かつて、私は25歳だった。
世界は自分の思い通りに鑑賞することが許されると、半ば本気で信じていた。
世界は世紀末へ向かって進んでいて、
自分は安月給でレガシーデバイスの極みのような環境で
どうにもならない状況を歯がみしているしかなかった。
それでも世の中にはこんなに楽しい物がある、こんなに美しい物がある、こんなに読む本がある、
そして隣には大事な人がいる、それだけで世界を脳内で美しく塗り替えた気になって、
自分はそのままずっとサイケな色眼鏡越しに世界を傍観していられる、心のどこかで本気でそう思っていた。
薬漬けの脳味噌を透かして見る過去の日々は、
もう、同じ人物のものとは思われない。
だからここを今、自分は廃墟と呼ぶ。
もし必要なものがあるなら、ご自由に閲覧してくださって構わない。
たぶん、遠い遠いあの時の自分も、それを望むだろうから…