“エンディミオンの覚醒 (上・下)”
ダン・シモンズ
(ハヤカワSF)
このコーナー 250作品目のこの作品は、
言うまでもなく
“エンディミオン”
の続編、
“ハイペリオン”
から始まる、古今東西数々の物語を取り込んだ壮大な叙事詩の締めくくりです。
前作で <地球> へ辿り着いたロール・エンディミオンとアイネイアーは…。
そしてパクスや <コア> との戦いの行方は?
デ・ソヤ神父大佐あらためデ・ソヤ神父をはじめとした前作のキャラクターたちもよりいきいきと登場しますし、
ネメスさんは増えてますし (黄金パターンの一つですねえ^^)、
対するシュライクも何かパワーアップしているように思えます。
さらには“ハイペリオン”へと繋がっていく部分も…。
謎はほとんど明かされ物語は大団円を迎えたとはいえ、
その後どうなったのか不明な部分もあるし、
辻褄的に「?」な部分があるのは気になるところ。
ですが、まさに問答無用、「約束」の結末まで一気に突き進めます。
それにしても、にぶい主人公というのは、
作家にとって好都合ですねえ^^;。
“たんぽぽ娘”なんかもそうですけど。
(12/31)
“戦乱の大地”
デイヴィッド・ブリン
(ハヤカワSF)
“変革への序章”
に続く、“知性化の嵐”シリーズ第二部です。
前回はちらっと登場するだけだった <ストリーカー>
とその乗組員のイルカたちがついに本格的に登場します。
そして、
“スタータイド・ライジング”
でキスラップを脱出した後の苦難も語られます。
“知性化戦争”
に関することも一言だけ語られます^^;。
ということで今回のあらすじを。
さて、ローセンの陰謀を食い止めた潜伏6種族だが、
そこに現れたのは冷酷非情で知られる列強種族、ジョファー。
彼らは潜伏6種族が <ストリーカー> とコンタクトをとっているものと思っており、
圧倒的な力を背景に圧力を掛けてくる…。
前回と同様に6種族の奇襲は実るのか?
キスラップのときと同様に <ストリーカー> は見事逃げおおせるのか?
そして、ジージョにはいったいどれだけの秘密があるのか?
まだまだ次への謎を多く残したまま、第二部は終わります。
もうちょっとヒントを出してくれてもいいのになあ、という気もします。
第三部“Heaven's Reach”も早く翻訳してほしいですね。
それにしてもローテクな武器による奇襲や陽動に弱過ぎな銀河列強種族たちです^^;。
(10/22)
“最果ての銀河船団 (上・下)”
ヴァーナー・ヴィンジ
(創元SF)
250年のうち35年だけ明るく輝き、後はとても暗い状態にあるという、
常識はずれの奇妙な恒星、オンオフ星。
さらに驚いたことに、その星を巡る惑星に非人類の知的生命がいるらしい…。
彼らとその惑星に莫大な利益の可能性を見たチェンホーの商船団がオンオフ星へと向かったが、
そこには同時にエマージェントとなのる他の人類の船団もやってきた。
彼らは衝突し、双方とも被害は大きく、星間航行は不可能になってしまった。
生き延びるためには、非人類知的生命の進歩を待つしかない。
そして、エマージェントに制圧されたチェンホーの中には、
逆襲を期して長い雌伏のときを耐えしのぶ男がいた…。
“遠き神々の炎”
と同じ作者の長編で、解説を読むまでは気づきませんでしたが、
同じ宇宙を舞台にした話だそうです (“遠き神々の炎”の世界が、
遙か未来にあたる)。
さらには双方に登場する人物がいるというのは…さすがにわかりませんでした^^;。
後でまた“遠き神々の炎”を見なければ…。
でも、ストーリーとしては双方にとくに関係はなさそうです。
非人類知的生命の発展を支えるシャケナーの天才ぶりと、
最後に明かされる作戦成功の真相がちょっと都合よすぎかな、
という気もします。
一冊1,260円もする^^;厚い文庫本の上下巻の長い長い雌伏の後ですから、
「逆襲」のシーンでもうちょっと「伝説の男」に活躍してほしかったかな、
とも思います。
(7/4)