第6章 受信機

受信機は、空間を伝わってきた電波をアンテナから取り入れて、 必要なものだけを増幅、復調(検波)して信号を再現する機器である。

スーパーヘテロダイン受信機の構成

ダブルスーパーヘテロダイン受信機の構成

受信機の性能

• 感度
  どの程度までの弱い電波を受信できるかの能力を示す。
• 選択度
  空間に存在する多数の電波の中から、自分が受信しようとする電波をどの程度選択分離して 受信できるかの能力を示す。
• 忠実度
  送信機から送られてくる信号波を、どの程度まで忠実に再現できるかを表すもので、 電気的忠実度と音響的忠実度の二つがある。
• 安定度
  受信機を一度、ある電波を受信できるように調節した後、再調整しないで、どの程度までの 長い間、一定出力できるかの能力を示す。

高周波増幅器

• 影像(イメージ)周波数混信の軽減
• 信号対雑音比(S/N)の向上
• 副次的に発する電波の抑圧
• 感度の向上

周波数変換部

• 受信電波の周波数を増幅および選択作用などの容易な中間周波数に変換する
• 周波数混合器と局部発振器からなる
• 影像(イメージ)周波数=fc + 2fi / fc - 2fi (fc-受信周波数、fi-中間周波数)

中間周波増幅器

• 近接周波数の妨害電波の除去
• 中間周波数を十分に増幅

検波器とAGC

• AGC(自動利得制御)回路
  受信する電波が強い場合には受信機の増幅度(利得)を低下させ、受信する電波が弱い場合には 受信機の増幅度が大きくなるように、自動的に増幅度を制御し、受信機の出力を一定にする回路。
• DAGC(遅延AGC)回路
  一定強度以下の弱い電波を受信するときは、AGCが動作せず、受信機の最高感度の状態で 動作させ、ある程度以上の強い電波を受信するときのみ、AGCを動作させるようにした回路。

うなり発信器

影像周波数選択度と近接周波数選択度

受信機で発生する異常現象

• 混変調
  ある周波数の電波(fcとする)を受信中に、変調された強力な電波(fとする)が入ってくると、 強力な電波 f を変調している信号波で、受信している電波 fc が変調されて生じる混信現象。
• 相互変調
  ある周波数の電波(fcとする)を受信中に、二つ以上の強力な電波が入ってくるとき(f1とf2とする)、 例えば f1 + f2 または f1 〜 f2 などが受信している電波の周波数 fc、中間周波数 fi および 影像周波数 fc + 2fi / fc - 2fi に合致したときに生じる混信現象。
• ハム
  交流を整流した電源を使用する場合、スピーカーから出る交流音(ブーンというような音)。
• モジューレーションハム
  直流電源に含まれる僅かな交流分(リプル)により、受信波が変調されるために発生する。
• モータボーチング
  
• シンギング
• ハウリング

SSB電話受信機

SSB受信機の構成

• クラリファイヤ
  周波数変換部の局部発振器に水晶発振器を使用する場合、小容量の可変コンデンサを付加して、 発振周波数を僅かに調整し、中間周波数に変換されたSSB波と復調用局部発振周波数の関係を、 送信側における関係と同様にして復調出力の明りょう度をよくするように調整する回路。
• 復調器
  リング復調回路と呼ばれているものが使用され、平衡変調器とも呼ばれる。 これはSSB送信機で使用される平衡変調器と同じもの。

FM電話受信機

FM受信機の構成

• 振幅制限器
  振幅の変動を除去して、一定の振幅としてS/Nの改善や復調された信号波にひずみが生じるのを防ぐ回路。 FM波の復調をおこなう周波数弁別器の前段に設けられる。
• 周波数弁別器
  FM波の復調には周波数の変化を振幅(電圧)の変化に変換するが、これを検波して信号波を取り出す回路。
• スケルチ回路
  FM受信機に入力波がなくなると(または一定以下の実用にならない弱い電波を受信するとき)、 振幅制限器の振幅制限の作用がなくなり、復調出力(周波数弁別器)に大きな雑音が現れる。 このような場合、自動的に低周波増幅作用を含めて、雑音を消去するための回路。
• デェンファシス回路
  復調された信号波出力のうち高い周波数成分を減衰させると共に、高い周波数成分の雑音も減衰させる回路。 S/Nの改善をする。