ホームページ > インターネット > iCalendar
2002年11月24日更新

iCalendar

目次

はじめに

Windows CE 機 (Jornada 820) を携帯するようになり、家や勤務先のデスクトップ PC の Outlook と [仕事] や [予定表] を同期してのスケジュール管理に凝りだした。

Outlook はメニューの [ツール]-[オプション] で予定表に各国の祝日を追加することができる(元データは Office ディレクトリの OUTLOOK.TXT)が、アイテムが1年単位になっている。アイテムを一覧すると同じ祝日が大量に並び、同一の祝日をまとめて保守したい時には繁雑だ。

同一の祝日は Outlook の予定や仕事のオプション「定期的なアイテム」でまとめられないかと考え、さらに、OUTLOOK.TXT のように Outlook から独立したインポート可能なデータとして保管できるといいと思い、調べたところ、Outlook 98 からサポートされた iCalendar でできそうだと知った。

2000年10月現在、Web ではほとんど(日本語にいたっては一切) iCalendar の情報が見当たらないようなので、自分なりに調べた結果をまとめた。

更新履歴

2002年11月24日
サンプル関連リソース を更新。
2001年4月8日
サンプル を更新。
2001年4月4日
vCalendar 1.0 の開発母体について調査不足だったので、修正。
2001年3月27日
サンプル を更新。
2001年3月10日
サンプルを更新、追加。

概要

個人用の PIM や組織用のグループスケジューリング製品がもつカレンダーやスケジュール情報を、インターネットで交換できるようにするための共通フォーマット仕様が RFC で提案された。これを iCalendar と称する。

前身は、業界標準団体の Versit consortium が開発して、Internet Mail Consortium に移管された vCalendar 1.0。

このフォーマットを解釈できる PIM アプリケーションであれば、異なるアプリケーションの間でもスケジュールやカレンダー情報を交換できることになる。身近な製品では、Microsoft Outlook (≠Microsoft Outlook Express) や Lotus Organizer (Lotus オーガナイザー) が対応を謳っている。

仕様

別ページにまとめた。

実装状況

各アプリケーションでの実装状況。筆者の手元にあるアプリケーションで調べた範囲のみ。

サンプル

使用している Microsoft Outlook 2000 用に、iCalendar ファイル (.ics) を作ってみた。zip 形式でまとめてある。解凍して得られる *.ics ファイルを Outlook の [予定表] フォルダへドラッグすれば、アイテムが登録される。Lotus オーガナイザーなど、他のアプリケーションでも認識できるかどうかは調べていない。

日本の祝日 [holid110.zip]
2002年11月24日 V1.1 に更新
第二次世界大戦後、1948年以降2000年現在までに制定された日本の祝日をまとめた。毎年の定期的なイベントとして作成してあるので、アイテム一つでどの年にも表示される。詳細は Readme.htm を参照。戦後の祝日の調査結果を元に作った。
日本の「春分の日」「秋分の日」 [equin201.zip]
2002年11月24日 V2.01 に更新
第二次世界大戦後、昭和23(1948)年から2099年までの「春分の日」「秋分の日」をまとめた。「春分の日」「秋分の日」の特殊な周期性を、小細工を使って定期的なイベントにした。詳細は Readme.htm を参照。春分の日と秋分の日の調査結果を元に作った。
会社の年末年始休日 [cmphlday.zip]
私の勤務先の就業規則では、12月30日〜1月4日の6日間が休日。毎年この期間を「会社年末年始休日」として表示するアイテム。
日本の国勢調査 [jpcensus.zip]
第1回の大正9(1920)年を起点として、5年おきの10月1日に「国勢調査」を表示するアイテム。
Outlook 2000 の iCalendar サポートの制限を回避したサンプル。Outlook 2000 では、1年以上の周期をもつイベントについて、「5年ごと」のような年単位の指定ができないが、5年×12ヶ月=「60ヶ月ごと」のような月単位の指定は認識する。

