進んでください。
この本は長期ベストセラーになっていたものですが、朝日ソノラマ編集部のご好意により、集英社文庫に収録することができました。感謝します。


「深くておいしい小説の書き方」

講義録シリーズの第二弾です。前回の基礎篇に続いて、この本は上級者篇です。というよりも、この本ではかなり難しい文学理論や哲学が展開されています。
大学の講義ですから、少しは難しいことも言わないと、という見栄みたいなもので、どうでもいいことをしゃべっています。
しかしこの本の中では、三田誠広の文学の方法論の基礎となる「実存と構造」について、詳しく語られています。
その他、知っていて損のない文学理論が語られていますので、上級者を目指す人にとっては必読の書です。


「書く前に読もう超明解文学史」

一年の講義を3冊にまとめたので、3冊はセットになっているのですが、講義の内容の中から文学史的に語った方がわかりやすい部分だけをまとめました。
従って、これ一冊だけ読んでいただいてもけっこうです。
文学史を知らずに小説を書こうとするのは、地図もなくベニスの街を歩くようなものです。
渋谷ならどんどん歩いていけばそのうち原宿か青山か恵比寿か三宿(わたしの地元)に到達しますが、ベニスでは水路にはまってしまいます。
小説は誰にでも書けるし、難しい理論は必要ない、というのが、「天気の好い日は小説を書こう」の基本的なコンセプトですが、文学史を知っていれば、より効率よく作品を書くことができます。
ものすごくわかりやすく、ギャグをまじえて楽しく語っていますので、笑いながら知識も身につくという、ありがたい本です。


「中年って何?」

いまや中年から初老になろうとしている団塊の世代の未来について考察する本です。
団塊の世代はその人数の多さと、既存の価値観にとらわれない革新性から、つねに「内需」の主役として日本経済を支えてきました。
しかしそり団塊の世代が、最近は元気をなくしています。リストラの恐怖と老後の不安。団塊の世代に未来はあるのか。
このまま放置しておくと、団塊の世代が老人になる頃には、退職金制度、老人医療、老齢年金、介護保険などの老人サービスは、すべて破綻することでしょう。
では団塊老人は集団で姥捨て山におもむくことになるのか。団塊の世代に希望はあるのか。
希望はあります。主として団塊の世代の読者を想定して、いったん危機感をあおっておいてから、希望を与える。そんな本になっていると思います。
父や母の世代の青春時代と老後について興味と不安を感じている心やさしい学生諸君にとっても、面白い内容となっています。


「星の王子さまの恋愛論」

サン=テグジュペリ論です。というよりも、「星の王子さま」のファンクラブの投稿原稿みたいなものです。
それでもいちおう論理的に展開しています。「星の王子さま」には謎めいた表現がたくさんあります。
その謎を一つ一つ解いていって、サン=テグジュペリの世界観、哲学、そして恋愛観を抽出します。
そのうえで、いかに生きるべきか、みたいなことを、メッセージとして読者に伝えます。
「星の王子さま」を愛読書としている人にとっては、わたしのこの本も愛すべき書物になるはずです。
サン=テグジュペリを礼賛していますので、批評ではありません。
なお、引用文はすべて三田が翻訳しました。新訳も味わっていただけたらと思います。


「清盛」

平清盛を主人公とした小説です。ライフワークの一貫の歴史シリーズです。
女帝三部作はファンタジーに哲学を入れたものですが、今回は歴史に忠実なリアリズムで書きました。
三田誠広の人間観がそこににじんでいるのではないかと思います。
大きな歴史の流れの中におかれた個人というものを描いています。
できれば一年に一作くらいのペースで、「頼朝」「後白河」と書き継いでいきたいと思っています。

