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22.彩は匂へど−其角と一蝶No.2− 23.晴れの日には−藍千堂菓子噺No.2− 24.錠前破り、銀太−錠前破り、銀太No.1− 25.恋糸ほぐし 26.鯖猫長屋ふしぎ草紙(二) 27.錠前破り、銀太 紅蜆−錠前破り、銀太No.2− 28.鯖猫長屋ふしぎ草紙(三) 29.鯖猫長屋ふしぎ草紙(四) 30.鯖猫長屋ふしぎ草紙(五) |
【作家歴】、花合せ、三悪人、緋色からくり、数えからくり、散り残る、春疾風、三人小町の恋、とんずら屋弥生請負帖、質草破り |
盗人、翔ぶ梅、とうざい、鯖猫長屋ふしぎ草紙、甘いもんでもおひとつ、とんずら屋請負帖−仇討−、半可心中、酔ひもせず、長屋狂言、八万遠(やまと) |
錠前破り銀太−首魁、あなたのためなら、縁切寺お助け帖、鯖猫長屋ふしぎ草紙(六)、鯖猫長屋ふしぎ草紙(七)、かっぱ先生ないしょ話、縁切寺お助け帖−姉弟ふたり−、鯖猫長屋ふしぎ草紙(八)、鯖猫長屋ふしぎ草紙(九)、大福三つ巴 |
紅きゆめみし、古道具おもかげ屋、想い出すのは、鯖猫長屋ふしぎ草紙(十)、子ごころ親ごころ、鯖猫長屋ふしぎ草紙(十一)、わかれ道の先 |
「まっさら−駆け出し目明し人情始末−」 ★★☆ |
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上手いなぁ、本当に上手い! 主人公を始め、登場人物たち各々の人物造形がすごく良い。そのうえ、真っすぐなミステリと思いきやその背後にはもっと深刻な疑惑があったという複層構成。そして最後には、清濁合わせ大きく呑みこんでしまうような広がりある結末。 文庫書下ろしというのは余りに勿体ない、と思う次第。 つい1年前まで掏摸を生業としてきた六松、十手持ちにしては珍しく清廉潔白な人物という評判をとる“稲荷の紋蔵”に見こまれてその手下に。1年におよぶ見習い期間を経てようやく一人住まいを許されます。 ところが、六松が住むことになった根来長屋で亀吉という住人が溺死。何故かその弔い一切が六松に押し付けられます。 何らかの事情があるらしいのですが、どうも六松はその事情から遠ざけられているらしい。 そこから六松は、初めて自力でその謎に立ち向かうことになります。 その六松の口癖は「真っ平、真っ新(まっさら)」。以前の生業はすっかり忘れ去り、目明しの手下として精進し、新しい真っ当な人間になるという決意を自分に戒めるための言葉です。 いうなれば、六松を主人公にした時代もの青春&成長・再生ストーリィ+ミステリという趣向。 終盤、新たに六松の眼前に立ち塞がった謎には、六松だけでなく読み手まで引きずり込まれ、ついつい不安を感じさせられてしまう処がお見事。 ※再び会いたい登場人物(紋蔵、千枝、新助、おみつ等々)ばかりですが、田牧大和さん、これまでも簡単に折角の作品を単発で終わりにしてきています。さて、本作品についてはどうなのでしょう? 続編を是非期待したい処です。 事の始め壱/事の始め弐/1.亀吉/2.久太と庄次/3.貫平/4.佳江/結び |
「彩(いろ)は匂へど−其角と一蝶−」 ★★ | |
2019年02月
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「酔ひもせず−其角と一蝶−」を読み終えた時、折角の魅力的人物コンビなのに今回も単発で終わるんだろうなぁと書いたのですが、予想外の第2弾。 ただし、続編ではなく、絵師で幇間でもある“暁雲”こと多賀朝湖と芭蕉の一番弟子である宝井其角の出会い時に遡る前日譚というのですから、田牧大和さん、中々こちらの予想どおりには動いてくれません。 吉原の紅花太夫から、俳諧師=芭蕉門下に暁雲と気の合いそうな人物がいあると教えられ、その相手である其角に会うため、深川に移ったばかりの芭蕉庵を訪ねて行きます。 