制限事項

Outlook 2000 日本語版では、iCalendar ファイル (*.ics) をインポートするとタイトルバーに「日本語 (シフト JIS)」という文字列が表示される。 Outlook で作成した予定アイテムを iCalendar 形式でエクスポートして、そのファイルをそのまま再インポートした場合も同じなので、おそらく Outlook 本体の問題。→ (2002/11/24) 2000 SP2 (SR-1 (9.0.0.4527)) でも表示される。2002 SP1 (10.3513.3501) では表示されない。

関連リソース

2000年10月現在、Web ではほとんど見つからない。一方で、Mac 用のカレンダーソフト iCalendar など、名前がまるきり同じツールがあったりする。(誰でも思いつきそうな名前ではある)
Personal Data Interchange: vCard and vCalendar (Internet Mail Consortium)
iCalendar の前身である vCalendar 1.0 の情報をまとめたサイト。iCalender の情報も収録している。併録されている vCard は、いわゆる電子名刺。メールや RFC の署名などに使われており、Outlook などの対応メールソフトでは住所録にそのままとりこめる。
Jetspeed
Apache の拡張の一つとして開発されているオープンソース。実装に iCalendar 対応が盛り込まれている。他にも一部の商用アプリケーションで実装が進められている様子。→ (2002/11) Jetspeed - iCalendar の "iCalendar status" によれば、汎用だとの理由で、Jetspeed から分離された。
SyncML
(2001/4) XML ベースで、iCalendar もサポートするらしい?
Apple - iCal / アップル - iCal
(2002/11) Apple の開発提供になる Mac OS X 10.2 (Jaguar) 用のカレンダー・アプリケーション。今年7月のMacworldで発表され9月にダウンロード可能になったばかりだが、無償で提供されており、カレンダーライブラリで豊富なアイテムが提供されたりと支援環境が整っていることもあって、日本でも急速にユーザーが増えているようだ。アイテムは iCalendar 形式で記述されているが、ダウンロード用リンクのプロトコルが webcal: になっており、一つの VCALENDAR に複数の VEVENT が書かれていたりして、Windows の Outlook とはそのままで互換性がなくなっている。
CALSCH Working Group
(2002/11) IETF Calendaring and Scheduling (CALSCH) Working Group のサイト。カレンダーやスケジューリング製品へのポインタが集められている。

Versit Consortium

vCalendar 1.0 を開発した Versit について。 Versit は、通信コンピューティングの標準仕様開発を目的として、1994 年11月に Apple、AT&T、IBM、Siemens の4社により結成され、1996年に成果物を各団体へ移管して解散した。 当時は Web サイト http://www.versit.com を持っていたようだが、今は存在しない。 成果物は、vCalendar, vCard の他に、Versit TSAPI, GeoPort Universal Network Port (Apple がマッキントッシュに採用), H.320 video conferencing standard などがある。 各種記事を読むと当時はかなり注目された動きだったようだが、成果物は、ただちに実装されたものもあれば、改良を経てようやく普及してきたものもあるようだ。

私が vCalendar でなく iCalendar を選んだのは、vCalendar だと Outlook で「定期的なイベント」が使えなかったから。

Versit 参加各社のプレスリリース

なにぶんにも昔なので、Web にあまり資料が残っていない…

その他の記事

用語集

モバイル PC の世界に入ったばかりで、なじみのない言葉がある。iCalendar を調べる過程で目についた単語を書き出してみた。

PDA
Personal Digital Assistant 定訳なし? 「情報携帯端末」の語をあてることが多い様子
PDI
Personal Data Interchange
PIM
Personal Information Management
WAP
Wireless Application Protocol
WML
Wireless Markup Language

Copyright (c) 2000-2001 野村 真人 (NOMURA Mahito) <CI5M-NMR@asahi-net.or.jp>
2000年10月作成