「清盛」創作ノート



新刊案内1999

「天翔ける女帝」(廣済堂出版)発売中

「吾輩はハスキーである」(河出文庫)発売中

「炎の女帝/持統天皇」(廣済堂出版)発売中

「夫婦の掟/妻に嫌われない方法」(講談社)発売中

「授業を変えれば大学は変わる」共著(プレジデント社)発売中

「アインシュタインの謎を解く」(ネスコ/文芸春秋)発売中


「天翔ける女帝」

1999年からスタートする歴史小説シリーズの第1弾です。
女帝孝謙天皇と道鏡禅師の愛の物語であると同時に、政治と宗教を絡めた密度の高い文学作品です。
純文学にして通俗小説、というのは横光利一が提唱した「純粋小説」の理念ですが、自分なりに「純エンターテインメント」といったものを考えています。
テンポの速いストーリーを展開すると同時に、人間をしっかり描き、さらに哲学もある、といった「深くておいしい小説」を目指しています。
これまでもそうした小説を目指してきたつもりですが、現代を舞台とすると、面白さに限界があるようにも思えます。以前、イエスを主人公とした「地に火を放つ者」を書いた時に、歴史を書くことの面白さを自分でも感じました。
そこで自分のライフワークとして、日本の歴史の中から、面白いドラマを40冊くらいのシリーズにしたいと考えています。
とりあえずは孝謙天皇、持統天皇、推古天皇の女帝三部作を1999年の課題として書くつもりです。
詳しくは創作ノートを見てください。

「天翔ける女帝」創作ノート



「吾輩はハスキーである」

愛犬リュウノスケをテーマとした身辺雑記のエッセーです。
これは一種の私小説のつもりで書きました。
小説家にとっては、人生そのものが一篇の作品のようなものです。
その長大な作品の中に、イレコ構造で、執筆した作品が埋め込まれていく。
それゆえに「パパは塾長さん」や「十七歳で考えたこと」や「ぼくのリビングルーム」などとともに、この作品は作者にとっては重要なものです。
文庫本としての再刊ですが、リュウノスケの近況など新たな原稿も入っています。


「炎の女帝/持統天皇」

女帝三部作の第2弾です。執筆順でも時間順でも2番目となる作品ですが、三部作の中心になる作品といってもいいでしょう。
「天翔ける女帝・女帝T」は道鏡、「タイトル未定・女帝V」は聖徳太子が女帝のパートナーとなりますが、この「炎の女帝」のパートナーの大海人皇子は、キャラクターとしては迫力不足です。
そのかわりに巫女の額田女王が重要な役どころで登場するのですが、この作品では宗教的なもの、オカルト的なものは抑制して、政治ドラマとして展開します。リアルな物語といってもいいでしょう。
そのかわりにストーリーの規模は、三つの作品の中で最大です。三田誠広の代表作になることと思います。
すでに作品は完成していて現在、単行本の製作中です。ホームページに創作ノートを出していますので、作品がゴールに到達するプロセスを見てください。

「炎の女帝」創作ノート



「夫婦の掟/妻に嫌われない方法」

団塊の世代の中年男に送る切実なメッセージ。
熟年の離婚が増えています。男は定年になったら生活能力がなくなってしまう。人間としての魅力をなくしてしまったら、間違いなく、妻に捨てられてしまいます。
ではどうすればいいのか。熟年になってからでは遅すぎるのです。中年の段階から、なるべく妻に嫌われないようにする。
そのための具体的なノウハウを書くと同時に、老後を迎える段階の世代に対する「老後の哲学」といったものを展開します。
これは「老後を迎える団塊の世代論」の第一弾で、夫婦問題に限定したエッセーですが、第二弾として、もう少し幅の広い状況論と本格的な老後の哲学を年内に書くつもりです。


「授業を変えれば大学は変わる」(共著)

東海大学教授安岡高志氏、ジャーナリスト滝本喬氏、東海大学理事香取草之助氏、東京大学客員教授生駒俊明氏との共著。
東海大学で実施されている、学生による授業評価の試みを取材し、大学改革についての提案をする、という前向きの企画です。
三田誠広が実際に東海大学に出向いて講義をし、学生たちに点数をつけてもらうというのがこの本の山場でしょうか。ちなみにあまりいい点数はつきませんでした。
東海大学の宣伝みたいな本ですが、郊外にあるマンモス大学の先生方の危機感が伝わってくる内容で、大学問題についての一つの問題提起にはなると思います。
一時間の講義の内容も収録されています。


「アインシュタインの謎を解く」

同じ出版社から出した「聖書の謎を解く」「般若心経の謎を解く」に続く宗教シリーズの第三弾です。
今回は近代物理学の歴史を語りながら、物理学と哲学の接点から宗教的な領域にまで迫ろうという過激な試みです。
というと難しそうですが、二十世紀最大の思想家アインシュタインの相対性理論を中心に、この哲人の宇宙観、世界観を、数式も図式も使わずに誰もがわかるように解説する、というのが本書の狙いです。
イエスや釈迦と同じように、アインシュタインも広大な世界観をもっていました。宇宙とは何か、時間とは何か、私とは何かという哲学的、宗教的な問いに、アインシュタインは思いもかけぬアイデアを提出したのです。
三田誠広は文学部の出身ですので、物理学の専門家ではありません。従って、専門的な難しい数式は一切出てきません。素人が語るので、どんな人にもわかりやすい内容になっています。言い換えれば、素人でもここまで理解できるという限界に挑戦していますので、この本を読めば読者も素人としての限界に迫ることができます。
わくわくするような面白い本です。