するとその庭に琉球の装束を身に着けた若い女が立っているのを暁雲は見いだしますが、一瞬の後にその姿は消えているという不思議な出来事が。 あの女は芭蕉一門に災いをもたらそうとしているものなのか、あるいは悪戯か・・・・。 暁雲と其角が初めて顔を合わせ、謎を追う内に相互理解と友情を深めていくという展開は、「酔ひもせず」にはなかった新鮮さが感じられます。 それに加えて、10年前の琉球使節で楽師が一人行方不明になった事件の解明という主ストーリィは、珍しい琉球絡みであるだけに興味尽きません。 本書も十分堪能しましたが、今後のシリーズ化が楽しみです。 序の1.望郷/序の2.悔恨/1.連歌/2.追悼(いたみ)/3.幇間/4.琉歌/5.女客/6.蛇(くちなは)/7.返歌/8.月桃/9.首魁/10.旋風(つむじかぜ)/11.再会/結び.漂泊 |
「晴れの日には−藍千堂菓子噺−」 ★★☆ | |
2018年07月
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小さな菓子司<藍千堂>を営む晴太郎と幸次郎の兄弟を主人公にした江戸版スイーツもの連作風時代小説、「甘いもんでもおひとつ」に続く“藍千堂菓子噺”シリーズ第2弾。 お菓子の話になるとこんなに楽しくなるもののだろうか、と思ってしまうのがこの一冊。 冒頭「羊羹比べ」はまさにそうした篇なのですが、「母と似た女」からは晴太郎の一目惚れ → 恋へと一途に傾斜していく様子が描かれていて、これまた楽しい。 晴太郎が恋する相手は、本巻での初登場。その相手=沙菜は、バツイチで5歳の女の子ありという設定ですが、恋の相手である沙菜以上にこの女の子=さちがとても愛らしくて、読むだけで嬉しい、ワクワクします。 ところが晴太郎の恋にはとてつもない難題が立ち塞がっていた。沙菜の元夫は南町奉行所を牛耳る鎧坂竜之介、与力ながら悪党と言って差し支えない人物。晴太郎や沙菜に好意的な人物皆々が、鎧坂故に沙菜母子には関わらない方が良いと忠告する程なのですから。 それでも、菓子作りに対すると同様に沙菜への恋に突進する晴太郎、おかげで危機は本人だけでなく、沙菜母娘や藍千堂、さらに他への影響を及ぼすのですが・・・・。 鎧坂の余りの悪役ぶりにハラハラドキドキ、全くサスペンス小説にも劣らないスリリングさ。晴太郎と幸次郎の兄弟、どんな逆転策を考えだすのやら。 また、本ストーリィの絡みから、兄弟の両親の恋愛物語が、登場人物の口を借りて語られるのが見逃せない処。 藍千堂ますますの発展ストーリィに、親子二代の恋愛劇、さらに悪党対藍千堂チームの対決と、これ以上ないくらいの面白さ満載という一冊。是非お薦めです。 羊羹比べ−人日/母と似た女(ひと)−端午/青の星川−七夕/思い出話−重陽/ひいなの祝い−上巳 |
「錠前破り、銀太」 ★★ | |
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5歳違いの兄弟=銀太と秀次が営む“恵比寿蕎麦”は、菜は美味く、うどんはまあまあだけど、肝心の蕎麦が不味いとあってもうひとつ流行らない蕎麦屋。 蕎麦の不味い原因は茹で過ぎにあるのですが、それにはそれなりの理由があり、銀太という人物に対して読み手の好意を取り付けるには十分な内容です。 そんな2人の幼馴染で泣き虫だった貫三郎は、庶子でしたが嫡男の死により実父を跡を継ぐこととなり、今や北町奉行所で助役の吟味方与力である及川吉右衛門。それでも3人の仲が遠ざかることはなく、勘三郎は今も頻繁に恵比寿蕎麦へ足を運び、時に和気藹々、時に兄弟の知恵を借りるという関係。 折しも起きた借金証文偽造による詐欺事件、連続辻斬り事件を巡り、3人が事件解決のため奮闘するという長編時代ストーリィ。 何と言っても魅力なのは、3人のキャラクターとその仲の良さです。 本書では主役3人以外に、予想もしなかった人物が恵比寿蕎麦に顔を見せます。