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2.ラッシュライフ 4.重力ピエロ 6.チルドレン 7.グラスホッパー 8.死神の精度 9.魔王 10.砂漠 |
終末のフール、陽気なギャングの日常と襲撃、フィッシュストーリー、絆のはなし、ゴールデンスランバー、モダンタイムス、あるキング、SOSの猿、オー!ファーザー、バイバイブラックバード |
マリアビートル、3652、仙台ぐらし、PK、夜の国のクーパー、残り全部バケーション、ガソリン生活、死神の浮力、首折り男のための協奏曲、アイネクライネナハトムジーク |
キャプテンサンダーボルト、火星に住むつもりかい?、ジャイロスコープ、陽気なギャングは三つ数えろ、サブマリン、AX、ホワイトラビット、クリスマスを探偵と、フーガはユーガ、シーソーモンスター |
クジラアタマの王様、逆ソクラテス、ペッパーズ・ゴースト、マイクロスパイ・アンサンブル、777、楽園の楽園 |
●「オーデュボンの祈り」● ★★☆ 新潮ミステリー倶楽部賞 |
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2003年12月
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他には見られないような新感覚のミステリ。 理屈抜きに惹きつけられ、読み進む中に居心地の良さを感じるところが、何とも言えない魅力です。 コンビニ強盗未遂で逃走中の伊藤が目を覚ましたのは、江戸時代から外部との接触を絶っているという、萩島にあるアパートの一室。 この萩島に住むのは、奇妙な人々ばかり。年中嘘ばかりついている画家、悪人の射殺を黙認されている男、等々。そして極めつけは、言葉を喋り、未来を見通す、カカシの優午という存在。 舞台の荻島は、不条理な世界。つい、カフカ「城」の世界を思い出してしまいます。まるでカフカ+ミステリという気分。 安らぎと解決をもたらすその結末は、新しいミステリの登場を確信させてくれます。お薦め。 |
●「ラッシュライフ」● ★★ |
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2005年05月
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帯の紹介文には「解体された神様、鉢合わせの泥棒、歩き出した轢死体、拳銃を拾った失業者、拝金主義の富豪−。バラバラに進む五つのピースが、最後の一瞬で一枚の騙し絵に組み上がる」とあります。 確かにその通り。5人の主要人物による5つのストーリィが、交互に絡み合うようにして進んでいきます。 各々のストーリィ、サスペンスと言ったら良いのか、それとも犯罪小説と言うべきか。結局はそのどれとも言えないようです。 ハラハラドキドキする場面が幾度もありますが、どこかノホホンとしてユーモラス。“袖触れ合うも多生の縁”とでも言うべき5人の関わり合いがどう読者の前に展開されていくのか、読み進むに連れてどう謎解きされるのか、という点に本作品の面白さがあります。 複数の、そして時間が相前後するストーリィを、“騙し絵”の如く一つに嵌め込んだところに、伊坂さんの腕の冴えがあります。 ※複数のストーリィが最後に収斂する作品として恩田陸「ドミノ」を思い出しますが、こうした手の作品はたまに読むと実に楽しいものです。なお、「ドミノ」と異なり、本作品の魅力がその巧妙な仕掛けにあることは、言うまでもありません。 |
●「陽気なギャングが地球を回す」● ★★ |
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2006年02月 2004/02/14 |
銀行強盗団4人組を主人公とした、明るい犯罪小説。
その4人が、スピーディかつスマートに銀行強盗に成功したと思ったら、逃走途中に現金輸送車襲撃犯と衝突事故を起こし、折角の現金を車ごと奪われてしまう。 遭遇事故の裏にはどんな仕掛けがあったのか。 |
※ 映画化 → 「陽気なギャングが地球を回す」
●「重力ピエロ」● ★★ |
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2006年07月
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家族小説?、ミステリ?、それとも兄弟2人の青春小説? 正直なところ、そのどれとも言い難い小説です。 本作品の珍しいところは、短く章が切られ、そのひとつひとつに内容を端的に表す章題が振られていること。その所為か、とてもテンポ良く読み進みます。 なお、楽しく生きていれば、重力など無関係にふわりふわりと軽快に動き回ることができる、というのが本書題名の意味らしい。 |
●「アヒルと鴨のコインロッカー」● ★★ 吉川英治文学新人賞 |
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2006年12月 2004/01/24 |