新刊案内1998

「恋する家族」(読売新聞社)発売中

「大鼎談」(朝日ソノラマ)発売中

「ぼくのリビングルーム」(KSS)発売中

「遮那王伝説」(実業之日本社)発売中

「父親学入門」(集英社文庫)発売中

「般若心経の謎を解く」(ネスコ/文芸春秋)発売中


「恋する家族」

読売新聞の夕刊に連載した作品です。大学4年の女の子4人を中心に、現代の就職活動状況を描きます。
同時にヒロイン水上亜紀の家族、父、母、兄、およびその周囲の人々の人生を多角的に展開します。
軽いテンポで進行するユーモア風俗小説ですが、ヒロインの父は「僕って何」の主人公が、50歳になったら、という想定で書いています。
なお創作ノートがこのホームページに出ています。

読売新聞連載「恋する家族」創作ノート



「大鼎談」

岳真也、笹倉明の両氏との三人対談(鼎談・テイダンと読んでください)です。
岳氏主催の同人誌『21世紀文学』に連載した対談ですが、作家がいかに貧乏か、その貧乏の中でどのようにして持続して作家であり続けるか、そこまでして作家であり続けるのは何のためか、といった本質的な問題が自由に語られています。
作家志望の若者にとっては必読書です。そこで講義録シリーズの番外編として発行しました。


「ぼくのリビングルーム」

朝日新聞の日曜日の家庭面に連載したエッセーです。肩の凝らない身辺雑記ですが、作家の日常生活が語られ、同時に家族とは何か、教育とは何か、生きるとはどういうことか、といった問題が、さりげなく語られています。
他に日経新聞に連載した「青春の道標」と、『ゆとりくらぶ』に連載した「真夜中気質」が併録されています。
大学時代からサラリーマン時代を経て作家になるまでの自伝的エッセーと、朝日新聞では語られなかった、もっとなまなましい身辺雑記です。
朝日の連載は、切り抜き帳に保存しているという読者がいるほどの人気でしたが、全体の3分の2は朝日には出ていない原稿ですので、ぜひご購読ください


「遮那王伝説」

『週刊小説』に3年がかりで断続的に連載した作品です。
主人公は熊野の鬼若。すなわち武蔵坊弁慶です。
何だ、弁慶と義経の話か、と言わないでください。
この作品に出てくる遮那王義経は、弥勒菩薩の生まれ変わりです。
簡単に言うと、『西遊記』みたいな話で、三蔵法師が遮那王。孫悟空が鬼若弁慶。猪八戒が伊勢三郎。沙悟浄が常陸坊海尊というわけです。
弥勒菩薩は仏陀となるために苦行の旅を経なければなりません。遮那王の前には妖怪たちが立ちはだかります。登場するのは厳島神社の蛇の妖怪。八幡神社の稲穂の妖怪。エビスさまのミミズの妖怪、金比羅さまのワニの妖怪……、
つまり日本の神々は、この作品では悪役です。
よく知られた義経の物語をユーモラスなパロディーとして描きながら、同時にホラー小説であり、エロチックな幻想小説としても読めるようになっています。
また、この作品は窮極の愛の物語です。
『西遊記』に出てくる観音菩薩は女性的ですが、この作品の遮那王も一種の両性具有(アンドロギュヌス)として描かれています。
まあ、遮那王は女性だと考えてください。
この作品は遮那王と鬼若の純愛小説です。


「父親学入門」

三年前に単行本で出した本です。
ちょうど朝日の連載の『ぼくのリビングルーム』が出たばかりですが、その中にも子育ての話が出てきます。
その内容と重なる部分も多い本ですが、さらに詳しい内容になっています。


「般若心経の謎を解く」

去年出した「聖書の謎を解く」の第二弾です。
今回は仏教篇。これを読むと仏教のすべてがわかります。
般若心経の二百六十二文字の意味がきれいにわかります。
そして、いままで誰も言及しなかった驚くべき新解釈も導入されています。

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