それは「緋色からくり」の女錠前師=緋名。これはもう田牧ファンにとって、実に嬉しいこと。 魅力的な人物造形がされたというのに作品が単発で終わってしまうというパターンは、田牧作品にあってこれまで幾たびもあったこと。でも本書、せっかく緋名が登場したし、3人の活躍も本書だけではまだまだ物足りませんから、本書の続きはきっとある筈と期待大です。 ※濱次が所属する芝居小屋“森田座”の名前が出てくることも気になります。 事の始め.昔話/1.女客/2.押込み/3.質屋/4.軽業役者/5.追剥/6.壺振り/7.錠前破り/結び.恵比寿蕎麦 |
「恋糸ほぐし−花簪職人四季覚−」 ★★ |
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2018年12月
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花簪職人の忠吉、藤助師匠が突然中気で死去してしまい、師匠の娘とのいざこざがあったため婿養子となって跡を継いだ兄弟子の元にも留まれず、職人として中途半端なまま放り出され、食うにも困る状況に追い込まれます。 そこに救いの手を差し伸べてきたのは、火事で共に孤児となり麻布・大中寺の杉修(さんしゅう)和尚の元で育った幼馴染の大吉、今や和尚の跡を継いで住職となった以風。 料理上手の忠吉、寺男を務める傍ら、大中寺で花簪職人の仕事も続けることになります。 ただ、その大中寺には、一昨年の師走、境内の隅で蹲っていたところを杉修和尚に救われたという少女さきもいた。 耳も聞こえず口も利けず、人を恐れる素振りのさきですが、次第に忠吉に打ち解けてきます。しかし、さきの身の上にどんな事情があったのやら・・・。 格別どうこうというストーリィがある訳ではありませんが、ともかく読んでいて楽しいというのが田牧大和作品の特徴。本書もその例外ではありません。 本作での楽しさの理由は、忠吉、以風、杉修和尚という主要人物の絶妙なトリオぶりにあります。 その3人に加え、いたいけな少女さきと彼女に助けられていつも傍にいる青い瑠璃鳥の「そら」の存在。 連作ストーリィを通して、さきに関わるミステリの味わいがこれまた絶妙なスパイス(※なお、昔の時代小説によくあったお家騒動ではありません)。 藍の鳥/小菊、揺れる/藤結び/野萱草の女/ままごと内儀/大中寺の春 |
「鯖猫長屋ふしぎ草紙(二)」 ★★ |
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田牧大和作品は本当に面白いなぁ、と感じさせられる一冊。 長屋で一番偉く、住人たちから“大将”と呼ばれるサバ猫と、元義賊で現在は絵描きの青井亭拾楽を中心とする、長屋もの連作時代もの「鯖猫長屋ふしぎ草紙」の第2弾。 連作ストーリィであると同時に、各章の冒頭で何者かの独白「打ち明け話」が入り、長編ストーリィ要素も併せ持っているところは前作と同一。とくに本書では“義賊・黒ひょっとこ”に何らかの恨みを抱えているらしく、仕返しを目論んでいるという構図が、本書の複層的な面白さを増しています。 サバと拾楽のキャラが際立っているところが本シリーズの魅力なのですが、周辺人物たちも負けず劣らず中々の個性の持ち主であるところが、その魅力をさらに増しています。 その代表格が、長屋を仕切る大工の女房=おてると、やっとうが苦手で役者並みの「成田屋の旦那」という異名をとる北町奉行所同心の掛井十四郎。 ・「色男、来たる」:鯖猫長屋取り壊しの危機? ・「戯作者、憑かれる」:偽黒ひょっとこが配った金のお陰で、その大工があろうことか吉原で暴走。 ・「猫描き、預かる」:小間物屋が仕入れてきた細工物の中から転がり出た翡翠の玉。持ち主と名乗り出たのは3人・・・。 ・「縞三毛、世話を焼く」:黒ひょっとこの偽物が盗みに入った先で人を傷つけたという噂。ついに拾楽は・・・。 最後、本シリーズはこれで終わりかと覚悟したのですが、無事に事は収まったようです。この後の続刊が楽しみです。 1.色男、来たる/2.戯作者、憑かれる/3.猫描き、預かる/4.縞三毛、世話を焼く |
