|
22.すべての神様の十月 24.ヒア・カムズ・ザ・サン−東京バンドワゴンNo.10− 25.怪獣の夏 はるかな星へ 26.ロング・ロング・ホリディ 27.アシタノユキカタ 29.ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード−東京バンドワゴンNo.11− 30.ラブ・ミー・テンダー−東京バンドワゴンNo.12− |
【作家歴】、東京バンドワゴン、東京公園、シー・ラブズ・ユー、スタンド・バイ・ミー、マイ・ブルー・ヘブン、リライブ、オール・マイ・ラビング、ピースメーカー、オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ、東京ピーターパン |
花咲小路四丁目の聖人、荻窪シェアハウス小助川、レディ・マドンナ、キシャツー、つむじダブル、スタンダップダブル!、蜂蜜秘密、フロム・ミー・トゥ・ユー、札幌アンダーソング、スタンダップダブル!甲子園ステージ |
東京カウガール、マイ・ディア・ポリスマン、花歌はうたう、駐在日記、ヘイ・ジュード、春は始まりのうた、アンド・アイ・ラブ・ハー、あの日に帰りたい、夏服を着た恋人たち、国道食堂 1st.season |
<銀の鰊亭>の御挨拶、三兄弟の僕らは、イエロー・サブマリン、国道食堂 2nd.season、グッバイ・イエロー・ブリック・ロード、君と歩いた青春、明日は結婚式、隠れの子、すべての神様の十月(二)、ハロー・グッドバイ |
ペニー・レイン、からさんの家−まひろの章−、からさんの家−伽羅の章−、マンションフォンティーヌ、すべての神様の十月(三)、キャント・バイ・ミー・ラブ、バイト・クラブ、A DAY IN YOUR LIFE |
21. | |
「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ−東京バンドワゴン−」 ★★ |
|
2016年04月
|
古書店+喫茶店を大勢の家族で営んでいる堀田家の賑やかな揉め事相談&奮闘記「東京バンドワゴン」第9弾! 本シリーズについては、頁を開き、語り手である堀田サチの言葉を聞くだけで楽しい気分になってきます。 ・雑誌記者=木島の知人である女性ノンフィクションライターの仁科由子が新たに登場、バンドワゴンを囲む人の環がまた膨らむようです。 |
22. | |
「すべての神様の十月」 ★★ |
|
2017年09月
|
「すべての神様の十月(ニ)」を図書館に予約した後、どうせなら前巻も、と読んだ次第です。 ちょうど重いストーリィ、分厚い頁数の本を続けて読み終えたところでしたので、軽い割に充分楽しむことのできる小路作品を読むと、ホッとします。 日本古来のいろいろな神様と、それと出会った人間との絡み合いを描いた6篇。 「神様」というと、人間から超越した存在と思う処ですが、本作に登場する神様たち、とても人間くさい。 そこが本作の面白いところで、さらに神様たちの裁き具合が実に上手い! この辺りは小路幸也さんならではのところです。 各篇は、それぞれに登場する人間たちのドラマですが、全体を通してみると神様たちのドラマ、という二重構造になっています。 時折出くわし、会話を交わす神様たちのやりとりも面白い。 死神、貧乏神、疫病神というと、敬遠したい神様と考えるところですが、本書に登場するそれら神様たち、一般のイメージとは大きく異なり、人間の為になっている神様、という存在なのです。 また、本書に登場する神様たち皆、実は人間より余程不自由な存在らしい。 本書中では、「ひとりの九十九神(つくもがみ)」が一番楽しかったです。それに次ぐのは「福の神の幸せ」でしょうか。 続巻の「(二)」も楽しみです。 幸せな死神/貧乏神の災難/疫病神が微笑む/動かない道祖神/ひとりの九十九神/福の神の幸せ |
23. | |
「札幌アンダーソング 間奏曲」 ★ |
|
2017年01月
|
4代前からの記憶を受け継ぐという天才少年=志村春を主人公とした「札幌アンダーソング」の続編。 「札幌の雪堆積場に死体を埋めた」という謎の手紙が警察に届きます。それが事実であるかどうかを確かめるのはそう簡単なことではない、かなりの経費が掛かること。 前作の事件で結局、天才的な犯罪者である北道大学の院生である山森との決着はつかぬまま。 今回もすっきりしない形で事件の幕は下りるのですが、到底面白いとは思えず。 |
24. | |
「ヒア・カムズ・ザ・サン−東京バンドワゴン−」 ★☆ |
|
2017年04月
|
