![]() |
| |||
第三楽章 |
ショスタコーヴィチ自身の解説:激情的アダジオ。生活の歓喜(註)。自然にたいする賛嘆。
註:「自伝」の訳による。生命の愛という訳も見たことがある。
●アダージョ(ABAの3部形式)約20分
主部 |
木管とホルンとハープ(2台)の全音符でできた旋律で始まる。厳かなファンファーレのようでもあり、パイプオル ガンのコラールのようにも聞こえる。 続いて、弦楽器のレチタティーヴォ。感情的で極めて強く きっぱりとしている。もう一度コラールに戻るが、このときはレチタティーヴォの感情的な動きを伴う。 またレチタティーヴォがあるが、すぐにディミヌエンドして、ファゴ ットで静かにコラールの旋律が奏される。小さな音のまま弦のピチカートに「ぷぃぷぃ」を思い出させるリズムが現れ、その上にフルートのソロが始まる。たいへん分かりやすくすなおに美しい旋律だと思う。この旋律が弦ですこし展開され、またコラールとレチタティーヴォに戻る。 (約8分) |
中間部 |
が、レチタティーヴォの終わりの部分に煽るような附点音符のリズムが現れ、それを合図にテンポを上げて激情的な中間部になだれ込む。その後の盛り上げ方はショスタコービッチの独壇場。金管の別働隊が加わり、小太鼓のリズムが加わり...例によって例の調子。(この部分を聴いていると、復讐心は危険なほど官能的と思えてくる。)煽って盛り上げ、クライマックスで、冒頭のコラール再現に続いてレチタティーボの旋律がトランペットで現れるあたりは実にかっこいい。35才の誕生日に書いた部分というのは、ここら辺ではないかと思うのだが。(通算約12分) |
再現部 |
しかし、それも不点音符のリズムだけ残してしだいに静まっていき、また弦のレチタティーヴォへ変わる。静かにコラール旋律が再現したあと、フルートソロの旋律がこんどはビオラで演奏される。2音のリズム(ぷぃぷぃ)が、 ところどころで強調され、再びコラール旋律。フォルテに なってレチタティーヴォ、コラール、レチタティーヴォ。 コーダはフルートの旋律を思い出させる動きが少しだけあ って、呻くようなコラール(クラリネット、バス・クラリ ネット、コントラファゴット)と、息をつめる静けさ... ピアニッシモでティンパニーのロールを伴うタムタムが 3回鳴って、休みなしでフィナーレへ。 |
Copyright (C) 2002 kinton, All Rights Reserved. |