「錠前破り、銀太 紅蜆」 ★★ |
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“錠前破り、銀太”シリーズ第2弾。 2月の間に亭主が3人も死んだ、という美貌の後家=綾乃。 その綾乃に、銀太・秀次の幼馴染で現在は同心=及川吉右衛門こと貫三郎が取り込まれているらしいという噂を聞いた秀次が、大いに心配だと騒ぎ立てるところから本ストーリィは始まります。 探索なのか、それとも本当に虜にされているのか。 さらに、前作に登場し因縁浅からぬ蓑吉が、<三日月会>が兄弟に意趣返しを企んでいると、面白そうに警告。 そしてそれは、女錠前師の緋名まで巻き込み、とんでもない事態に発展していきます。 最後、事件に巻き込まれた皆を救おうと、危険を顧みず勝負の場へと銀太が乗り込みます。 しかし、その結果、銀太は絶体絶命の危機に・・・・。 いやー、面白かったです。流石は田牧大和!と言うべき哉。 前作で“女錠前師”シリーズの緋名が登場しただけでも嬉しかったのですが、この第2弾ではさらに“濱次お役者双六”シリーズの有島仙雀まで登場。 この仙雀、ただ登場してきただけではなく、安楽椅子探偵さながらの活躍も見せるのですから堪えられません。 ストーリィのテンポ良さ、それでいてスリリングという点では不足なし、そのうえ登場人物の顔ぶれが多彩で楽しいことこの上ありません。 田牧大和作品、やっぱりお薦めです! 断章.壱/1.後家の噂/断章.弐/2.秀次、腹を立てる/断章.参/3.湯島の隠居/4.消えた男/5.女錠前師の心意気/6.祖父と孫娘/7.大村屋の蔵/8.罠/結び.銀太の決心 |
「鯖猫長屋ふしぎ草紙(三)」 ★★☆ |
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いやー、数多くある田牧さんのシリーズもの作品の中にあって、本シリーズは特に面白い! 各章冒頭で「水面ノ下」という表題にて少しずつ描かれる長編ストーリィ要素と、連作短篇ものの面白さと両方を備えた構成。 特に今回は、冒頭部分の不気味かつミステリアスな雰囲気に、思わずぞぞっ!とさせられます。 ・「出戻り文箱」:米問屋の堺屋から蝋燭問屋の六角堂へ嫁いだ知佳の亡き妹=お蝶の遺品である文箱が、誰も知らずうちに毎度堺屋へ戻ってしまう。皆が恐れを抱くこの奇々怪々な出来事の真相は。手伝い奉公を頼まれたおはまの縁で、拾楽が関わります。 ・「鯵の三枚おろし」:おはまの兄=貫八が浪人者の妻女に岡惚れ。単なる岡惚れだけで済めば良かったのですが・・・。 ・「長屋の花火」:鯖猫長屋一同で船から隅田川の花火を楽しんだ夜、船酔いして降りたおはまと拾楽の前に、六角堂の若旦那=千之助が姿を現し・・・。 ・「猫かぶり」:あの男が恐ろしい、拾楽との約束を守って必死に深川のニキ旦那を頼ろうと急ぐおはまとサバの前に、ついにその男が・・・。 本作品の主人公が、売れない画家の青井亭拾楽であることは間違いありませんが、主役と言うべき存在は長屋の皆から「大将」と呼ばれる雄猫のサバであることは明らか。 本巻においても、サバが何度も拾楽を使って、稀には自ら買って出て、事件解決のために活躍します。 この猫のサバの風格、スーパーヒーローぶりには毎度ながら、惚れ惚れします。 サバと拾楽、そしてサバの妹分であるお転婆仔猫さくらの様子がとても楽しい。それに加え、皆からいい娘、敏い娘といわれるおはまが絡む展開が、これまた魅力的。 2匹と2人以外の登場人物も、一人一人個性的で生き生きと動き回っているところは、田牧大和さんの上手さに他なりません。 本シリーズ、1作目から、是非お薦めです。 1.出戻り文箱/2.鯵の三枚おろし/3.長屋の花火/4.猫かぶり |