毎年この時期恒例の“東京バンドワゴン”シリーズ、第10弾。 さて第10弾、堀田家の新アイドル=かんなと鈴花は共に4歳となり、幼稚園通い。 本書で唯一不穏な出来事はというと、東京バンドワゴンの店を突然に宮内庁の役人が訪れてきたことから。勘一、我南人だけでなく、IT企業の社長である藤島やその朋友である三鷹をも含む騒動を巻き起こします。もっとも、本シリーズとしてはそれ程大きな事件にはならず、あっさりと片付いてしまった観あり。 本書中で最大の見ものは、最近大人しくなっていた花陽が、堀田家の男ども全員を前に強烈な啖呵を切る場面。 |
25. | |
「怪獣の夏 はるかな星へ」 ★☆ |
|
著者初の怪獣小説。 時は1970年の夏、工業地帯にある一地方都市<杉郷市糸価町>が舞台。ちょうど公害問題が起き始める頃です。 この町に住む元気な小学5年生、ナナロー、ユリコ、マット、アキコの4人が主人公。 ユリコの弟=タックンが偶然見つけた、ドブ川の下水口の壁に描かれた怪獣の絵。それは見事な出来の絵でしたが、いったい誰がどんな目的でこんな場所に描いたものなのか。 それから幾つも、同じような怪獣の絵を4人は発見します。 異星人、怪獣、公害問題、かつての特撮怪獣映画を彷彿させるような少年少女による、夏休み冒険物語が展開していきます。 彼らを助けるのは、謎を持つ美大生のハヤトに桐島写真館のキリシマさん。 本編が<ウルトラマン>、<ウルトラセブン>のオマージュであることはまず疑いないところ。節々に、そう思わせるセリフが登場しますから。 本格的な怪獣小説というより、あくまで少年少女向け怪獣小説というところでしょう。 |
26. | |
「ロング・ロング・ホリディ」 ★★ |
|
大学時代の4年間、長い人生から振り返るとほんの一時期に過ぎないのでしょうけれど、その時代をどう過ごしたかによってその後の人生の豊かさ具合も変わって来るのではないでしょうか。 本書は、そう物語るような大学青春ストーリィ。 札幌の大学生コウヘイは、大学以外の時間の殆どを喫茶<D>でのバイトで過ごしている。そこは店長や先輩仲間たちがしっかりコウヘイを鍛えてくれる場所。 その<D>に、東京の短大へ進学して以来一度も旭川の実家に戻ることのなかった6歳上の姉が突然現れ、コウヘイの部屋に泊めてくれと。 7年ぶりの姉との再会。そこから、本ストーリィが動き出します。 敬愛する岡本店長が榊社長と喧嘩し、店を辞めるという事態が発生。原因は金と女のことらしい。そこにどんな真相があるのか。また、常連客の女子高生ヒロコは、どんな悩みを抱えているのか。 そして、姉の美枝は何故、東京での仕事を放りだして札幌にやってきたのか・・・。 それらの問題に、コウヘイと<D>のバイト仲間らが一丸となって取り組んでいくストーリィ。 場当たりではなく、真剣にどう行動するか考え、自分たちの立場と取れる責任を踏まえて行動しようとする彼らの姿が素晴らしい。 コウヘイの他、ナオキさん、ブチョウ、エドらのバイト仲間、大学先輩の恭子さん、そして姉の美枝という個性的な青春群像が魅力的。 また、本書を読み進んでいくうちに、まるで彼らの仲間の一人になったような気分になれるところが実に嬉しい。 小路さんらしい青春ストーリィ。ワクワクするような楽しさを味わえること、請け合いです。 1981年 札幌 六月/1982年 札幌 九月 |
27. | |
「アシタノユキカタ」 ★☆ |
|
セクハラ疑惑で教職を辞職せざるをえなかった片原修一の部屋を突然訪ねてきたキャバ嬢の由希。彼女は10歳の少女あすかを連れていたが、そのあすかはかつて修一が高校教師だった頃の教え子=鈴崎凛子の娘。由希は凛子の親友で頼まれてあすかを預かっているという。 その凛子が帰省した熊本で急遽入院。そのため、あすかを熊本まで連れて行って欲しいというのが由希の頼みごと。修一と鈴崎凛子の間にはかつて修一が個人的に彼女を保護していたという特別な関係があったという事情を由希が知るが故。 そこから、それぞれに訳有り事情を抱えた主人公と由希、そしてあすかという3人による、札幌から熊本まで軽自動車による日本列島縦断の旅が始まった・・・。 最初こそスリリングでしたが、ストーリィ全体を通してみれば割りと単純で、大きなドラマがある訳ではないのですが、主人公と由希、そしてあすかという奇妙な3人組によるロードノベルという点が楽しい。 加えて気持ち良く感じられるのは、主人公と由希の2人が、自分の身のことをさて置いて、大事な人の幸せのために尽くそうとしている点です。 本来はいろいろ難題が降りかかって不思議のないストーリィである筈なのに、快調にハッピーエンドへ向かってしまう。 それを不満とする意見もあろうかと思いますが、その分テンポよくストーリィが進んだという点は快さに繋がっています。 ちょっとスパイスの効いた、テンポ良いロードノベル。 あすかを熊本まで送り届けるという奮闘をした主人公と由希の2人にも、是非幸いあれとエールを送りたい気分です。 |
