図書館員のコンピュータ基礎講座
動画データYouTubeやニコニコ動画などの動画共有サービス、GyaO(ギャオ)などの動画配信サービス、ワンセグ(1seg)などの地上デジタル放送などが出現しており、デジタル動画データは一般的になってきています。 動画ファイル【2008-09-23更新】
動画は、連続して並べた静止画像を次々に入れ替えて表示することで表現されます。この1枚1枚の静止画像をフレーム(Frame = 画面)と呼び、1秒間に何回フレームを表示するかの頻度をフレーム・レート(Frame Rate)と言います。フレーム・レートはfps(エフピーエス;Frame Per Second)という単位で表し、24fps~30fps程度で滑らかな動きを表現できます。 画像、音声、動画などのデータを符号化/復号する方式、装置、ソフトウェアをコーデック(Codec)と呼びます。一般的な動画コーデックは全て非可逆圧縮を行います。圧縮符号化を行った動画データは、音声データ、動画データと音声データを同期させるための信号やインデック情報と一緒にコンテナ(Container)と呼ばれる入れ物に格納されて1つの動画ファイルになります。コンテナには、字幕やメタデータなどのテキストや静止画像などが含まれることもあります。事実上、コンテナが動画ファイル形式となるため、動画ファイル形式はコンテナ・フォーマット(Container Format)とも呼ばれます。 コンテナには次の2種類があります。
動画ファイルを復号化して再生するためには、圧縮符号化に用いられたものと同じコーデックがインストールされている必要があります。上記の2種類のコンテナのうち前者には様々な種類のコーデックを用いたデータを格納できるため、同じ拡張子の動画ファイルでも、コーデックのインストール状況により再生できたりできなかったりすることがあります。 ポイント コーデックとコンテナ【2012-05-22更新】
動画のコーデックとコンテナには様々なものがありますが、よく使用されるものを紹介します。 3GPP/3GPP23GPP(スリージーピーピー;3rd Generation Partnership Project)は、第3世代携帯電話(3G)の標準化プロジェクトおよび同プロジェクトが定める規格で、動画コンテナの規格でもあります。派生プロジェクトおよび規格としてcdma2000を対象とした3GPP2(スリージーピーピーツー;3rd Generation Partnership Project 2)があります。H.263、MPEG-4およびH.264の動画コーデックを用いたデータを格納できます。 拡張子: .3gp(3GPP)、.3g2(3GPP2)
ASFASF(エイエスエフ;Advanced Systems Format、以前はAdvanced Streaming Format)は、Microsoft社がストリーミング配信用に開発したAVIの後継となるコンテナです。 拡張子: .asf
AVIAVI(エイヴイアイ;Audio Video Interleave)は、Microsoft社がWindows 3.1の動画記録・再生ソフトウェアであるVideo for Windows用に開発したコンテナです。様々なコーデックを用いたデータを格納できますが、ストリーミング配信には不向きです。RIFFを応用しています。 拡張子: .avi
DivXDivX(ディビックス)は、DivX Network社(現DivX, Inc.社)がMPEG-4を基に開発した動画コーデックです。高画質を保ちながら高圧縮が可能という特徴があります。標準規格ではありませんが、DVDプレーヤやデジタル・ビデオ・カメラなどでも採用されていることがあります。 DivX Media FormatDivX Media Format(ディビックスメディアフォーマット)は、AVIを基に開発されたコンテナです。 拡張子: .divx
Flash VideoFlash Video(フラッシュビデオ)は、マクロメディアが開発した(アドビシステムズが買収)コンテナで、FLV(エフエルヴイ)と呼ばれることもあります。H.263、H.264、On2 VP6の動画コーデックを用いたデータを格納できます。YouTubeやニコニコ画像などの動画共有サービスの多くがこの形式を採用しています。ストリーミングに対応しています。なお、これは、一般にFlash(フラッシュ = Adobe Flash、旧称はMacromedia Flash)などと呼ばれる規格とは違うものです(こちらの拡張子は.swf)。 拡張子: .flv、.f4v、.f4p、.f4a、.f4b
MatroskaMatroska(マトリョーシカ)は、オープンソースのコンテナです。様々なコーデックを格納できます。 拡張子: .mkv(動画ファイル)、.mka(音声ファイル)、.mks(ストリーミング・ファイル)