「鯖猫長屋ふしぎ草紙(四)」 ★☆ |
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シリーズ第4弾。 本シリーズの魅力は何といっても鯖猫“サバ”と、その妹分であるお転婆仔猫さくらの存在感にありますが、余りに皆がサバにひれ伏してしまうような展開になると、少々鼻白む感が無きにしも非ず。 さて本巻、冒頭から仲の良い利助・おきね夫婦にのっぴきならぬ喧嘩が生じる等、長屋にいろいろと懸念すべき問題が続きます。 どうもその背後にいて、それらを使嗾しているらしいのが、今評判の呪(まじな)い師だという柳斎。しかもその柳斎、狐憑きらしいという噂。 そして、柳斎に近づくたび、拾楽の体の具合がひどく悪くなる。一体、それは何故なのか。 シリーズ各巻に較べると、本巻についてはちょっとすっきりしない部分が残ります。 それでも、好きなシリーズの中の巻ですから、それなりに楽しめました。次巻も引き続き楽しみです。 ・「包丁騒動」:おきねが、調理人である亭主=利吉の包丁を掴んでという夫婦喧嘩。一体何が・・・。 ・「猫又志願」:さくらが怪我? さくらが将来猫又という妖怪になりかねない、今のうちにという噂が長屋の外で・・・。 ・「磯の鮑」:水戸家の中屋敷、かつて若殿が可愛がった犬の牛若が何やら荒々しくなって収まる気配がない。その相談を拾楽が預かる羽目に。 ・「新たな子分」:ついに柳斎と拾楽とサバのコンビが対決。 一方、毎巻お馴染みの長編ストーリィ要素は、家族を失い不遇な状況に置かれた娘の復讐譚? 1.包丁騒動/2.猫又志願/3.磯の鮑/4.新たな子分 |
「鯖猫長屋ふしぎ草紙(五)」 ★☆ | |
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シリーズ第5弾。 いつもどおり、連作短篇+長編ストーリィ要素という構成をとっていますが、今回は実質長編もの。 その背景を各章冒頭(長編要素)で触れる、という内容です。 今回登場する強力な敵役は、女盗賊のあざみ。 かつて義賊“黒ひょっとこ”だった頃の青井亭拾楽も関わったことのある盗賊仲間で、人の心を手玉に取って盗みを犯すという、実に手の負えない相手。 そのあざみを消す、ついては協力しろと拾楽に脅しをかけてきたのが、今も奉行所の臨時廻りを勤めるニキのご隠居。定町廻り同心である掛井十四郎まで拾楽に圧力をかけてきます。 一方、あざみは見晴屋のお智をだしにして、自分の盗み計画に協力しろと拾楽に脅しをかけてきます。 全く拾楽にとっては実に難儀な状況。 そんな苦しい状況を拾楽はどう凌ぐのか、またどうやってあざみに逆転を喰らわすのか。 そして、それにどうサバは関わるのか、というのが興味処。 拾楽らとあざみの対決には息を呑むところがありますが、一方、本作ではサバの活躍ぶりが今一つ物足りず。 そうとはいっても本シリーズ、長屋仲間や個性的な同心らも登場するうえ、大将猫のサバと子分猫さくらが自由気ままに彼らの間を歩き回るという展開の面白さが、いつまでも褪せません。 次回作が楽しみです。 ・「隠居の覚悟」:ニキのご隠居が拾楽に決死の覚悟を告げる。 ・「見晴屋の災難」:お智が売り出した新商品=蓬長寿饅頭が大評判。おかげでとんだとばっちりが・・・。 ・「迷子の犬」:かつて起きた幼児失踪事件、それが本ストーリィにどう関わるのか? ・「盗人の打ち明け話」:ついにあざみとの対決場面へ。 ※各章冒頭部分は、桜の木がかつて知った幼児に近づく危険を知り、サバにその保護を頼む、というもの。 1.隠居の覚悟/2.見晴屋の災難/3.迷子の犬/4.盗人の打ち明け話 |
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