28. | |
「札幌アンダーソング ラスト・ソング」 ★☆ |
2016/04/24 |
4代前からの記憶を受け継ぐという天才少年=志村春を主人公とした「札幌アンダーソング」「札幌アンダーソング間奏曲」に続く三部作の完結編。 当然ながら、天才的な犯罪者である北道大学院生の山森晴行と志村春との闘いの終止符は如何につくのか、が関心どころ。 冒頭、主人公である仲野久刑事が2度デートしたことのある元同級生が転落死するという事件が発生し、他殺か自殺かが問題に。さらに、普通の主婦が銃殺されるという事件が発生し、何と仲野久が事件との関係を問われるという事態に。 流石に完結編ともなると冒頭からサスペンススピード全開かとワクワクしたのですが、その後の展開はともかくとして、いつの間にか終盤へ。そして予想外にあっさりと結末を迎えてしまう。 この三部作、途中で面白そうと期待するのに、最後はいつも不燃焼のまま終わってしまう観あり。 完結編においてもそれは変わらなかったか、と思う次第です。 |
29. | |
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード−東京バンドワゴン−」 ★★ |
2018年04月
|
四世代にわたる大家族の堀田家の皆に会えるのが毎年の楽しみである、恒例の“東京バンドワゴン”シリーズ第11弾。 今回は、東京バンドワゴン初代店主である堀田達吉の名前が突然飛び出してくると思えば、別の篇では2代目店主=堀田草平の名前が飛び出すと、中々賑わしい。 双子姉妹のようにいつも一緒で仲の良い従姉妹同士のかんなと鈴花は幼稚園の年中組、朝から家の中を駆けずりまわって堀田家の毎日に良いアクセントになってくれています。 今回、堀田家が代々抱える秘密に少々触れられますが、だからといって特別にドラマチックな展開があるという巻ではありません。 それより後半2篇にて、堀田家4世代目の旗頭である花陽と研人が将来に向かって具体的に足を踏み出すという顛末が描かれているのがファンとしては見逃せません。 特に鮮やかなのは、研人にまつわる部分でしょうか。 さあ、次の巻ではどのような展開があるのか、今から楽しみです! ※なお、シリーズ刊行10年を記念しての初回限定特典、書下ろしショートストーリィ「夢もうつつもひとつ屋根の下」は、シリーズの語り手である堀田サチが死去した後の、初七日法要の一幕を描いた掌篇です。 春−花も嵐も実の生る方へ/夏−チャーリング・クロス街の夜は更けて/秋−本を継ぐもの味なもの/冬−ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード *付録:番外編ショートストーリィ「夢もうつつもひとつ屋根の下」 |
30. | |
「ラブ・ミー・テンダー−東京バンドワゴン−」 ★★ |
|
2019年04月
|
“東京バンドワゴン”シリーズ第12弾。 今回は、ファンにとって待望の巻、と言って良いでしょう。 何しろ第1巻からずっと謎の存在であった、我南人の妻であり、藍子や紺たちの母親であった故・秋実について、ようやく語られるのですから。 孤児で高校3年生だった秋実がどのようにして我南人と出会ったのか? そして、どのような過程を経て我南人と秋実が結婚するに至ったのか。その間に、どんな冒険があったのか。 ストーリィに興味津々とあって、とても楽しい。 我南人はまだ20代前半、我南人のロックバンド<LOVE TIMER>もまだ売り出し中とあって他のメンバー共々若々しい限り。勘一の妻であるサチも、主婦兼バンドマネージャーとして元気です。 ただ、なんとなく寂しいのは、堀田家が勘一・サチ夫婦と一人息子の我南人だけということ。その分、我南人のバンドメンバーが足繁く出入りし、近所に下宿している大学生3人が臨時に堀田家に食事の世話になりに来ていると賑やかさを演出していますが、4世代同居、喫茶店も併設しているうえに多彩な人物たちが始終出入りしている現在の堀田家とは比べるべくもありません。 第一、朝の食卓での、皆の会話が入り乱れるという景色がありませんから。 それでも秋実という女の子が充分に魅力的、我南人とのやりとりも楽しい限りです。 プロローグ/1.Don't Be Cruel/2.Can't Help Falling In Love/終章.Love Me Tender/エピローグ |
小路幸也作品のページ No.1 へ 小路幸也作品のページ No.2 へ
小路幸也作品のページ No.4 へ 小路幸也作品のページ No.5 へ