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21.離婚まで 22.悪女が生まれる時(文庫改題:天使と呼ばれた悪女) 23.ジャンヌ・ダルク暗殺(文庫改題:聖女ジャンヌと娼婦ジャンヌ) 24.パンドラの娘 25.悪女の物語(文庫改題:マリー・アントワネットの娘) 26.変態 |
【作家歴】、ブルボンの封印、逆光のメディチ、コキュ伯爵夫人の艶事、ハプスブルクの宝剣、鑑定医シャルル・シリーズ3作(見知らぬ遊戯・歓びの娘・快楽の伏流)、ウィーンの密使、大修院長ジュスティーヌ、聖戦ヴァンデ、侯爵サド、侯爵サド夫人 |
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●「離婚まで」● |
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2004年04月 |
自分の楽しみを抑え込み、職場と主婦業との両立、ひたすら夫、娘たちに尽くすだけの結婚生活。 30年ぶりの中学校の同窓会に出席するため、久し振りに家を離れて郷里に向かった主人公・可奈子が、抑圧され続けた過去を清算し、新たな気持ちで行き直すことを決意する、というのが本書のストーリィです。
藤本さんにしては珍しい現代ものですが、それだけでなく、表紙帯には「なぜ、こんな結婚をしたのだろう−初の自伝的作品!」とあります。 |
●「悪女が生まれる時」● ☆ |
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2005年04月
2001/10/03 |
本書は、歴史上“悪女”と評価されている2人の女性に関する歴史エッセイ。 2人目のテレジア・タリアンは、上記と対照的。スペイン貴族の生まれで、12歳の頃から性遍歴を始め、気が向くままその時々での隆盛な相手を選び、次々と男達を乗り換えていきます。「テルミドールの聖母」というのは、革命時の民衆が彼女を誤解してつけた呼び名。その後は革命議員タリアンの威勢に乗っかり、「第2のマリー・アントワネット」と呼ばれたというのですから、好き勝手やり放題、という女性だったのでしょう。でも盛りを過ぎた後は領地で安穏に暮らし、61歳まで生きたとのこと。その点でも、貴族の名前を持ちながら貧乏暮らしだったシャルロットとは、エライ違いです。 「暗殺の天使」シャルロット・コルデー/「テルミドールの聖母」テレジア・タリアン |
●「ジャンヌ・ダルク暗殺」● ★☆ |
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2001/11/24 |
藤本さんにおいては、既に「ジャンヌ・ダルクの生涯」という歴史エッセイが刊行されているので、まさか小説が登場するとは思いも寄りませんでした。 そしてまた、本格的歴史小説という面でこのところ低迷していただけに、久々に藤本さんらしい長篇歴史小説という点で本書は印象に残る作品です。 主人公であるジャンヌは、10歳の頃から従軍娼婦として生きてきて、神など存在しないという考えの持主。そのジャンヌの前に姿を現したのが、神の使いと名乗るラ・ピュセル(=ジャンヌ・ダルク)です。 本書は、敬虔に神を信じる立場のジャンヌ・ダルクと従軍する名門貴族アルチュール・ドゥ・リュッシュモン、神の存在など信じない立場の娼婦ジャンヌと従軍貴族ジル・ドゥ・レ、その両者を対立軸として描きながら、百年戦争におけるジャンヌ・ダルクの奇跡を現実的に紐解こうとする、意欲的な作品です。 ジャンヌ・ダルクは果たして本当に神の使いだったのか、神は存在するのか、奇蹟の乙女ジャンヌとはどういった存在だったのか、いろいろと考えさせられます。 しかし、本書が読み応えある作品となっているのは、娼婦ジャンヌの、困難に屈せず、あくまで自分の知恵で事態を切り開こうとする、逞しい生命力をもった主人公像の故です。一方のジャンヌの目的がオルレアンの解放であったのに対して、娼婦ジャンヌの目的は、娼婦でも人間らしく生きられる世界への解放ではなかったかと思うのです。このジャンヌ、藤本さんの傑作「ハプスブルクの宝剣」の主人公エリヤーフーに比べれば小振りですが、同型の主人公と言えます(その所為か、似た部分があります)。ちょっとお薦め、という一冊。 ※ジャンヌ・ダルクが登場する小説には佐藤賢一「傭兵ピエール」がありますが、ジャンヌ・ダルクをどう考えるかという点では、B・ショー「聖女ジョウン」の方が相応しいようです。 |