Motion JPEGMotion JPEG(モーションジェイペグ;Motion Joint Photographic Experts Grou)は、フレームごとにJPEG形式で圧縮を行う方式を採用した動画コーデックです。任意のフレームの編集が容易であるという特徴があります。最近ではあまり用いられなくなっています。JPEGの拡張規格であるJPEG 2000にも、フレームごとにJPEG 2000で圧縮を行うMotion-JPEG 2000という規格があります。 MPEG-1MPEG-1(エムペグワン;Moving Picture Experts Group phase 1)は、ISOが設置したMPEG(エムペグ;Moving Picture Experts Group)という組織が開発する動画等の標準規格であるMPEG規格の一つです。画質はVHS程度で、Video CDなどに用いられています。 拡張子: .mpg、.mpeg、.m1v、.dat
MPEG-2MPEG-2(エムペグツー;Moving Picture Experts Group phase 2)は、MPEG規格の一つです。MPEG-3という規格も策定されていましたがMPEG-2に統合されました。画質はS-VHS程度で、DVD-Videoやデジタル放送などに用いられています。 拡張子: .mpg、.mpeg
ISO/IECのMPEG-2規格は、システム、動画、音声等の多数のパートに分かれて策定されています。パート1であるISO/IEC 13818-1(ITU-T H.222.0)は、MPEG-2の多重化方法の規格で、DVD-Video用に開発されたMPEG-2 PS(エムペグツーピーエス;MPEG-2 Program Stream)と、デジタル放送配信用のMPEG-2 TS(エムペグツーティーエス;MPEG-2 Transport Stream)の2つの形式に分けられます。 MPEG-2 PS拡張子: .mpg、.m2p、.m2ps
MPEG-2 TS拡張子: .mts、.m2t、.m2ts
MPEG-4MPEG-4(エムペグフォー;Moving Picture Experts Group phase 4)は、MPEG規格の一つです。音声、動画、3Dオブジェクトなどを含むマルチメディアのコーデックで、技術ごとにパートに分けて策定されています。動画はパート2とパート10で定義されています。 拡張子: .mp4 (コンテンツの種類を区別するため、動画のみの場合には.m4v、音声のみの場合には.m4aが用いられることもある)
Ogg MediaOgg Media(オッグメディア)は、Tobias Waldvogel氏が開発したコンテナです。音声データとしてOgg Vorbisなどを格納できます。 拡張子: .ogm、.ogg
On2 VP6On2 VP6(オンツーヴイピーシックス)は、On2 Technologies社がMPEG-4を基に開発した動画コーデックで、単にVP6(ヴイピーシックス)と呼ばれることもあります。当初はTrueMotion VP6(トゥルーモーションヴイピーシックス)と呼ばれていました。同社がMPEG-4を基に開発したVP3、VP4、VP5などの後継となるものです。高画質を保ちながら高圧縮が可能で、符号化・復号化が速いという特徴があります。後にVP7が発表されました。2009年にGoogle社が同社を買収し、その後に発表されたVP8(ヴイピーエイト)はオープンソース化され、Google社が開発したコンテナであるWebMの動画コーデックとして採用されました。 QuickTimeQuickTime(クイックタイム)は、Apple社が開発したコンテナまたはソフトウェアです。バージョン4でストリーミングに対応、バージョン4からMPEG-4を採用、バージョン7からH.264が採用されました。 拡張子: .mov、.qt
RealVideoRealVideo(リアルビデオ)は、Progressive Networks社(現RealNetworks社)が独自に開発した動画コーデック/コンテナで、ストリーミングに対応しています。同社のRealPlayerで再生可能です。 拡張子: .rm、.ram、.rmvb、.rpm
WMVWMV(ダブリューエムヴイ;Windows Media Video)は、Microsoft社が開発したWindowsの標準動画コーデック/コンテナです。ストリーミングに対応しています。新しいバージョンであるWMV9は、MPEG-4を基に開発されています。通常はWMAと一緒に用いられます。Windowsの標準マルチメディア・ソフトであるWindows Media Playerなどで再生可能です。 拡張子: .wmv、.avi
コンテナ: AVI、WMV など
XvidXvid(エックスヴイアイディー、エックスビド)は、MPEG-4を基にしたオープンソースのコーデックで、DivX Network社(現DivX, Inc.社)のOpenDivXというプロジェクトから派生しました。当初はXviDという名称で開発されました。 WebMWebM(ウェブエム)は、Google社が開発したオープンソースのコンテナで、動画データとしてVP8、音声データとしてVorbis、コンテナにMatroskaのサブセットを採用しています。 拡張子: .webm
ポイント
関連ページ
参照・参考文献
CyberLibrarian : tips on computer for librarians, 1998-
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