前置詞 on


 いわゆる熟語を覚える時や、動詞と共に使う語として前置詞は使われます。学校の試験などでは適切な前置詞を入れる穴埋め問題などが必ずあるのではないでしょうか。
またもや私の父親の言葉ですが、「前置詞を正しく理解すれば英語の理解はずっと楽になる。とくに前置詞を使う熟語などの言い回しは、前置詞を正しく理解していればわざわざすべてを暗記する必要などなくなる」と言っています。また、このようにも言っています。「前置詞は必ず二つの名詞を伴い、その二つの名詞の関係を表すためにある」
 では on の場合について考えるとどうでしょうか。辞書などでは on の意味を「〜の上に(の)」などと訳しています。私自身、ずっと on については「〜の上」とばかり解釈していました。では、 above, over などはどうでしょう。これらも辞書の上では「〜の上に(の)」と訳されています。でもその違いをずっと意識していなかったのです。
 on は単に上にあるばかりでなく、例えば壁に絵が掛かっている場合でも picture on the wall と表現されます。では on の本当の意味は何かと言うと、「物と物が接触している状態」を現しています。
「だから switch on と表現するんだ」と説明されて、「ああ、on はそういう意味だったのか!」と納得したものです。今までなんとなく日本語でさえも「スイッチ・オン」という使い方をしていて、何故「〜の上」でスイッチをつけるという意味になるのか考えもしなかったのです。
ついでながら先に挙げた above「表面から離れて、真上を含め広く上方の位置を示す」で、over「空間位置。真上を示し、おおいかぶさる感じを伴う」とのこと。これらは辞書によってはある程度詳しく解説されています(上記は大修館ジーニアス和英辞典より)。
これらの意味をふまえていれば、「川の上の橋」という文を訳す場合も

誤) bridge on the river.
正) bridge over the river


であることがすぐわかります。
この on の誤用に関して教えてもらった話があります。
 寝台列車の中で(?)二段ベッドの下で女性が寝ようとしており、ある日本人男性が上のベッドを使おうとして "Can I sleep on you? "(あなたの上で寝ていいですか?)と尋ねてきついビンタを喰らい、それでも何故相手を怒らせたのかわからなかった、という話。
実話かどうかは知りませんが、日本語ならこの状況で「あなたの上で寝ていいですか」と言っても状況から当然上のベッドで寝るという意味にとってもらえたでしょう。しかし "Can I sleep on you? "では体を密着させて寝るという意味にしかならないのです。


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