図書館員のコンピュータ基礎講座

文字

アラビア文字

【2014-09-17更新】

アラビア語、ペルシャ語、ウルドゥー語などで用いられる表音文字です。書字方向は右から左で、通常は続け書きを行います。それぞれの文字には、語中の文字の位置によって、独立形、語末形、語中形、語頭形がありますが、語末形、語中形、語頭形のいずれかがない(前後の文字と線がつながらない)文字もあります。

なお、このページの語末形、語中形、語頭形は、便宜的に連結線(ـ)を文字の前後に付与して表現しています。

アラビア語

アルファベットは28字で構成されます。

独立形 語末形 語中形 語頭形 Unicode ISOラテン ALA-LCラテン 文字名
ا ـا 0627 â アリフ
ب ـب ـبـ بـ 0628 b b バー
ت ـت ـتـ تـ 062A t t ター
ث ـث ـثـ ثـ 062B th サー
ج ـج ـجـ جـ 062C ǧ j ジーム
ح ـح ـحـ حـ 062D ハー
خ ـخ ـخـ خـ 062E kh ハー
د ـد 062F d d ダール
ذ ـذ 0630 dh ザール
ر ـر 0631 r r ラー
ز ـز 0632 z z ザーイ
س ـس ـسـ سـ 0633 s s スィーン
ش ـش ـشـ شـ 0634 š sh シーン
ص ـص ـصـ صـ 0635 サード
ض ـض ـضـ ضـ 0636 ダード
ط ـط ـطـ طـ 0637 ター
ظ ـظ ـظـ ظـ 0638 ザー
ع ـع ـعـ عـ 0639 ʿ̱ アイン
غ ـغ ـغـ غـ 063A ġ gh ガイン
ف ـف ـفـ فـ 0641 f f ファー
ق ـق ـقـ قـ 0642 q q カーフ
ك ـك ـكـ كـ 0643 k k カーフ
ل ـل ـلـ لـ 0644 l l ラーム
م ـم ـمـ مـ 0645 m m ミーム
ن ـن ـنـ نـ 0646 n n ヌーン
ه ـه ـهـ هـ 0647 h h ハー
و ـو 0648 w w ワーウ
ي ـي ـيـ يـ 064A y y ヤー
  • 「ISOラテン」と「ALA-LCラテン」の列は、ラテン文字翻字形を表します。「ISOラテン」はISO 233:1984に、「ALA-LCラテン」はアメリカ図書館協会とアメリカ議会図書館(ALA-LC)による「ALA-LC Romanization Tables外部へのリンク」に基づいています。詳細はそれらをご覧ください。
  • 「文字名」の列は、「ニューエクスプレスアラビア語 / 竹田敏之著 白水社, 2010.6」に基づいています。

上記の他にも次のような文字があります。

独立形 語末形 語中形 語頭形 Unicode ISOラテン 文字名 説明
大文字 小文字
ء 0621 ˌ ハムザ 声門閉鎖音という子音を示すために用いられる。
ة ـة 0629 ター・マルブータ ت(ター)の変形。女性形の語尾につく。
ى ـى 0649 アリフ・マクスーラ ي(ヤー)の点がない異字、または、ا(アリフ)の変形
لا ـلا 0644 0627 ラーム・アリフ ل(ラーム)とا(アリフ)の合字
  • ハムザは独立した文字として以外に、文字の上下に付け、下記で説明するシャクルとしても用いられます。
    独立形 語末形 語中形 語頭形 Unicode 文字名 説明
    أ ـأ 0623 上ハムザ付きアリフ ا(アリフ)+上付きء(ハムザ)
    إ 0625 下ハムザ付きアリフ ا(アリフ)+下付きء(ハムザ)
    ؤ ـؤ 0624 ハムザ付きワーウ و(ワーウ)+ء(ハムザ)
    ئ ـئ ـئـ ئـ 0626 ハムザ付きヤー ي(ヤー)+ء(ハムザ)