●「パンドラの娘」● ★ |
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友人との会話等を皮切りに、さてさて西欧歴史においては...と、おもむろに語り始めるエッセイ集。
・フランス宮廷でのトイレは? 藤本ひとみ歴史小説の合い間に読むのに、格好の一冊。 慎みに欠けるトイレ/恐ろしきダイヤと女/ベッドの中ですること/ギロチン女/ヴァレンタイン・デーの下心/すさまじきメンクイ/騎士の脚にご用心/ありがたくて面倒なビジュアル系/今どきの結婚式/化粧と女心の深い関係/テロが作った歴史/はるかな街に恋して/ロマンなクリスマス/誕生日の薔薇 |
●「悪女の物語 マリー・アントワネットの娘 マルゴ王妃」● ★ |
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2005年01月
2002/06/23 |
「悪女が生まれる時」に続く中央公論新社版・歴史エッセイ。藤本さんの新たなシリーズものとなりそうです。 この2人については、“悪女”というより、歴史・時代に翻弄された女性と言うべきでしょう。サンバルテルミーの虐殺、フランス革命と、送った時代が過酷すぎる。それを思えば、多少の悪さぐらい仕方ないことと思えます。 マリー・アントワネットの娘/マルゴ王妃 |
●「変
態」● ☆ |
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2002/11/04 |
主人公・矢口奈子は、日仏文芸作品の翻訳を仕事としている良妻賢母かつ翻訳家という、45歳。その奈子が初めて書き下ろした評伝は、プロの批評家から優等生すぎてつまらないと評される。 その奈子が次に書こうとしているのは、ナポレオンの最初の妻であったジョゼフィーヌの評伝。野暮ったい田舎娘から男性を惹きつける女性へと、ジョゼフィーヌが変身する転機となったのが修道院時代。その時代に何があったのか、その謎を奈子は辿ろうとします。 しかし、その謎を解く条件として奈子に与えられた課題は、ジョゼフィーヌと同じ体験をし、自分の身体で性の官能を知らなければならない、ということ。母親から優等生であることを第一に育てられ、性の歓びを感じたことがない奈子は、自分の殻を破る意思を固めて、見知らぬ性の領域に足を踏み出します。 言うなれば、「離婚まで」の延長上にある作品。「離婚まで」のストーリィを、藤本さんらしく官能的なドラマティック仕立てにした作品、という気がします。 しかし、後半の一部分に盛り上がりがあったものの、全体として盛り上がりに欠けた作品、という印象。 ジョゼフィーヌと関わりがあった人間として、侯爵サドの名前が登場する辺りが、藤本さんらしいところでしょう。 |
●「新・三銃士 ダルタニャンとミラディ
」● ★★ |
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2008/06/23
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デュマの名作「三銃士」を藤本さんならではの視点から再構成した物語。 どのようにかと言うと、これはダルタニャン&三銃士の物語ではなく、ミラディの物語です。つまり、同じ「三銃士」の物語を、ミラディ側=裏側から描いた物語。 そこではダルタニャンたち表側の単純な男どもには予想もつかない、女たちの謀略、奸計、出世欲とそれに基づく裏切りが幾度ともなく繰り広げられていた、という設定。 そこでの主役はミラディであり、もう一方に王妃アンヌを自分の意のままに操ろうとするシュヴルーズ公爵夫人がいます。 原作「三銃士」を読んで以来、ずっと腑に落ちずにいた疑問があります。それは即ち、仏王妃アンヌ・ドートリッシュと英国のバッキンガム公爵の恋物語。 ダルタニャンが野放図さと猪突猛進、剣で運命を切り開いていくのに対し、男たちから度々逆境に落とされながらミラディはその頭脳と決断力、そして美しい肉体という最大の武器を使って運命を切り開いていこうとする。 なお、あえて種明かしをしてしまうと、物語の最後でめでたくダルタニャンはミラディと結ばれます。それだけで、本物語がどれだけ原作と違うか、判ろうというもの。 |
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