第5章 送信機
送信機は、高周波のエネルギーを発生して、これを相手に伝える信号で変調し、
アンテナから電波として放射する機器である。
送信機を大きく分けると、通信信号として符号を用いる電信送信機、音声そのほかの
音響を用いる電信送信機の二つになる。その他、ファクシミリ送信機やテレビジョン送信機がある。
AM電信送信機
- 送信機の構成は?
- 電けん操作回路
- エミッタ回路を断続する方法
- ベースバイアス電圧を変化する方法
- コレクタ回路を断続する方法
- 高周波の通路にダイオードを用いて順方向のバイアスをかけたり、逆方向のバイアスをかけたりして
高周波を断続する方法
- 出力波形の異常
- チャッタリングが発生
- 電源電圧の降下
- リプルが大きい(電圧が脈動している)
- 寄生振動が発生している
- キークリックが発生している
- ブレークイン通信方式
符号のスペース時には送信機の動作は停止し、アンテナは受信機に接続され、受信状態となる。
符号のマーク時には受信機の動作は停止し、アンテナは送信機に接続され、送信機は動作して
アンテナから電波が発射する。
- 通信方式
- PSK(Phase Shift Keying)方式
搬送波の位相を電信符号のマーク、スペースに応じて、あらかじめ定められた
位相に編移させる。
- FSK(Frequency Shift Keying)方式
搬送波の周波数を電信符号のマーク、スペースに応じて、あらかじめ定められた
周波数に編移させる。
- on-off方式
搬送波を電信符号のマーク、スペースに応じて断続させる。
- A2方式
電信符号のマーク、スペースに応じて断続した変調用可聴周波数で搬送波を振幅変調する、または
可聴周波数で搬送波を振幅変調した被変調波を電信符号のマーク、スペースに応じて断続する。
AM電話送信機
- 送信機の構成は?
- 低電力変調方式
電力増幅器より前の中間増幅器で変調をおこない、ここで得られた被変調波を次段の電力増幅器で
直接増幅する方式。電力増幅器はB級で動作させる。
- 高電力変調方式
終段の電力増幅器で変調をおこない、その出力を空中線へ送る方式。
SSB電話送信機
- 送信機の構成は?
- SSB波
抑圧搬送波SSB方式
- 付加装置
- スピーチクリッパ
- トーン発振器
- 添加搬送波装置
- ALC回路
- AM通信方式に比べた特徴
- 占有周波数帯幅が半分である
- 相互の混信が軽減する
- 送信電力が節約
- 送話するときだけ電波が発射される
- 受信側で信号対雑音比が改善される
- 選択性フェージングの影響が少ない
- 多重通信が容易
- 音声と雑音が交互に受信されることがある
- 送受信機が複雑になる
- 送受信機の調整が難しい
FM電話送信機
- 送信機の構成は?
- 直接周波数変調方式
- 間接周波数変調方式
- IDC(瞬時編位制御)回路
最大周波数編移が規定値以下となるようにする。
- AFC(自動周波数制御)回路
- AM通信方式に比べた特徴
- 衝撃性雑音の妨害を受けにくい
- 変調に要する電力が少ない
- 回路の非直線性によるひずみの発生が少ない
- 伝送途中のレベル変動がある範囲ならば、復調出力レベルがほぼ一定
- 占有周波数帯幅が広くなる
- 混信妨害に対しては、妨害波の方が弱いときはまったく妨害を受けないが、
妨害波の方が強いときは、妨害波のみ受信できて、相手の受信はまったくでないようになる
TVIに対する送信側の対策
- 寄生振動が起こらないようにする。
- DSB送信機は、過変調にゆらないようにする。
- スプリアス発射を抑えるため、空中線の給電線にフィルターやウェーブトラップまたは高周波トラップを
挿入する。
- 終段部(電力増幅部)の同調回路と空中線結合との結合を疎にする。
- 送信機(VFO、水晶発振部、周波数逓倍部)のシールドを完全にする。
- 電信送信機は、キークリックが発生しないようにする。
- 電源を通して、電灯線へ高調波が漏れないようにローパスフィルター(LPF)を挿入する。
- 終段部(電力増幅部)の励振電力を過度にしない。
- 送信機の調整を正しくとり、接地を完全にする。
- 同軸給電線やアンテナ接合器を用いる。
- 送信アンテナとテレビ受像機のアンテナや電灯線との間をできる限り遠ざける。
- 送信アンテナになるべくビームアンテナを用いて、テレビ受像機の方向へ電波が放射
されないようにする。
- 空中線電力は、必要最小限にする。
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