基本的に、アラビア語には子音を表す文字しかなく、母音の違いにより1つの文字が2通りに発音されることがありえます。これらの発音を区別するために、شكل(シャクル;shakl)と呼ばれる発音補助記号を用いる方法が考え出されました。一般的に、辞書や児童向け書籍等ではこの方法を採用し、その他の出版物等では発音補助記号を用いずに表記します。

アラビア語のシャクル
種別 記号 Unicode 文字名 説明
母音記号 َ 064E ファトハ 文字の上に付け、aの音を示す。
ِ 0650 カスラ 文字の下に付け、iの音を示す。
ُ 064F ダンマ 文字の上に付け、uの音を示す。
ْ 0652 スクーン 文字の上に付け、無母音であることを示す。
タンウィーン ً 064B ファトハタン ファトハのタンウィーン。
文字の上に付け、anの音を示す。
ٍ 064D カスラタン カスラのタンウィーン。
文字の下に付け、inの音を示す。
ٌ 064C ダンマタン ダンマのタンウィーン。
文字の上に付け、unの音を示す。
その他 ّ 0651 シャッダ 文字の上に付け、重子音であることを示す。
ٱ 0671 ワスラ付きアリフ ا(アリフ)の上に付け、無音を示す。
آ 0622 マッダ付きアリフ ا(アリフ)の上に付け、āの音を示す。
ٰ 0670 マッド 文字の上に小さなا(アリフ)を付け、āの音を示す。
小アリフや上付きアリフとも呼ばれる。
  • タンウィーンは、語尾にのみ用いられます。

アラビア文字の記号

アラビア文字に共通する特殊な記号は次のようなものがあります。

記号 Unicode 説明
، 060C コンマ
؛ 061B セミコロン
؟ 061F 疑問符
ـ 0640 連結線
タトウィール(Tatweel)やカシーダ(Kashida)と呼ばれる。
٪ 066A パーセント

ペルシア語

アルファベットは32字で構成されます。アラビア語のアルファベットにپ‎、چ‎、ژ‎、گ‎の4字を追加し、كکに、يیに変えたものです。

独立形 語末形 語中形 語頭形 Unicode ISOラテン ALA-LCラテン 文字名
ا ـا 0627 â アレフ
ب ـب ـبـ بـ 0628 b b べー
پ ـپ ـپـ پـ 067E p p ぺー
ت ـت ـتـ تـ 062A t t テー
ث ـث ـثـ ثـ 062B セー
ج ـج ـجـ جـ 062C j j ジーム
چ ـچ ـچـ چـ 0686 c ch チェー
ح ـح ـحـ حـ 062D へー
خ ـخ ـخـ خـ 062E kh へー
د ـد 062F d d ダール
ذ ـذ 0630 ザール
ر ـر 0631 r r レー
ز ـز 0632 z z ゼー
ژ ـژ 0698 z zh ジェー
س ـس ـسـ سـ 0633 s s スィーン
ش ـش ـشـ شـ 0634 š sh シーン
ص ـص ـصـ صـ 0635 サード
ض ـض ـضـ ضـ 0636 ż ザード
ط ـط ـطـ طـ 0637 ター
ظ ـظ ـظـ ظـ 0638 z ザー
ع ـع ـعـ عـ 0639 ʿ エイン
غ ـغ ـغـ غـ 063A ġ gh ゲイン
ف ـف ـفـ فـ 0641 f f フェー
ق ـق ـقـ قـ 0642 q q ガーフ
ک ـک ـکـ کـ 06A9 k k カーフ
گ ـگ ـگـ گـ 06AF g g ガーフ
ل ـل ـلـ لـ 0644 l l ラーム
م ـم ـمـ مـ 0645 m m ミーム
ن ـن ـنـ نـ 0646 n n ヌーン
و ـو 0648 v v ヴァーヴ
ه ـه ـهـ هـ 0647 h h ヘー
ی ـی ـیـ یـ 06CC y y イェー
  • 「ISOラテン」と「ALA-LCラテン」の列は、ラテン文字翻字形を表します。「ISOラテン」はISO 233-3:1999に、「ALA-LCラテン」はアメリカ図書館協会とアメリカ議会図書館(ALA-LC)による「ALA-LC Romanization Tables外部へのリンク」に基づいています。詳細はそれらをご覧ください。
  • 「文字名」の列は、「ニューエクスプレスペルシア語 / 浜畑祐子著 白水社, 2012.2」に基づいています。