大学入学のためアパートに入居したら、なんと最初に知り合った隣人から書店襲撃に誘い込まれた、というのが出だし。 そのままストーリィは、大学1年生である僕(椎名)が語る現在と、ペットショップ店員のわたし(琴美)が語る2年前と、交互に語られていきます。 隣人が書店を襲撃した理由は何なのか、そこに至る経緯を僕は探らずにはいられません。そして一方、わたしが巻き込まれた2年前のペット虐殺事件。その結末はどうなるのか。 ミステリ小説というより、ストーリィ展開自体にミステリの妙味がある小説、と言うべきでしょう。 |
●「チルドレン」● ★☆ |
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2007年05月
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「短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。伊坂幸太郎」と帯の裏には書かれています。 素直に読むと、主人公を数人で持ち回りする連作短篇集、としか思えないのですが、はて? ストーリィはどんなものかというと、サスペンスやミステリという程ではありませんが、各篇毎にミステリ的な落ちが用意されている。かといって、日常ミステリという感じでもない。 そのいずれとも分類できない、同じような作品は何処にもない、といった雰囲気が伊坂作品の魅力なのですが、本書で伊坂さんが意図するものは何なのか? まるでこの小説自体がミステリ、といった風です。 以下は私なりの解釈ですが、ネタばらしになっているかもしれませんので、ご注意の程。 バンク/チルドレン/レトリーバー/チルドレン2/イン |
●「グラスホッパー」● ★★ |
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2007年06月
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コメディなのか、シリアス・ドラマなのか、それともやはりサスペンスか、そのどれとも言えない新感覚の殺し屋ストーリィ。
本作品には、いろいろなタイプの殺し屋たちが登場します。 最初に読む時は戸惑いつつも、2回目に読む時はもっと細部まで楽しめるに違いない。 |
※ 映画化 → 「グラスホッパー」
●「死神の精度 ACCURACY OF DEATH」● ★★☆ 日本推理作家協会賞短篇部門 |
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2008年02月
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読み始めてすぐ、これはいい! と思いました。 上質で独創的なデザイン、それでいて価格はお手頃という、掘り出し物を見つけた気分です。
主人公は「千葉」と名乗る死神。命じられた対象者を1週間にわたり調査し、最終的に“死”を「可」とするか「見送り」とするかの決定を下すのが仕事という調査担当。
「死神の精度」は現代都会版シンデレラ?、「死神と藤田」はハードボイルド、「吹雪に死神」はアガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」のパロディ、「恋愛で死神」は純愛もの、「旅路を死神」はサスペンス・パロディ+ミステリ。 死神の精度/死神と藤田/吹雪に死神/恋愛で死神/旅路を死神/死神対老女 ※なお、「死神の精度」で話題に上る「天使は図書館に集まる」という映画は、M・ライアンとN・ケイジ主演の「シティ・オブ・エンジェル」。 |
●「魔 王」● ★☆ |
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2008年09月
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話題になった作品であり、力作とは思うのですけれど、私の好みからすると首を傾げずにはいられない。
犬養という少数野党の若手党首が登場します。その断言的な口ぶり、毅然とした態度から、徐々に大衆の支持を集めつつあるという人物。ファシズムではないけれど、強気で大衆を鼓舞し操ってしまうところはそっくりで、冷静に見ればそうしたうねりが非常な危うさを秘めているのは明らかなこと。しかし、渦中にある大衆はそれに気づかない。 魔王/呼吸 |
●「砂 漠」● ★★ |
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2010年07月 2017年10月
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仙台の国立大学に通う5人の大学生(男3人+女2人)を主人公に、大学生活4年間を春夏秋冬に分けて描いた青春グラフティ。 新たな青春小説登場、という印象の一作です。 5人とも、極めて個性的かつ極端なところあり。 何か意義のあることをやり遂げたということはないけれど、大学生活を振り返った時に決して忘れられない思い出をきちんと残した、そんなキャンパス・ストーリィ。 ※5人は、鳥瞰する習癖の僕(北村)、お調子者の鳥井、周囲から浮いた西嶋、超能力のある南、美人しかし無表情の東堂。 |
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