特殊な記号については、アラビア文字の記号を参照してください。

ウルドゥー語

ウルドゥー語は35字で構成されます。ペルシア語のアルファベットにٹ‎、ڈ‎、ڑ‎の3字を追加し、هہに変えたものです(語末、語中、語頭形が異なる)。

独立形 語末形 語中形 語頭形 Unicode ALA-LCラテン 文字名
ا ـا 0627 アリフ
ب ـب ـبـ بـ 0628 b ベー
پ ـپ ـپـ پـ 067E p ペー
ت ـت ـتـ تـ 062A t テー
ٹ ـٹ ـٹـ ٹـ 0679 テー
ث ـث ـثـ ثـ 062B セー
ج ـج ـجـ جـ 062C j ジーム
چ ـچ ـچـ چـ 0686 c チェー
ح ـح ـحـ حـ 062D ヘー
خ ـخ ـخـ خـ 062E ḵẖ ヘー
د ـد 062F d ダール
ڈ ـڈ 0688 ダール
ذ ـذ 0630 ザール
ر ـر 0631 r レー
ڑ ـڑ 0691 レー
ز ـز 0632 z ゼー
ژ ـژ 0698 zh ジェー
س ـس ـسـ سـ 0633 s スィーン
ش ـش ـشـ شـ 0634 sh シーン
ص ـص ـصـ صـ 0635 スワード
ض ـض ـضـ ضـ 0636 ズワード
ط ـط ـطـ طـ 0637 トーエ
ظ ـظ ـظـ ظـ 0638 ゾーエ
ع ـع ـعـ عـ 0639 アイン
غ ـغ ـغـ غـ 063A g̱ẖ ガイン
ف ـف ـفـ فـ 0641 f フェー
ق ـق ـقـ قـ 0642 q カーフ
ک ـک ـکـ کـ 06A9 k カーフ
گ ـگ ـگـ گـ 06AF g ガーフ
ل ـل ـلـ لـ 0644 l ラーム
م ـم ـمـ مـ 0645 m ミーム
ن ـن ـنـ نـ 0646 n ヌーン
و ـو 0648 v ワーオ
ہ ـہ ـہـ ہـ 06C1 h ヘー
ی ـی ـیـ یـ 06CC y イェー
  • 「ALA-LCラテン」の列は、ラテン文字翻字形を表します。アメリカ図書館協会とアメリカ議会図書館(ALA-LC)による「ALA-LC Romanization Tables外部へのリンク」に基づいています。詳細はそれらをご覧ください。
  • 「文字名」の列は、「ニューエクスプレスウルドゥー語 / 萩田博, 萬宮健策著 白水社, 2012.12」に基づいています。
  • نは、鼻母音を表すときに次の形になります。
    独立形 語末形 語中形 語頭形 Unicode ALA-LCラテン
    ں ـں 06BA
  • ہには、有気音を表す場合にのみ用いられる次の異形があります。
    独立形 語末形 語中形 語頭形 Unicode ALA-LCラテン
    ھ ـھ ـھـ ھـ 06BE h
  • یは、eやaiの音を表すときは、次の形になり、翻字形もeやaiになります。
    独立形 語末形 語中形 語頭形 Unicode ALA-LCラテン
    ے ـے 06D2 e, ai

ハムザは、アラビア語では、声門閉鎖音という子音を示すために用いられますが、ウルドゥー語では、異なる母音が衝突するときにその間に表記します。

特殊な記号については、アラビア文字の記号を参照してください。

関連ページ
ページのトップへ
CyberLibrarian : tips on computer for librarians, 1998-